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『5億年ボタン』押すか押さないか問題に終止符を打つ

『5億年ボタン』を押すか押さないか問題。
この思考実験が登場してからいまだに結論が出ていない問題です。

「5億年ボタン」とは、押すと100万円がもらえるボタンです。
押した瞬間に何も無い別空間に飛ばされ、そこで5億年過ごさなければなりません。
死ぬことも眠ることもなく、空腹にもならず便意も無い。ただ、そこに居るだけしかできません。
意識はあるので思考を続けることは可能で、肉体を鍛えたり走り続けたりすることも可能です。
そして5億年経過すると別空間での記憶は消去され、ボタンを押した瞬間に戻ってきます。
(傍から見るとボタンを押して100万円をもらっただけにしか見えません)

さて、あなたはこのボタンを押しますか?押しませんか?

■ 押さない派を押す派へ


僕は「押す派」です。この話を知った当初から「こんなもん絶対押すでしょ。超絶連打するでしょ」と思っていました。
なので「押さない派」が居ることを知って驚きました。
押さない人の多くは「怖い」と言います。
この思考実験の巧妙なところはまさにその「怖い」部分です。
執拗に5億年をどのように過ごすかが描かれ、「ひとりじゃんけん」や「歯さがし(抜いた歯をぶん投げて自分で取りに行く遊び)」、「トニトニ波の修得(声優野沢雅子さん主演による孫悟空的なアニメ用演出)」など段々人間性を
喪失していきます。

そしてようやく5億年が経過し元の世界に戻ってくると5億年の苦痛はすっかり忘れて100万円獲得に歓喜し、馬鹿みたいにまたボタンを押すのでした。
この例えようがない「怖さ」を前に「押さない派」は頑なに考えを変えません。
なのでどうにか「押す派」に転向できないものか、と思ったのが本稿の意図です。

■ 設定を変えて考えてみる


オリジナルのルールはこうです。
・押す→別空間で5億年→全消去→元に戻り100万円

では5億年じゃなく10分ではどうでしょう。
・押す→別空間で10分→全消去→元に戻り100万円
きっと多くの人がボタンを押すでしょう。

5億年飛ばされるのがあなたではなくどこか遠くの誰だかよく知らない人だったらどうしますか?
・押す→別人が別空間で5億年→別人の記憶など全消去→元に戻りあなたが100万円ゲット
この場合、ボタンを押すとあなたの前に突然100万円が出現するだけです。

何も無い空間ではなく天国に行けるとしたらどうでしょう。
・押す→天国で5億年→全消去→元に戻り100万円
最上の空間であれば5億年過ごしても良いと思えるでしょうか。

押したらあなたが最高のパートナーと想像している人物と交際できるとしたらどうでしょうか。
・押す→現実世界で最高の交際1ヶ月→全消去→元に戻り100万円
これも押す人が多いのでは無いでしょうか。

以上、4つの別パターンを挙げてみました。
「10分ボタン」「別人が飛ばされるボタン」「天国ボタン」「最高の恋人ボタン」
このどれかひとつでも「押せる」と考えたあなた。
あなたは「5億年ボタン」を押せます。

■ そもそも設定ってなんだ

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