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「高価なお酒」を売るときに気をつけていること

まず大前提として、味がなによりも重要であること。それも、「美味い」ではなく「違う」こと。全体として高級酒は、どれも綺麗であり、美味しいです。加えて「美味しい」は人に依る中で、「違う」って感覚は個人差が少ないからです。

そして、本質的には楽しい・おもしろいが重要だと思います。酒は嗜好品。嗜好品の本質は楽しさ・おもしろさだと思うので、ここがかなり重要。本質が抜けた途端に、価値を落としてしまうため、常に気をつけています。

僕は、仕入れてから試飲してみて明確な「違い」を感じなければ、寝かせて熟成を効かせることで違いを出すそうとします。(期間は「3日」もあれば、「3ヶ月」に及ぶものもある)ただし、まずは酒蔵さんが望む飲み方を遵守する。これは絶対。それを守った上で「まだまだ味が乗る酒だな」と判断すれば、(生酒以外は)高級酒に限らず寝かせます。(これに批判的な人もいますが、事実として寝かせて美味しくなったお酒はあるので、そうしています。お客さんからお金をいただく以上、自分が納得する状態でモノを提供することは、業界業種問わず至極真っ当なことだと思いますし)

そして「味の違い」に加えて、流れを作ることです。飲み手が飲む理由を意図的に、違和感なく作る。

具体的には、飲み比べ。
造り、米など、日本酒は原料や製法が同じなのに作り手や環境によって味が大きく変わるので、飲み比べの価値が高くなります。

例えば生酛造りの【A】があるとしたら、高価だけど同じ生酛造りで明確に違いがある【B】もメニューに入れておく。ここで無闇に値下げをせず、適正な原価率で量の調整をして、頼みやすい価格にする。

こうすると、注ぎ手も飲み手もWin-Winで、楽しさ・おもしろさも味わえるので、高価な酒でも適切に売れると思います。

最後に、【希少性だけ】が理由で高価なものは、なるべく排除したいなと考えてて、実際にそうしています。

最初に書いた通り、大事なのは味と違い。そして楽しさ。それに希少性は必要条件じゃないので、外しています。ただし、味・違い・楽しさをクリアした上で、結果的にそれが希少な酒だった場合は良しとしています。希少性が目的になってしまってはいけない。

ここを見誤ると、本質から外れてしまう。

そんな感じです。

もちろん、色んなやり方があると思うので、この辺の話は、業界問わず色んな人たちから考え方を教わりたいです!

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