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「ながらえば」

2022年10月某日鑑賞

「ながらえば」
作:山田太一
1982 NHKドラマ 65分

なんと濃厚な65分。

枯れてなんかいない、
思春期の少年の様な、
目力の強い、
血気盛んな青年のような、
生々しい、笠智衆です。

若い頃に山田太一にどハマりして、
流通してる山田太一の本はもう読むものが無い(かもしれない)と思ったほど、戯曲や小説、エッセイを読み漁った時期がありました。

(その後もどんどん書かれるから、
今は読んでいない本でいっぱいです💦)

一度だけ講演会に行ったら、
私ではなく隣にいた母が手を挙げて質問したのに驚いたのは懐かしい思い出です。
ウチの母、山田太一先生と会話しやがった!
私がファンなのに🤣

母はムカツク女だったけど、
ドラマや映画の感想では誰よりも気が合う相手でした。
なかなか
私達の人生にそんな時間は多くは無かったけど😌

話を戻します。
とにかく、山田太一は面白かった!
1時間の電車通勤、
山田太一が手元にある日は一瞬で着いてしまい、
続きが気になって仕事が終わるまでソワソワして過ごしました。

笠智衆のドラマが頭の中で、
この「ながらえば」と「冬構え」の記憶が混乱していて、
もしかしてこれを映像で観たのは初めてなのかもしれないです。

映像で観た作品も、
脚本で読んだ作品も、
読んだ時にこの役をどの俳優さんがやったのかイメージしながら読んだので、
脳内にクッキリと絵になってしまっていました。

でも、宇野重吉のちょっとした表情や、
最後のシーンの笠智衆の座る向き、
それが思っていたのと違って、
うん。これは初めて観たんだな。

しかしまぁ、
結末を知っていてもなお、もう涙、涙、
そしていまの歳になって気付く、
周囲の人間達の姿も目が離せない緻密さです。
もう、古き日本男児、本当バカ😭
そんな生きづらい人生して、
せっかくの命が勿体なさすぎなのよバカ😭

でも…どうしようもなく共感してしまう秀逸なドラマ。

この作品のこと、
電車の切符のシーン、
読んだ後何年しても、思い出すだけで泣いてました。
笠智衆の立ち姿と共に…
観ていないのに!!(笑)

十代だったのに、
どうしてお爺ちゃんの物語にそんなに感情移入出来たのか、
それはもうひとえに山田太一、
もちろん名優たちも演出音楽その他ひっくるめてですが、
山田太一作品は凄かった。
決して登場人物を枯れさせない、
老人も、女も、
#ふぞろいの林檎たち でも、
若く美しい彼らを「トレンディ」には決してしない、

「人間は生々しいもの」
それが山田太一の拘りなのではと思います。

「ライスカレー」、 #昨日悲別で
そして「北の国から」の #倉本聰

#岸辺のアルバム 、ふぞろいの林檎たちの山田太一、
どちらも沢山読みました。

次第にブラウン管(←)の中で
山田太一の方の需要が(?)減っていったのは、
浮ついた世の中がこの「生々しさ」を忘れようとしていたからではないでしょうか…

そのずっと後の、 #東日本大震災 のあとの年月、
この国の、言葉も、物語も、何か大きなものが失われてしまった気がしました。
そう思った時、
はじめに生々しく「被災者」をドラマにしたのは山田太一ではなかったかと思います。

#中井貴一 を使って、
「被災者だからってずっとペコペコお礼を言わなきゃいけないのか!」
と最初に公共の電波で叫ばせたのは山田太一だったかと記憶します。

こんな時こそフィクションに出来ることがある、
と仰っていたのを当時読みました。

こんなテレビドラマが沢山あった時代がありました。

私もそのほんの一部しか知らないですが。

#岸辺のアルバム 、観たいなぁ、
実はあの名作も、私は映像を観ていません。

それでも当時、小田急線で通勤しながらあれを読みました。
多摩川でのクライマックスのシーン、
その時乗っている電車が多摩川を渡る橋を通り、
私は吊り革につかまって号泣していました。

そのあとは日々、
小田急線で多摩川を渡る度に涙をこらえていました🥲

脳内で、#八千草薫 や #杉浦直樹 キャストの俳優達の姿を、
映像で見たかの様に記憶しています。

ドラマは、主題歌がまた、たまらなかったみたい。
#ジャニスイアン の「Will You Dance?」
観ていた人は、あれを聞いただけで込み上げるものがあるのではないでしょうか。
今みたいに強い音楽事務所の楽曲がゴリ押しで入ってきたりしなくてよかった時代なのでしょうか?
業界の事情、知りませんが。

#NHKオンデマンド で観られるかな、
そのうち探してみよう。
「ながらえば」は、図書館にありました☺︎

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宇野重吉、寺尾聰に本当に似ているなぁ、と思った顔も撮ってみちゃいました😌

#ながらえば#山田太一
#笠智衆#冬構え
#宇野重吉#伊豫田静弘

果たして無事に電車に乗り、目的地に着けるのか、
その目的を果たせるのか、
ハラハラし続けるシンプルなストーリー、

その中にヒヤッとする幾つかのカット、細やかな演出があります。
今年観た #誰かの花 にもその様なヒヤッとする仕掛けが二度三度とあったのを思い出します。
「誰かの花」!
また観たいです。
余談でしたが!何度でも書いちゃう☺️

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