オッペンハイマー感想

以下ガンガンにネタバレするので注意









オレは注意したぞ!









注意したからな!








行くぞ!










1. オッペンハイマー概要

映画の前半は主にオッペンハイマーが原爆を開発するまで、後半は主にオッペンハイマーがソ連のスパイの容疑をかけられて公職を追放されるまでが描かれてる。

「主に」っていうのは、クリストファーノーランではお馴染み、時系列シャッフルがあるので、前半でもちょくちょく裁判の様子が挟まれる。

これのおかげで3時間という長編映画を飽きずに見られるが、その一方で無駄にややこしくて分かりにくくもなってる。

自分は勝手に「映画の後半の裁判(のようなもの)では、前半に出てきた人物が証言をひっくり返してくれるのかな?」という、ある種の伏線回収的なのを期待して注意深く見たのだが、特にそんな事はなくてちょっと肩透かしだった。

前半でオッペンハイマーと仲悪い人は後半でもガンガンオッペンハイマーに不利な発言をしてくる。

裁判(のようなもの)での大逆転とかも(ありそうな雰囲気醸し出しておいて)全然なく、オッペンハイマーは普通に公職を追放される。可愛そ〜。

まぁここは史実に基づく以上仕方ないのかなとも思うが、映画としての爽快感には欠けてやや冗長だった。

2. 原爆について

オッペンハイマーの感想を述べるにあたって避けて通れないのは原爆についてだろう。

映画オッペンハイマーの中での原爆の描かれ方は日本映画のそれとは大きく異なっていて面白かった。

「ナチスやソ連に先を越されては世界が破滅してしまう」「世界平和のためにも我が国が1番に原爆を完成させねば」的な側面が、特に映画の前半では強調されていた。

この立場が正しいものかどうかは置いておいて、当時のアメリカの空気感が伝わってきてとても良かった。

第二次世界大戦当時の日本兵が「アジアを侵略するぞ!」というよりは寧ろ「鬼畜米英をアジアから追い出して平和を守るぞ!」みたいな勢いだったのと同じように、アメリカの科学者も当時は正義感に駆られてやっている部分があったのだろう。

3. オッペンハイマーという人物について

オッペンハイマーは原爆の父であるが、後にそれを後悔したようだ。

それはトルーマン大統領に「私は自分の手が血塗られたように感じます」と言ったことや「我は死なり。世界の破壊者なり。」と演説したことからも伺える。

これは事前に知識として知ってた。

知ってたけど

映画として改めて見ると「コイツ都合良いな〜」と思ってしまった。

作ったのお前やろがい。

これは映画の中でも、オッペンハイマーと敵対するジジイから言われていた(本作はジジイが大量に出てきて名前が覚えられない)。

「原爆開発者としての栄誉と、軍縮を唱える悲劇の英雄の両方を欲しがって感傷に浸ってる」的なセリフ(うろ覚え)だったと思うが、映画館の椅子の上で思わず頷いてしまった。

性欲が強いやつは出世欲も強いし自己顕示欲も強い。

こういう奴には総じて録なやつがいないし、話が想像を絶するほどつまらない。

6ヶ国語を操るオッペンハイマーであれば流石に話は面白いと信じたいが……。

何はともあれ、オッペンハイマーの行動は矛盾だらけで無茶苦茶だったし、あんまり良い印象ではなかった。

3.1 科学者は自分の仕事に責任を持つのか?


そんなオッペンハイマーの中でも特に理解し難いのは、原爆開発中の
「科学者は政府から頼まれて仕事をしているだけで、開発したものについて権利も義務も負わない」
という立場だ。

自分は
「ナチスやソ連に原爆を作られるとマズイ」
→「だからアメリカが先に開発して、拮抗状態を作る必要がある」
→「だから原爆は開発するけど、使用には反対です」
という立場は理解出来る。

自分が当時を生きるアメリカ人なら賛成しただろうし、物理学の才能があればマンハッタン計画にも参加してたかもしれない。

だがロバート・オッペンハイマーの立場はそれとは異なる。

「自分たちは雇われ科学者で、開発した原爆については権利も義務もない」と言うのだ。

そりゃあねぇだろう。

しかも研究所の長が、だ。

科学者に限らず、この世にあるありとあらゆる仕事は、その成果に対して権利と義務を負うと自分は信じている。

この部分に関しては明確にオッペンハイマーと相容れなかった。

少し穿った見方をすれば、そういう考え方をする科学者を政府側が研究所のリーダーに選別した可能性も考えられるが、作中のオッペンハイマーの政府に対する態度を見るにその可能性は低いと思う。

彼は逃げたのだ。

4. 総評

オッペンハイマーという人物は好きになれなかったが、彼や原爆の良くない所もきちんと描写したオッペンハイマーという映画は誠実だと思った。

ただ面白いかと言われると微妙かな。3時間は長い。

特に後半の裁判っぽいやつの下り、ぶっちゃけオッペンハイマーがソ連のスパイどうこうは口実に過ぎなくて、彼が下ろされた本当の理由は彼が水爆開発に反対したり軍縮キャンペーンをやり始めたからだ。

その時点で負ける事は確定してるんだからあんなに念入りにやらんでも良くない?おしっこに行きたいよおじさんは。

以上感想でした。これは映画を見て数日後に書いてるのでまた意見が変わるかもわからんです。

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