見出し画像

なまはげを 書 にして贈る👹🖌(4)

🖌 にこりさんに、「書作品」の企画を伝えた。

2月1日、にこりさんに電話をしてこの書作品の話を伝えた。本当にいつも突然だ。電話も突然かけるし話す中身も突拍子もない話。でもここ半年ほど肝心のにこりさんに何も言わずに勝手に話を進めていた身としては伝えることができて幾分かほっとした。何も言わずにいきなり作品を持ち込んで必要ないと言われたら太田さんや古和田さんにも申し訳が立たない。
十周年の記念に書作品を贈りたく以前から準備を始めていることを話すと喜んで受け入れてくださった。その進捗に関しても note の下書きとして残していることとお渡しの時期が来たらアップすることもお伝えした。
すぎもと → 太田さん → 古和田さん → にこりさん と繋がったことに感謝したい。どんな書作品ができ、どんな風にあの壁に飾られるのか、とても、すごく、楽しみになってきた。近づいてきた。

🖌 「なまはげのおくりもの」の誕生話

2月10日、昔に一度「なまはげのおくりもの👹💙」というタイトルのnoteを書いたことがある。このお菓子が他のお店で売ってない特別なお菓子だと思ったので一気に書き上げたのだが、にこりさんに聞かずに勝手に投稿して良いものかどうかと躊躇ってそのまま note の下書きに入れ、時間が経ち忘れていた。もう読めないと思っていたら上手い具合に見つかったのでこの下書きの note を基に「なまはげのおくりもの」のことを書いていこうと思う。

にこりさんの店舗は秋田市駅から北西に4キロほど向かう秋田市八橋三和町にある。店主ご夫妻は籾山さんというご苗字で、2012年11月にどら焼き屋さんとしてこの地に菓子屋を開いた。地元ではどら焼きも人気で「粒あんのどら焼き」とお店の屋号ともいえる笑った顔の焼き印がついた一回り小振りな「にこどーら」を売っている。小振りな方は事前に予約すると「いつもありがとう」「ほんのきもちです」「お世話になりました」「よろしくおねがいします」などのメッセージの入った焼き印もつけてもらえる。

にこり
文字が入った「にこどーら」

これとは別に生どら焼きもある。チョコや季節のフルーツの果汁が混じった商品が人気だ。その他にクッキー、サブレ、マドレーヌ、スイートポテト、ブッセ、ラスク、タルトなどの洋菓子、食べる直前に餡と合わせる最中なども店頭に並んでいる。バレンタイン、母の日、クリスマスなど特別な日に合わせたギフトパッケージやなまはげが描かれた商品を1箱に集めた「泣ぐ子はいねが」というお土産用商品も昨年(2021年)誕生した。

ご主人は元々お菓子屋さんの三男坊で、生まれた時からお菓子に囲まれて育ってきたそうだ。どうすれば美味しい菓子ができるか、新しい菓子が生み出せるかを自然と考えられる環境に居たのだろう。
今回のテーマの「なまはげのおくりもの」がどのようにして私たちの口に入るようになったのか興味がわき、その生みの過程を尋ねてみた。

これは自分自身のことだが、客として行く時にはその店の定番を買いたい。だけど目新しい商品も欲しい。興味をひく新商品や季節感のある商品があると定番と一緒にそれを買って帰る。新しい商品が並んでいると思うと興味がきっかけでそのお店に足が向く。にこりさんでは最初は定番がどらやきであり、画期的な新しい商品になるべく物が「なまはげのおくりもの」だった。
普通は和菓子は和菓子、洋菓子は洋菓子というカテゴリーの中で考えたくなる。でも「なまはげのおくりもの」は最中の皮のタネとして和風のサブレが入っている。ここが画期的な新しさなのだ。最中ダネの生地には胡麻と秋田男鹿半島の塩を使っているから最中の皮としっくり相性が良い。

