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なまはげを 書 にして贈る👹🖌(6)

🖌 久しぶりの太田さんからのメール

5月16日、久しぶりの太田さんからのメール。私のパソコンの故障でHDD交換をした為に以前のメール履歴が消えてしまった。送ってもらってた写真も同時に無くなってしまいやり取りすらできなくなってしまっていた。note に下書きしておいて良かった。残したものが無駄にならなくてすんだ。
前回のメールから3か月が過ぎていた。が、目標時期は9月だからまだ安心。そろそろ終盤に向かう段階に入る。

「なまはげのイメージが湧きにくく、なんというかなめらかで品のよい?
雰囲気はあかんなあと思い、色々してみています
以前のメールを見ていて  眼  だけ漢字にしようと思います
もう、仕上げにしますね   にっこりと   を、少し下げて
これ 結構いいなと思いますが
古和田、が、大きくなってしまって  なまはげ  が難しすぎます
は、 け、 一画目は同じだから変化つけられなくて もう少し頑張ります雨が続きますね  気持ち下がります  ご自愛くださいね 」

新たな書2作

5月30日、「4分割」と「2分割」の着物地が付いた写真が送られてきた。

着物地 4分割
着物地 2分割

「赤多め」も届いた。着物地の色の分量で表情が違ってくるのが判る。

着物地 赤多め

翌朝、着物地の分量を更に増やして表具サイズを大きくした物も届いた。

着物地の分量多め
デザイン画

5月31日、早速にこりさんに4枚の写真を送った。この先お店に飾ってこの作品と一緒に暮らす人にいちばん似合うと感じ和む作を選んでほしかったからだ。時間をかけてゆっくりと選んでもらうようにお願いした。

6月5日、返事が来た。4分割と赤多めで悩み「相談の結果、赤多め(33×30)が良いのではないかとなりました。」という返信をもらえた。
太田さんに早速「赤多め」の正式な依頼のメールを。

6月6日、正式依頼承諾の返信と共に額の発注が始まるそうだ。表具というのが如何程か(←金額の事👛)全く見当がつかない。オーダーの経験もなく、戴く見積もりは未知の世界である。額の色、2月には「シャンパンゴールド」や「プラチナグレー」が候補だったがその後どんな風に変わっていったのか、「書」と「着物地」と「額」のコンビネーションがどのようにマッチするのか、楽しみと期待がじわじわとやってきた。

🖌 秋田キャラバンミュージックフェス

時が重なり、2022年9月17・18日のACMF 北秋田市での開催が発表された。にこりさんのお店のホームページ下方にも「ACMF2022」のバナーが現れた。それまでに書作品も完成しお店に飾れたらいいなと思っている。11月の開店十周年に向けて沢山の人に見ていただければ何より嬉しい。最終コーナーを曲がった!太田さんからの次のメールが待ち遠しい。

にこりさんのHPに行くとACMFの案内がありその中にオレンジ色のにこりさんのロゴも入っている。

☛  お菓子のにこり (nikori-a.com)

☛  秋田CARAVAN MUSIC FES 2022 (acmf.jp)


🖌  私のミスで書き直しに

同じく6日、古和田さんに「赤多め」の写真、完成作品は縦30 × 横33cmになる予定と送った。古和田さんから「素晴らしいですね!」という返信が来て、次に私から最後の名前の確認を送った。私は重大なミスをしたことに気づく。古和田さんからの返信では俳句の世界では姓ではなく名前を呼び合うことが多いので可能ならば「貴子」でお願いしたいと書かれていた。
そう言えばかの有名な松尾芭蕉の句も「芭蕉の句」とは聞くが「松尾の句」とは呼ばれない。あー、そういうことだったんだ。句の名前の形式や意味を調べることも無かったし、中継地点で在りながら両者にしっかり確認してなかった。むしろ古和田さんのご苗字が俳句的で素敵だなとまで思っていた。私の無知と確認不足がこういう大きな失敗に繋がってしまった。

その夜、太田さんに作品の句の名前を変えていただけないかとメールを送った。その夜のうちに太田さんからの返信が来ていた。

「書き直します
書道作品でも「芭蕉の句」「松尾芭蕉の句」 と、します
どう書くか確認してもらったとき、名字だけには違和感はありました
とにかく書き直しますね

 8/17のメールです
「なまはげの なかの眼や につこりと」
 古和田の句穂摂書く
🔴(印)

確認の為に過去のメールもコピペされていた。その時々にひとつひとつ確認が来ていた。名前の他にも漢字は「眼」だけで良かったんでしょうか。古和田さんにもご確認願います、というメールも以前に貰っていた。私の言葉に対する認識度と太田さんが考える言葉の重要度は大きく違っていた。古和田さんともそうだ。二人の中継地点に自分が居たことを申し訳なく思った。

