見出し画像

ステーキをおかずに炒飯を食べるシアワセ

チャイニーズアメリカンビストロ。
…、とこう聞いて一体どういうお店を思い浮かべるか。
オリエンタルな雰囲気のアメリカ料理のお店?
あるいは逆に、アメリカンスタイルの中国料理のお店?
どうなんだろうって、それを興味深く思うのか、面倒くさく思うのか。一般的に地方都市や郊外生活者にとって、イメージしづらいコンセプトの店は敬遠されがち。一方、都会の人たちはわかりにくいお店を好む…、なんて言われる。

東京駅前の新丸ビルといえば、都会中の都会です。
そのレストランフロアに「So Tired」という店名のチャイニーズアメリカンビストロがある。
東京駅の周りといえばほぼ住む人のいない夜になると真っ暗になるエリアにして、ほぼ唯一の深夜営業のお店が集まるレストランフロアにある店でもある。土曜、日曜をのぞいては明け方4時までの営業で、先日、深夜にやってきてみた。
エレベーターをおりるとホールはまるでクラブな感じ。ニューヨリカンソウルがズンドコ鳴っていて、ニューヨークとかロンドンとかのおしゃれホテルのラウンジみたいな感じが漂う。
時間は11時ちょっと前。
なのにお店はほぼ満席で、しかも誰ひとりとして疲れていたり、飽き飽きしてたり、うんざりしたりしていないのにビックリします。お店の名前がソータイアードなのにね(笑)。みんな大きな声で喋って、笑ってまるで巨大な合コン会場みたいなムードにワクワクもする。

まず点心類。窯焼き叉焼に大根餅、ニラ饅頭をたのんでサングリアを飲んで夜をはじめる。
料理はしっかりしていました。叉焼は脂がしっかりのっていて表面甘く、バリッと焼けてる。噛むとクチャっと肉はほどけて脂がひんやり、唇濡らす。ニラ饅頭はエビがたっぷり、大根餅も表面カリッと焦げて仕上がりなかなか上等。

オモシロイのがメインディッシュのひとつとしてステーキが用意されているのですね。
そこが「チャイニーズ・アメリカン」というコンセプトの意味するところ。

メニューのメインはあくまで中国料理。だから当然、黒酢の酢豚であったり麻婆豆腐であったりと中国料理も数多く揃っているけど、メインディッシュのメニューの1番目立つところに置かれているのがステーキだった。
しかもポーションはハーフパウンドからという、つまり「シェアしてください」という提案。
中国料理って一口でいっても味の傾向がお店によって違いが出る。つまり好きや嫌いがお店によってはっきりしちゃう料理でもあり、それに比べてステーキはその出来栄えにあまり違いのない料理。しかも誰にとっても贅沢を感じる料理でもあり、それを売り物にする工夫。
悪くないなぁ…、と思ったりする。

ブラックアンガスのリブロースをハーフパウンド。
どのように焼きましょうか…、と聞かれたので「おいしいように」とお願いします。注文を受けたスタッフも立派なもので、ではおまかせいただきました…、と言って焼き上がったステーキを自らもってきて、これでよろしいでしょうか?と聞く。
薄いながらも脂がほどよくのった上等なリブロース。芯の部分はまだレアで表面の脂は焼ききれている。塩をしっかりほどこし焼けてて、おいしいこと。
ちなみにステーキにはフレンチフライとクリームスピナッチ。コールスローがついてくるというのがステーキをたのむことに決めた最後の決め手。
フレンチフライがどうしても食べたかったのだけど、単品はなくだからフレンチフライをたのんだら、ステーキがおまけでついてきた…、って考えることにしたワケです(笑)。

チャイニーズレストランですから当然炒飯がある。ちょっとひねりをくわえた炒飯が何種類か。なかでもアボカドとエビの炒飯っていうのがあって、たのんでみるとアボカド色したご飯の上に焼いたエビ。トマトとネギと胡麻をちらして、目にうるわしい。
しかもご飯がパラパラで、カムとふかっと奥歯を沈めるたのしい歯ごたえ。極めて上等な炒飯でそこにステーキ。それからパクチー。ステーキチャーハンの出来上がり。
ステーキをおかずに上等な炒飯を食べることができるシアワセ、この上もない。しかも担々麺を汁代わりにして、まもなく今日一日が終わるというそんな時間にお腹を満たす。たまにはこういう贅沢もよいコトでしょう…、夏の夜。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?