初めて食べる人は一般的な最中を想像する為まずその軽さに驚く。手に乗った時の僅か16グラムの軽さと食感 、<サクふわ> な軽さ。カロリーも90㎉ しかない。いくつでも食べられそうなこの軽さと味わいが人気を呼び、今ではこのお菓子がにこりさんの定番名物菓子に入れ替わってしまった。
「なまはげのおくりもの」を包んでいる袋の赤と青のなまはげもとても印象的だ。なまはげの顔の真ん中には縦の透明ラインがあり、中にある最中の顔が内側から睨みを利かせている。
袋のなまはげの顔をデザインした人はこのお店の商号のにっこり顔を作った人と同じ人なのだそうだ。商号のにっこり顔にも飽きず見ていたい不思議な魅力がある。聞くと私たちより少し年上の方、ご年配の方の作だった。

赤なまはげ、青なまはげ
屋号とロゴ

では「なまはげのおくりもの」がどんな風に生まれたのか。
前々からあった率直な疑問をにこりさんに訊いてみた。まず最初、2012年にどら焼きのお店として秋田市で開業したお菓子屋「にこり」はどら焼きを基盤に次々商品の種類を増やし和菓子、洋菓子と販売を展開していた。が、開店当初は販売商品にはふんわり系(←和菓子やケーキ類のことだと考える)が多かった。そこでかっちり系の商品を考えようという話が出てきた。ふんわり系の菓子は賞味期限も短くお土産用には向かない。かっちり系をお店の商品に加えたい。

何かお店独自の新たな商品を作りたく、「秋田と言えば・・・」をあれこれ考えた末に浮かんだ物が誰もが知っている「👹なまはげ」だったそうだ。
なまはげの最中の皮に何を入れるか! たくさんの最中ダネが候補に挙がり試行錯誤の末に残ったのが赤いなまはげ <プレーン味> だった。プレーン味の和風サブレの材料はHPに大潟村産米粉、男鹿半島の塩、黒胡麻と書かれている。なまはげの古風さとサブレの新しさが合わさって他には無い独特な食味が生まれている。この組み合わせが正に発明なんじゃないだろうか。今までどこのお店にも並んでなかったお菓子なので作り方の詳細は聞けなかったが出来上がった菓子を販売する為の苦心した点を今回伺うことができた。

最中を作る時に難しいのが袋の透明部分から見える「鼻」で、顎の輪郭部分も欠けやすい。私は鼻ぺちゃも可愛いと思うがお店では売り物から外してしまうそうだ。買う側から見るとこの恐い顔が人懐っこくも思える。2種の最中種が入ったこの顔が美味しいし愛おしく見える。

どこが足りない?

いったいどんなのが廃棄になってしまうのかも尋ねたが、まるで間違い探しのようだ。この写真の正解は少し鼻ぺちゃさんで左耳が欠けている所だった。上にある袋に入った正規商品と鼻の高さを比べてほしい。鼻のふっくら度が違う。袋に入っていると気づかず食べてしまいそうだが、実はこんな細かな部分にまで神経が行き届いている。
最中なので湿気りやすく、湿気るとサクッと感が損なわれる。その為この菓子は個包装、空気を抜く為特殊な素材の袋が使われ、除湿剤を入れ乾燥を長期間(1カ月以上)保てるように工夫されている。この菓子の誕生以降それまでの定番どら焼きより賞味期限が長い為お土産用として購入してくれるお客様が増えたという。

この商品は量産ができないらしく、販売が秋田の店舗秋田駅秋田空港、東京の秋田アンテナショップである有楽町交通会館品川秋田美彩館でしか買えない。ネットの秋田県物産振興会秋田空港おみやげ広場でもオンライン購入ができるが発送日が未定の時期も多い。現状、需要が供給を大きく上回ってしまう商品でもある。
と、そのように今まで紹介してきたが今回にこりさんと話していてあと1か所、九州にも買える場所があることが判った。福岡県にある「みちのく夢プラザ」に青森・岩手・秋田のおすすめ商品50品目が並ぶ特設コーナーがあり、その中になまはげのおくりものも置かれているそうだ。但し1回の納入数は少なめとのことだった。品切れの時も有るが、お近くの人はチェックしてほしい。それとたまに全国の百貨店で東北物産展秋田展が開催されている。出品数が少ないそうだが出逢うことができたら手に取りたい。

なまはげを 書 にして贈る👹🖌(5)に続く
なまはげを 書 にして贈る👹🖌(5)|すぎもとかよこ|note

このnote のマガジン
なまはげを 書 にして贈る👹🖌|すぎもとかよこ|note



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?