例えばこの note の後ろ1行を書き直すのは容易い。何文字か消して入力すれば簡単に変えることができる。が、書の作品はそうはいかない。すべてを書き換えなければいけないし文字数が変わると全体のバランスまで違ってくる。きっと相当な時間と気力が必要なはずで、それは無知な私でも考えついた。しかも一旦置いたものを。
作品の進捗状況も最終コーナーを回ったと思っていたけど私自身が置いた大きな石ころに躓いた。どうなるのだろう。太田さんからの返事を待つしかない。

6月15日、今回のお詫びとにこりさんに9月にお渡ししたい旨を送った私からのメールに返信が届いた。読むと太田さんは大きな作品展に出品する畳
1枚大の作品を書いていたそうだ。自分の分と生徒さんの分を仕上げて発送していたと書かれていた。その生徒さんにもまた生徒さんが居て、太田さんはすべての作品に関わるそうで。離れてやり取りをしていると立場まで薄らいでいくが太田さんは本来そういう人だったと改めて認識、反省しきり。

「書道では、フルネームで 例えば松尾芭蕉の句、とか芭蕉の句、
とするので やはり違うんだなーと思ったという違和感でした
彼女の俳句ですからこちらの書道のしきたりを 言うのはやめました

メールでは私がいろんなパターンを想定し提案してその中に
「古和田の句穂摂書く」も、入れたので、これにされたのだと思いました
作品はもちろん書き直します    少しお待ち下さいね
秋の生徒も含んだ展覧会のお手本準備があるので
また少し時間いただきますね   間に合わせますのでね   
またテンション上げていきます」

おふたりの知識を無知な私が遮断してしまった形。勉強させてもらった。

6月21日、追ってメールが届く。

「確認ですが、 「貴子の句穂摂かく🔴(印)」 にしますね
これは書道で俳句を書くときの 一般的なパターンです
ただ、貴子、穂摂は、草書になります
読みづらいですが サインみたいなものなので 太く細かく書けません
筆が潰れてしまいます
俳句がまたほとんどひらがななのでそれに合わすためでもあります

作品というのは 書けば書くほど  また進化して面白くなったりします
逆もありますが
嫌というほど書いたつもりですが  また面白くなってきました
切ありませんね  よろしくお願いします」

ありがたいメールだった。一旦筆を置いた書をもう一度書く労力は半端ないと思う。進化して面白くなる、嫌というほど書いたつもりなのにまた面白くなってきた、こういった言葉を見てほっとした。切ありませんね、綺麗な言葉だ。言葉を生業にしている人だから自然に出てくる言葉なんだと思う。

7月6日、毎日暑い日が続いている。今年の東京はあまり雨も無い。夕立のような勢いのある雨が降らない為地面の温度は上がり続けている。ここ数日 au の電波障害があったせいか日本中が音信不通状態のように思えた。
7月に入って太田さんに暑中見舞いのメールを送っていて、6日にその返信が届いた。書を書き終えたお知らせだった。

「 なまはげの なかの眼や にっこりと  貴子の句穂摂かく🔴 」

「作品、仕上げました
また写メして、表具屋さんに届けます
なかなか少しの外出の時間も取れず自由がありません

二分割で赤多めですよね

表具の見積もりは必要ですか? お返事お待ちしています。
長い夏になりそうですね。ご自愛くださいませ」
 

🖌 書が表具屋さんへ

ついに「書」が太田さんの手を離れ表具屋さんの所に行くようだ。では表具屋さんではどのようなことをしてもらえるのだろうか。興味があり少し調べてみた。
先ずは「裏打ち」という紙の補強。作品の裏に糊を塗りその上に紙を貼る。裏打ちをすることで作品の皺やたるみを防いでくれるという効果がある。
もう少し詳しく手順を書くと、作品の裏からムラなく霧吹きをし、皺が生じない程度に乾燥させ、裏打ち用の紙(光沢のある裏面)を作品(裏面)に重ね合わせアイロン(中から高温)をかける。ズレやムラが出ないよう用紙の中心から左右に向けてかけ、温度が下がるまでそのまま待つ。・・・という作業だそうだ。裏打ちを終えた作品は額・掛け軸・襖などに張り付け、更に乾かし皺を無くすことで表装が完成する。
太田さんの作品の場合は裏打ちをした作品を着物地と額に合わせる。着物地の色や柄と文字とのバランス、更に表具の色や素材との合わさり方、この組み合わせで作品の表情が決まるのだ。どんな風にできあがるか今はまだ見ることができないが目標の9月には間に合いそうだ。次に来る太田さんからの写真を心待ちにする。

なまはげを 書 にして贈る👹🖌(7)に続く
なまはげを 書 にして贈る👹🖌(7)|すぎもとかよこ|note

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