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「Dorfromantik」の感想

 以下の文章は全て個人的な見解です。権利者の方々による指摘や、個人的な気付きによって、予告なく変更・削除する可能性があります。
 また、視界が狭い人間なので、色々とご指摘いただければ幸いです。



前提

  • デジタルゲームの方の感想である。

  • 本当のガチ勢にとっては別の感想になるかもしれない。



感想

タイル配置デジタルソリティア

 一人で黙々とヘクスのタイルを配置していくゲームだ。

 各タイルには、基本的に辺に情報があり、草原や町、森や畑、鉄道、川という属性がある。鉄道と川はしっかりと隣のタイルにもそれがなくては繋げられず、他の属性は噛み合わなくても置くことができる。

 ただし、辺の属性が一致していればその分だけ得点が増えるし、すべての辺の属性が一致しているとボーナスが手に入る。

 また、途中でいくつかのクエストが発生することがあり、同じ属性のものを一定以上繋げるか、一定数ピッタリにするか、それと閉じることで、ボーナスが得られる、という要素もある。

 ヘクスタイルがなくなると、ゲームが終了し、その時の得点が自分の記録になる。ハイスコア型のソリティアゲームだ。



終わりがないタイル配置ゲーム

 と、ここまでみると普通のタイル配置ソリティアじゃないか、と思うかもしれないし、そういう軽い気持ちでプレイしてみたのだが、そんなちゃちなものではない仕様が存在する。

 それが、上述のパーフェクトや、クエストクリアにおける報酬が追加のヘクスタイルである、ということだ。

 これも上述の通り、ゲームの終了条件はヘクスタイルがなくなることだ。つまり、このゲームはなるべくゲームが終わらないように、各ボーナスをもらい、タイル配置をし続けるというゲームなのだ。

 この続けられる、という幅が半端ではなく、調べて見ると数十時間に及ぶほどプレイを続けられる人もいるらしい。1ゲームプレイに対して、だ。

 そういうゲームなのだ。

 ただ、「テトリス」のような落ちモノパズルゲームなどでは、可能であれば、無限にゲームが続く、という仕様は見られる。しかし、本作はこれらのゲームの比でないほど、徒労感を抱く。それは何故だろうか。


 まず第一に、時間制限がない、というのが挙げられる。「テトリス」のように限られた時間でプレイするものではなく、時間制限がなく、無限に考えることが出来てしまうし、基本的にはそれによってスコアが上昇する(と考えられてしまう)。

 結果として、かなりの時間を消費するゲームになっている。

 ただ、これは「スイカゲーム」などでも同じ仕様は見受けられる。どちらかというと、次に挙げる点が最も大きいと感じている。


 第二に、選択肢が広がり続ける、ということである。落ちモノパズルの場合、どんなにゲームを続けても選択肢の幅は限られる(例外的なゲームもあるだろうが)。

 たとえば、上述の「スイカゲーム」では、その箱の横幅以上の選択肢はないし、果物は転がっていくから、事実的にはもっと少ないと考えることもできる。これはゲームが進んでいっても同じで、なんなら、実質的に置けない場所が生まれることもある。選択肢が狭まっていく。

 しかし、本作はタイル配置だ。すでに配置しているタイルに接するように置かなければならない、というルールがあるから、鉄道と川を除くと、その選択肢はどんどんと増えていく。2枚目のタイルは6択だが、3枚目のタイルは8択である。このようにどんどんと増えていき、数え切れない量になっていく。そして、それらを検討する価値を持たせてしまっている。


 結果として、どんどんと広がっていく自分のタイルに対し、今回のタイルをどこに置けばいいのか、というのを考えていき、上手くはめられるとタイルが増えて……という形になっていく。

 しかも、終わりが見えない。ただ、ひたすらに似たようなことを行っていくしかない。そのプレイ感はかなり厳しいものがある。



クエストの事実上の種類

 上述したように、クエストがちょくちょく発生して、本来であれば、それがプレイ感を変えるはずなのだが、そうはならない。

 完全にゲームの処理を理解しているわけではないし、他の攻略法があるかもしれないのだが、基本的に『一定数以上繋げる』というクエスト以外に価値を見出すことは難しかった。

 『一定数繋げる』クエストは、その数ピッタリにしなければならず、難度が高く感じるし、その数値が増えていく(?)ようにも感じた。クエストがクリアできなくてもデメリットがあるわけではないし、無視するのが最適解であるように感じてしまった。

 『区画を閉じる』クエストは、それ自体が問題になるというより、『一定数以上繋げる』クエストが発生し、その必要数が増えていく以上、せっかく大きくした区画を閉じる必要性を感じず、これも無視することになった。

 結果として、区画をなるべく広げつつ、パーフェクトを狙うというプレイになり、ゲームが用意している要素のほとんどを使用しなかった。それでよいスコアが出たし、調べてみても似た攻略方法が多い。このゲームの構造的にそのような形になってしまうのだろう。

 正直、この点はゲーム構造が、ゲームデザイナーの考えた通りになっておらず、各要素が機能しなくなっている、という印象を抱いた。



視認性の悪さ

 これらのプレイ感の悪さに拍車をかけるのが、視認性の悪さだ。

 後述するが、グラフィックの雰囲気はとても良い。とても良いが、見やすいとは言いにくい。

 グラフィカルなせいで、各辺にどの属性があるのかわかりにくい。属性が接していれば、それが光るとはいえ、それも見にくい。タイルの表示がアナログゲームのような風体で、真上から見れれば、かなりストレスが減ると思うのだが、そのようにはなっていない。

 結果として、ズームイン・アウトを繰り返すことになる。

 そこで重なってくるのが、上記の仕様だ。どんどん広がっていく領地の隅々まで確認し、なるべく繋がるように、パーフェクトが狙えるように配置していく……かなりの胆力が必要になる作業なのだ。



タイル配置リラクゼーション

 このようなことを言ってきたが、これは、このゲームでハイスコアを目指そうとするプレイによって生まれるものだ。そして、おそらく、このゲームは、このようにプレイするのが最適ではないのではないか、と思う。

 このゲームは、リラクゼーションのようにプレイするのが良いと感じた。

 グラフィックのトーンは良い感じだし、SEも小気味よい。川を船が行き来し、森の周りを動物たちが走っている。

 このような、ゲーム数理とは関係のない、フレーバーの部分に魅力があるゲームだと感じた。もちろん、ハイスコアを狙っていくのも良いと思うが、それに適した特性を持つプレイヤーがそれほど多くないだろうことも想像に難くない。それよりも、時間に余裕がある時に、ゆったりと、自分で何らかの目標を持ったり、広がってく領土を眺めたりしつつ、楽しんでいく、という方が万人受けするし、そのようにプレイされている気がした。


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