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蜃気楼ツアーファイナル

蜃気楼

山口一郎とゆう1人のミュージシャンが
療養期間を経て
再びステージに立ち歌う姿を
どうしても見たい

その勇姿に精一杯の拍手を送って
その背中を応援したいと

初日の小樽
そして千秋楽の東京
参加することが出来ました

この旅を終えた今だからこそ
ここにやっと記せる気がします


初めての遠征
思い切って1人で飛んだ小樽

蜃気楼 初日 小樽市民会館


一郎さんの地元
小樽での初日の公演は
その緊張の吐息までもが
ひしひしと伝わってくるくらい
手に汗握る時間でした

客席で自身の手をずっと強く握って
祈っていた気がします

全身から鳴り響いた震える歌声と
ちょっと外れたギターコード

だけども力強い芯を持って歌い上げる
それでいて生臭い

現在そのままの一郎さんがそこにいて
それはとても人間らしく儚くて
激しく胸を打った

「だって緊張するじゃない」
と、

10分休憩明けの
フラットなステージで言った一郎さんは
会場のお客さん側になかなか目を向けて話せずに
横に座った浦本さんに何度も目を向け
そして浦本さんは丸々と受け取めていたっけ

自身の緊張に共感を願うように
ステージに上がったFOHの皆さんに
「緊張してます?」と聞いていた一郎さん

FOHの皆さんを上に上げた今回のステージ
「さみしいから」と言った気持ちは
笑いで会場の緊張を解す為かもしれないけれど
あながち嘘じゃないよね、と悟った

そしてその4人は何度も
サカナクションの姿と重なったんだ

FOHの4人
そして舞台袖にいらしたであろう
全てのスタッフさん達が
一郎さんの背中を見守って
そっと押していたそんな時間だったと思う
それは客席も同じだった

堪えても堪えても流れ出る涙はとてもあつくて
両隣りの人たちも皆静かに啜り泣いていたっけ

あの時一郎さんが心から歌い上げた
様々な曲たちを今、いつどこで聴いても
あの小樽のステージを思い出せた


そして東京ガーデンシアター
千秋楽

同時配信も行われる場所
会場にいた皆も配信で見ているであろう皆も
気持ちは同じだった

私の当てたチケットはS席 Aブロック
空地くんの当てたチケットはA席5階1番後ろ

息子に、より近い場所で見せてあげたいと
場所を交換しようと提案すると
「俺が当てたチケットだから俺の場所でいいよ。
双眼鏡あれば全体見れるのわかったし。
何よりお母さん。
もしもメンバーがサプライズで出てきたとして
5階で見えなかったら泣くんじゃない?」
と、決して席を代わろうとしなかった息子

