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騒々しい外観、磨ききらぬドア

先日、神保町の「いもや」のことを懐かしく思ってコラムを書いた。

たまたま先日、そのいもやのあった場所を歩いて、跡地をみたらあまりに無残な変わり果てようにおどろいた。

天丼のいもやの跡地にはカレー屋さん。
店の表の壁という壁にベタベタ、メニューだったりポスターだったりが貼られてる。
なりふりかまわず、「うちを選んで」と叫んでいるように見えて煩わしい上、いろんなことを同時にあれこれ叫んでいるから、一体何をいいたいのかわからない。

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集客の勉強をした人でしょう。
店全体を看板のようにすれば店の認知があがる。そう学んでこんな具合にしちゃったに違いない。
インバウンドも来てほしい…、それで富士山。しかも店名までもが「J’sカレー」。「バエ」を狙ってジェイズ丼なる商品も出し、流行りもすっかり終わってしまったローストビーフ丼もある。
一体誰に向かって叫んでいるのかわからぬ状態。騒々しい。

こういう必死で叫んでる外観の店が最近増えた。大体が中身が乏しく、やる気だけが空回りするタイプの店だから関わらぬよう距離を置く。ただ
この場所がかつてすがすがしいほどに日本的な風情を漂わせていたことを思い出すとなんだか悔しく切なくなった。

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ちなみにもう一軒のかつてとんかつのいもやだったお店が外観ほとんど変えずに別のお店が営業。
ただ出入り口の白木の扉が、かつてはいつも磨き上げられキナリの色がうつくしかった。

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今も拭き掃除はされているとは思うのだけど、磨き上げるほどの執着心はないのでしょうネ…、ところどころにカビがはえ薄ら汚れてみえる哀しさ。
場所は引き継げても心意気までは引き継がなかった。やっぱり切なくなりました。

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