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【ネタバレあり】ArCairo『Phantom Form,Invisibke Move』を観た。

(チラシ画像はチラシステージより引用)
#観劇 #舞台 #ダンス #マイム #ステージ #感想

【7/21 00:10修正】

いいむろなおきさんと長谷川寧さんのユニットArCairoの『Phantom Form,Invisibke Move』を観てきた。
まず初めに一言ボンと置くなら「いいもん観さしてもらったな」という感じ。楽しかったです。頭ごりごり使って生きていきたくなってたまらん。
長谷川さんがこのユニットとこの公演・ユニットが掲げるテーマに関するプレゼンテーションというか説明をするところから始まり、マイムというものが不利になる状況の提示があり、中近世のマイム史・世界史日本史・いいむろなおき氏の個人史を絡めて行き、そのなかでいいむろさんがマイムを演じるというような構成。
「マイム」というものにかねてから興味は持っていたものの、マイムの未来への問題提起と併せて、こういった形でみせられると、マイムに関する知識は浅くとも、思わず唸ってしまう。
多くの舞台芸術作品が完成形である、というお約束のもとに演じられ観られているなかで、こうあえて、想像力に頼る形で実験室かのごとくみせられるのは新鮮だし小気味いい。
冒頭の長谷川さんがプレゼンシーンにおいて「(入場料の)3000円でこれが観られるというのは安いなって思うんですけど」と言ったとき、まだ何が始まるのか、作品がどこに向かっているのか見当もつかなかった私はなかなかに不安になったものだけど、そう時間はかからぬうちにこの言葉に確信を持てた。この濃密な70分の作品が語るものに対峙することができるってことに3000円は安すぎると言っても過言ではなかった。
近世より始まる世界と日本とマイムといいむろなおき氏の歴史は、作品が終わりに向かうにつれて、現在を通り過ぎ、未来へ歩を進めていく。パントマイムの非常にポピュラーなもののなかに動かない鞄というものがあり、本作品のなかでもこれが何度も演じられたが、最後、プロジェクターが未来の年号を映していく中で、いいむろなおき氏がその鞄を開ける演出は、この作品のいち中核テーマとするところの「想像してください。」に甘えるなら、「模倣する」芸であるパントマイムが模倣を超えていくということか、あるいはもっとほかななにか、ともかく「パンドラの匣」を開ける姿の比喩に見えた。

ArCairo『Phantom Form,Invisibke Move』
構成・演出・出演 長谷川寧
構成・振付・出演 いいむろなおき
2015.7.17-21 こまばアゴラ劇場
7.25-26 神戸アートビレッジセンターKAVCホール

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