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「おやすみ、ロジャー」のせいで深夜番組が見れなくなった。

最近、娘の寝かしつけが「おやすみ、ロジャー」のおかげで一瞬で終わるようになった。

数年前に購入したものの、当時3、4歳だった娘にはあまり効果がなく、まぁこんなものか、としばらく放置していた絵本。
復活のきっかけは、8歳になった長女が、当時4歳の次女に戯れで読み聞かせをしたこと。
あまり読んでいなかった本だというもの珍しさもあって、妹に読んで見せたところ、8歳児のほうが眠気に耐えられなくなったのだとか。
なるほど、この本の睡眠効果は、ある程度イマジネーションがコントロールできるようになってから効果を発揮するのか。

それ以来、眠れないなと思ったら「おやすみ、ロジャー」を読んで寝る、という行動様式を取っていた長女なのだが、とあるタイミングで、自分で読むのをやめてしまった。
何故かと言えば、途中で登場する「おねむのかたつむり」を見ると笑ってしまうからだ。

眠りたくても眠れないうさぎのロジャーが、だれでも眠らせてくれる「あくびおじさん」のもとを訪ねる道中で、動物たちが眠りのヒントを教えてくれるというストーリー。
「おねむのかたつむり」も、ヒントをくれる動物のひとりなのだが、このキャラデザが、どうにもおかしい。
音で聞く分には、目がとろんとしたかたつむりのキャラクターを想像する。
"おねむの"と枕詞がつくことを踏まえれば、どう転んだって可愛い系のキャラデザであるべきだし、たとえ外国作家らしい写実的な描写になっていたとしても、かたつむりで大事故になるなんて考えにくい。
考えにくいのだが、実物を見た瞬間、「嘘でしょ!?」と叫んでしまった。

まず、殻はいい。
殻は、デフォルメされたかたつむりの殻だ。
違和感があるのは、そこから繋がっている体で、何故だか青い。
スウェーデンのかたつむりは、青い個体が一般的なのだろうか。
日本人の美的感覚としては、ゾンビ的というか、妙な不気味さを受け取ってしまうのだが......
いや、正確に言えば、そこはたいした問題ではないな。
顔、そう、顔である。
ソクラテスやプラトンといった偉大な哲学者を思い起こさせる、豊かな髭をたくわえた禿頭の老人の顔が、青いかたつむりの胴体の先端に張り付いているのだ。(百聞は一見に如かず、検索してみてほしい。)
他の動物は、ちゃんと動物として登場しているのに、どうしてかたつむりだけ人間の、しかも老人の青白い顔を採用してしまったのだろう。
寝かしつけする側が寝てしまい、ミイラ取りがミイラになる状態にならないように、目が覚めるツッコミポイントを設けたとでも言うのか。
本来、目である部分は、外観だけが反映されていて、禿頭の先ににょろにょろと触覚のように伸びて、気持ち悪さを増大させていた。

それが共通認識として一家の中に共有されてしまうと、「おねむのかたつむり」が出てくる前に眠りにつけば、みんなが幸せ。
出てきてしまったら、読み手も聴き手も噴き出して目が冴えてしまうため、寝かしつけ的には真逆の効果を生むという、一か八かの博打的な読み聞かせに。
数年寝かせてようやく効果を発揮してきた「おやすみ、ロジャー」の絵本は、たった数週間でお役御免となってしまった。

とはいえ、当たったときの効果はてき面。
どうにかならないものか、と調べてみると、水樹奈々や中村悠一による公式の朗読データが販売されていることを知る。
朗読データであれば、本を読むために電気を消せないというネックが解消されるし、読み手が寝落ちすることもなければ、噴き出しもしない。
幸いにも、YouTubeに公式の試聴動画がアップされており、効果を確認してみることもできる。
前半の10分ぐらいでフェードアウトしてしまうが、「おねむのかたつむり」まで辿り着かないことが確定しているので、かえって寝かしつけには最適だった。

プロの朗読、および効果音も使った睡眠導入は、その10分でも十分に効果あり。
大人も一緒に寝かしつけられてしまうというネックはあるが、動画が終わると楽天のCMが大音量で流れて、起こしてくれるので結果オーライ。
なんなら、続編の「おやすみ、エレン」の試聴動画もあり、組み合わせることで、飽きによる効果の低下を抑えることも出来る。
視聴動画だけで効かなくなってきたら、フルヴァージョンを購入するか、と思ってはいるのだが、最近はパブロフの犬的に、最初のBGMが聞こえるだけで眠くなってしまうと言っているので、なかなかそのフェーズにならず忍びない気持ちだ。

ちなみに、続編の「おやすみ、エレン」は、「おやすみ、ロジャー」のキャラデザが日本人の感覚と合わなかったことから、イラストの雰囲気が大幅に変わっているのだとか。
よかった、「おねむのかたつむり」が受け入れられないの、我が家だけではなかったんだな。

読み聞かせ期を卒業した年代にこそ効果あり。
暑さで寝つきが悪くなる、これからの時期には、特に重宝しそうである。

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