見出し画像

おむすびを酒の肴にできる店

安い居酒屋がたくさんできる。
競争が激しいから、どの店も必死に差別化しようと一生懸命がんばっている。
よくこれでやっているよなぁ…、と感心するような店も多いけど、ボクはあんまり好きじゃない。
そういう店で働いている人たちはどこか切なげで、必死にがんばらされてるような気がして酒をたのしく飲めなくなっちゃう。スッキリ酔えないとでもいいますか。

その一方で「安く飲める居酒屋」というのがあって、圧倒的に安いわけではないんだけれど、安く飲もうと思えばいくらでも安く飲める工夫があるお店。
懐具合が豊かなら、そこそこの値段分をたのしむこともできるメニュー構成。
お店によっては商品の数ばかりたくさんあって、けれど何をどうたのんでも同じような値段になってしまうようなメニューのお店があるけれど、組み合わせ次第でいろんな使い勝手に対応できるメニューはステキ。

例えば「どすこい四文屋」という店がそういうメニューのたのしいお店。

新宿アルタの裏側のビル。
ビルの地下一階にあって階段にはずらりと料理の名前が書かれた札が並んでる。

いつも若い人たちでにぎわう店です。
まだまだ空席目立つ早い時間から次々予約の電話が入り、大人数に対応できる壁際のテーブルはほとんどが予約で埋まってる。
お客様の年齢は30代がメインかなぁ…、まだ若い。平日はスーツ姿が目立っていわゆるサラリーマンが主要な客層。
料理がおいしいので人気の店です。
70席ほどの店にして厨房の中には4人の調理人。

ふところ寂しい若い人たちに人気の料理が焼きおにぎり。
はじめてたのむとビックリします。
まず大きいのです。
ボクの手のひらくらいの大きさもあり、キレイな醤油色して表面こんがり焦がされている。
香りのなんとも香ばしいこと。

割ってみるとご飯全体にだし醤油が行き渡っていてどこを食べても醤油がおいしい。焦げたところはバリバリで、中はふっくら。そしてパラパラ、口の中では散らかりにぎやか。
手作りでなくてはこういうふうには仕上がらない。酒をのむときのおしのぎとしてもいい上に、味がしっかりしてるから酒の肴にぴったりでもある。
ちなみに一個250円。こんなの食べてしまわれたらお腹が膨らむ。だから商売的には売っちゃいけない商品で、でも若い人の財布にはこういう商品はありがたい。やさしいお店のやさしい料理。

ちょっと懐に余裕があれば、今日の刺身の盛り合わせ。
その日のおいしいネタがずらりと並んでやってくる。
この日はタイにハマチにサーモンにトロ。どれもピカピカ。食べやすいよう筒切りにして開いた生ダコなんてねっとりとろけてなんとも甘い。
特徴的なのが干瓢巻が一本、ついてやってくること。
腹ペコでは酒を気持ちよく飲めなくなるからおしのぎ代わりに巻物添え。気が利いてるよなぁ…、って思う。

酒の飲める炭水化物系の料理がおいしい店ってありがたい。
例えば焼きそば。
チャーハンだってお酒は飲める。
できたての熱々で、具材がたっぷり入ってて味がしっかりしていればどんな料理も酒の肴になりもする。
例えば天ぷら。20種類ほどのネタから好きなものを好きな個数選んで揚げて盛り合わせ。
竹輪に茄子に大葉で巻いた明太子。
カマンベールチーズにイカに紅生姜のかき揚げと、衣はさっくり。
ネタのひとつひとつの状態はとっても良くって、イカの天ぷらなんてフワッフワ。
明太子を大葉で包んで天ぷらにするというアイディアたのしく寿司も一個単位で注文できるやさしさ。いい居酒屋のひとつと思う。オキニイリ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?