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丸亀製麺の残り1点

100点満点99点。残り1点が致命傷

丸亀製麺。
2000年に開業するや瞬く間に日本全国にチェーン展開。今では1000軒を超えるうどん業界のガリバーになった。
いまだ拡大意欲は衰えず海外にも積極的に進出している。
くるたび、よくできてるなぁ…、と感心ばかりしてしまう。
まず店の構造がすばらしい。
普通、外食産業の店にはバックヤードという場所がある。食材の保管場所であり仕込み場でもある。オープンキッチンレストランにおいても大抵バックヤードはクローズで、理由はお客様に見せたくない仕事が飲食店には少なからずあるからだった。
ところが丸亀製麺にはバックヤードが存在しない。製麺所の体裁をとった店だから、麺を仕込むのも切るのも、そして茹でるのもお客様の目の前でやる。仕事に秘密はないことがお客様への安心感につながっている。
店が大きく見える上、働いている人の姿が全員見える。
普通の店では厨房の中の人が見えない。オープンキッチンの店でもバックヤードの人は見えない。丸亀製麺にはいつもたくさんの人が働いてるよなぁ…、といい印象を作ってくれる。

うどんという料理を選んだことも勝因。
原価が安い。
時間の経過にある程度頑丈でもあり、しかも気軽に腹が満たせる。
丸亀製麺のスタイルで、蕎麦のお店に挑戦した人たちがたくさんいる。
実は丸亀製麺自身も蕎麦のお店を数軒試した。
けれど失敗。
気軽さという点でうどんに劣った上に、品質がすぐ劣化するからスピード勝負の仕組みになっちゃう。
なにより中高年のスタッフが働いていても気にならない。むしろそういう人たちが作るうどんはおいしく見える。人手不足の今にあっていいとこづくめ。うらやましい。

品質は決して悪くない。
特に釜揚げうどんのおいしさは他になかなかないレベル。そもそも釜揚げうどんを売り物にした店は讃岐以外に少なくて、つまり独自の市場を作ることに成功したということになる。
つけだれがどんどん甘くなっていくのは時流に合わせてということでしょう。天ぷらもほどよく最近ではテイクアウトを促す戦略。セルフサービスでひとりひとりに丁寧に対応するから自然と行列が発生し、ときにお店の外まで人が並んだりする。繁盛してるってムードが自然とできるところもよくできている。チェーンストアとしてはほぼ満点。100点満点で99点レベルの出来栄え。ただ残り1点を満たさぬがゆえ、このビジネスは失敗だった…、とボクは思いたい。説明します。

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