受験生の空地くん
中学校生活は不登校を選択し
この3年間苦しんだけれど彼は
自分で支援センターに通い
和菓子職人になりたいと
これから調理師学校を目指す

もがき苦しみ
それでも立ち上がり
その姿はとても、力強かった

その空地くんが引っこ抜いた
今回のトレードのチケットは
きっと意味があるんだろうと思った

一郎さんのステージを見た後の彼は
どう言葉を発するのだろうととても楽しみだった

千秋楽当日
インフルエンザ後の咳が止まらず
電車が不安だったのと
息子とゆっくり話す時間も欲しかったので
車で向かった

TwitterやDJの場
様々な場所で出逢ってくれた魚民の皆さん
今回は運良くトレードを当てた空地くんを
皆さんに紹介する事も出来た

魚友さんが声をかけてくれた
一郎さんへの花束💐に参加させていただいた

嬉しかったなあ
私はいつも1人のライブだったのに
たった数年で今はこうして
皆と言葉と気持ちを交わす事が出来る

たっぷり。
一郎さんのラッキーカラー💛


魚民の皆さんとご挨拶をし
トイレを5回くらい済まし(落ち着け尿意)
いざそのステージを迎えた

そわそわ。トイレトイレ…と。
千秋楽も一緒

8000人が迎える拍手の中一郎さんは
ブザーと共にステージのスポットライトの中に立った


深々とお辞儀をし
歌い上げた第一声
その瞬間
小樽初日のあのステージと重ねて私は
目を瞑る

数々の葛藤があっただろう
もがき苦しむ夜もあっただろう

フードをかぶってサングラスにマスク
全身黒づくめで姿を現した時も

YouTube配信が始まり
皆と話すと元気になると言って
たくさんのファンと交わしたコミュニケーションも

チュール舐め舐めリハビリ歌唱大会も

それを楽しみに生きた自分のこの日々も
全てはこのステージの為
そして、これからの為

目を開けるとそこには
また違った一郎さんが立っていた

その歌声はとてものびやかで
艶やかで
奏でるギターも力強かった

そして何より
まっすぐ前を向いていたっけ

そしてやっぱり
縄跳び飛んでいたっけ

お生で拝見するのはお初の
推しが縄を跳んでる姿

推しがステージにて縄を飛んでいる

なかなかなものだ
なかなかなものだ

静かに数を数える浦本さん
数と共に頭を揺らして見守る会場

飛びながら
だんだんだんだん左へ左へとズレる推し

あれはサービス精神からなのか
それともただ苦しいからなのか

O脚になり苦しそうにするも
100回を飛び切った

アイデンティティだ
駆け寄ってマイクを握る

途中動悸息切れから一郎さんが歌えなくなると
会場のどこからともなく
支えるように歌声が響いた

一緒に歌いましょうと誘っているようだった

嗚呼やっと
本当にやっと
声を出して皆で歌えるようになったんだ
こうしてサカナクションを皆で歌えるんだ
推しはハアハア言ってるけども

シャンディガフ
何回皆で真夜中に聞いたっけ
流れるコメント
流れるスパチャ
さいならっきょのポーズと
振り返る夜

そして一郎さんは初めてハッキリと
自身の病名を口にする
「弱音を吐くのは
この病気の事話すのは今日で最後です。」

その後の長い長い沈黙
天を仰ぎながら
溢れそうな涙を抑えるように
そしてその日々を振り返るように
一言

「しんどかった」 と言った

その瞬間
会場から「あぁ…」と言葉が漏れたんだ

一郎さんはやっと言えたんだ
抱えた日々を私達にも話してくれたんだ

その後会場から聞こえた
「おかえり」の言葉と
拍手

一郎さんは言葉を絞り出すように
「新しいサカナクションで必ず
皆さんの元へ、帰ってきます」
と、言った

私達ファンへ贈る言葉に果たして
それ以上の言葉があるだろうか

なんて強い人なんだ

隠す事なく曝け出して
前へ進むことを、惜しまない

サカナクションに出逢えて良かった
山口一郎と言う人に出逢えて良かった
サカナクションを選んだ自分を褒めたい笑

「ここで重大発表があります!」
(おおっ??待ってました!)
「サカナクション4月から、完全復活だー!」
(おおっ! でもそれ聞いた…な…⁈……)
からの、暗転。
(ええええええええぇぇぇーー)
からの、なんだか生ドラムの音
(ええええええええええええええええーーっ)

どよめく会場
揺れる会場

その隙間からメンバーの姿が見えた時

飛んだよねぇ………
気持ちは50メートルくらい上に飛んだよね
実際は5センチしか飛べてないけど

もしかしたら…とは思っていたけど
ステージにドラムは見えないし
登場するとしても鼓笛隊みたいなドラムで来る訳なかろうし…と思っていた…ら!!

まさかの!!

5階から見ていた空地くんの場からは
その全てが見えていたようで

台の上に乗って
4人のメンバーがズズズっと出てきたんだよ!
と、教えてくれました

会場一人一人と目を合わすように見渡しながら
ノリッノリのギターソロを鳴らすもっち

いつもはクールに鳴らすドラム姿が多い江島氏も
隙間から見えた表情はなんとも嬉しそうで…
私もただただ嬉しかったよ…😭

あみちゃんも笑顔溢れて和かに髪を揺らし
ベースをブリブリ響かせ

ザッキーも口元を緩めて
その細い指先から軽やかなメロディを鳴らす

一郎さんも晴れやかな笑顔で歌い上げてる
5人揃ったらなんだか目元の力が違うぞ!!

ファンももちろん待っていたけれど
サカナクション復活のステージを
誰より待っていたのはきっとメンバーの5人

会場が揺れて
涙と皆の飛び跳ねる姿とで
前は全然見えなかったけれど

これぞサカナクションのライブ!!でした

新宝島が新しい新宝島として輝いたステージだった

待っていたよ
そしてこれからもずっと応援していくよ

思う存分その音楽を鳴らしてください

幸せだな。ほんと。ありがとう一郎さん
私達の前に戻ってきてくれて!!!

空地くんは帰り際に興奮した様子で言ったよ
「お母さん。さいっこうだったね!!」
ってさ。


アキチとボキチ。


そして今日
やっとアーカイブをゆっくり見れました

それはまるで、ノンフィクションの
1本の映画を観ているようだった

見れなくなってもまた
いつでも脳内で再生できるような…
あの時あんなシーンあったよねって
皆で語り合えるような

サカナクションの17年の軌跡の中のワンシーン

私の中の、小樽と、東京。

ありがとうサカナクション。

turn。
弾けそうに楽しみにしてまた、生きる。

1upと思ったらturn。
はい、ドン!


turn。



2024.01.14
蜃気楼。


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