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【ミュージカル】劇団四季「ロボット・イン・ザ・ガーデン」の感想(※ネタばれあり)

長い、けど深い。

劇団四季の「ロボット・イン・ザ・ガーデン」を観るのは、2回目。1回目も生配信を視聴したけど、今回もパソコン越しに舞台を見た。

結論としては、3時間はやっぱ長い…。ミュージカルというよりかは、ストリートプレイ+音楽、みたいな印象の舞台だから、僕みたいに会話劇を久々に見る人にとっては、少々飽きが訪れる可能性あり。

でも、だからといってストーリーがつまらないか、というそうではなく。後半のクライマックスに向かう流れも含め、面白い原作を頑張って3時間(休憩覗くと2時間40分)にまとめた、という印象だ。

ここからは完全に私見だけど、僕自身、劇団四季のオリジナルミュージカルは少しとっつきにいところがあって。というのも、やっぱり「子供向けミュージカル」の域を出ないから。言葉を選ばずに言うと、“道徳の教科書”を読んでいるような感覚。たしかに感動するけど、心に響かないことが多かった。

一方で、最新のオリジナルミュージカルのひとつ「はじまりの木~」や、今回の「ロボット~~」は、物語こそ子供向けだけど、30を超えたオトナの胸にも迫るものがあったのは、自分でもびっくり。

理由としては、「刺激的な描写(背景)」のある・なし、かなと。

たとえば「はじまりの木~」では、"生贄"が物語のフックになっていて、今も世の中にはびこる奇妙な慣習を彷彿とさせる。

「ロボット~」では、主人公のベンと、ロボットのタングがたどり着いたホテルが“ラブホテル”で、さらには、乱暴に扱われたであろうアンドロイドが瀕死の状態で駆け込んでくる。ホテルの場面は、ダンスや衣装も含め、劇団四季の中では結構な官能シーンだけど、人間性(ロボット性?)を尊重せず、わがまま放題に生きる現代の人間の様を描写しているのかな、と僕には見えた。

そもそも、舞台の良さは「衝撃」にあると思ってて。例えは良くないかもだけど、自分の1メートル手前で人が殴られている瞬間をリアルに見るのと、1メートル手前の画面越しに人が殴られている様子を見るのとでは、やっぱり衝撃が違う。良い意味でも悪い意味でも、記憶に残り続けるのは「リアル」のほうかと思うし、まさにそれが舞台の醍醐味だと思う。

その点「ロボット~」は、「人間とロボットとの共存(軋轢)」といったテーマを美化することなく、あえて生々しく描写した点に秀逸さが感じられた。そこに描かれているのがリアルだからこそ、舞台ならではの面白さが胸に迫ってきたのだ(と思う)。

まぁ、僕の好みもあるかもだけど、「コーラスライン」とかはまさに“リアルさ”の典型だし、思春期の恋模様を描いた「春の目覚め」も、同じくガツンとハートに刺さる衝撃がある。

今回は映像配信だし、そもそも「ロボット~」を劇場に行って観てないから、本当の衝撃を受けていないのかも、しれない。

それでも、四季のオリジナルミュージカルの本気度をまた感じられて、ファンとしては嬉しかったし、この先に控えているオリジナルミュージカル「バケモノの子」にも、かなり期待が持てた。

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