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[検索メモ]室内用芳香剤と特許

こんにちは! 特許調査の仕事をしてます、酒井と申します。
今日は「ファブリーズ玄関用を起点に特許を調べてみたこと」について書きます。

室内用 消臭芳香剤の「ファブリーズ玄関用」
数ヶ月前、初めて使って「なかなか優秀!」と思い、リピート購入するようになりました。
そんな中、ちょっとだけ気になっている事がありまして・・・

画像出所: https://www.myrepi.com/home/cleaning/febreze-okigata-entrance/

過去に利用していた消臭芳香剤は
 ・使用開始する時、一旦開封してフィルムを剥がすとか
 ・同じく密封用の栓を除去するとか
使い始めには、何かしらの「開封」が必要でした。

ところがこちら「ファブリーズ玄関用」
パッケージの裏側に、使用開始時に押し込むボタンはあるものの・・・

赤丸内のボタンを回転させながら押し込みます

フィルムを剥がすとか栓を開けるとか、の作業はありません。
また
押し込んだ際にも「フィルムが破れた手ごたえ」的なものは
特に感じなかったように記憶しています

あまりにも不思議だったので・・・

バリッとな!

使い終わった際に分解してみたのですが・・・
「手ごたえはなかったけどな」と思っていた通り、芳香剤のパック(画像下のオレンジ色)には、特に傷などもついていないようでした。

どんな機構で使用開始されて
なぜ傷(開口部)などがないのに、香り成分が放散されるんだろう?
ということで

特許を探してみました!

J-PlatPatではこちらの条件で出てきます

[A61L9/12/FI]*[プロクタ/AP]

[A61L9/12/FI]*[プロクタ/AP]

「ほぼ製品そのもの」の図面が使われている特許出願も
何件かありました。

特表2019-513499

側面分解図!(図4)点線で囲んだのが 芳香剤の入ってる部分です
単なるパッケージではなくて、何やら秘密がありそうですよね

【0018】
図4は、揮発性組成物カートリッジ50の立体分解図を示している。カートリッジ50は、揮発性組成物を含有するレセプタクル51を備え、この組成物は、破裂可能な基材52によってレセプタクル51内に密封されている。

特表2019-513499
画像内 青 の52が「破裂可能な基材」

【0023】
破裂要素55は、破裂可能な基材52の隣に配置され、傾いて基材52に接触するよう可動して、起動が行われると、基材52の破裂又は穿孔を引き起こす。破裂要素55は、1つ以上のばねをベースとする屈曲性アーム56上、又はアーム56の屈曲性支持リング58上に、破裂ピン57を備える。破裂要素、アーム、ピン、及び支持リングの各々は、射出、加圧、又は圧縮により成形したプラスチックから形成することができる。・・・

特表2019-513499
裏のボタンを押すと 黄色い部材(破裂要素55)に力が掛かって、基材52が破れる

【0024】
膜53は、レセプタクル51の外縁59の上に密封して配置される。膜は、通気性及び/又は微多孔性とすることができる。
・・・ディスペンサが一旦、起動すると、揮発性組成物は、レセプタクルから拡散し、膜を湿潤させ、次に、環境に送達される。揮発性組成物は、起動が行われるこのような時間まで、ユーザにより実際に検知されないことが意図される。・・・

特表2019-513499
オレンジ色の部材(膜53)は 揮発性組成物を放散させる膜

・・・ということで
特許の通りだとすると
「芳香剤パックの内部で、破裂可能な基材52が破れると
 膜53を通じて 成分の放散が始まる」
という構造になっているようです。


そして今回、もうひとつ興味深く感じた事があります。
一連の「ファブリーズ玄関用」関連特許の発明者についてです。

発明者の主要メンバーはイタリア在住
そして・・・P&Gの所属でもなさそうなんです

特表2019-519267

特許から得られた情報だと、
玄関用ファブリーズの発明者たちは ZOBELE グループに在籍しているもよう

P&Gが社外の発明者と共同開発、といえば
コネクト+デベロップ が思い浮かびます。
オープンイノベーションに力を入れている有名な事例です。

P&Gのウェブサイト 「コネクト + デベロップ」 では、同社が探索している開発テーマを公開し、アイデアを募集しています。

玄関用ファブリーズが 「コネクト + デベロップ」から生まれたのかどうか?はわかりませんが
社外からの技術提案で玄関用ファブリーズが生まれて、日本でも売られているのかも、と想像すると、なかなか夢がありますよね!

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