『さかたのニュースまとめ』の企画として『ニュース三角測量』と題し、一つの出来事に対する各国の報道内容に注目した。
※初回であり試験的という点を了承いただきたい。
ご一読いただけると幸いである。
対象について
執筆するにあたり、対象とする〈出来事〉とそれを報じている〈メディア〉を選択する。
出来事(ニュース)
今月2日、ガザ地区でイスラエル軍が慈善団体〈ワールド・セントラル・キッチン〉の車両を攻撃しスタッフが死亡した。
このニュースを対象に、各メディアの記事を抜粋して比較する。
注目するメディア
1.ワシントンポスト(アメリカ)
2.アルジャジーラ(カタール)
3.エルサレムポスト(イスラエル) ※中道右派
記事をよむ
※英文記事に関しては、Google翻訳を元に適宜修正。
1.ワシントンポスト(アメリカ)
IDF launches inquiry into deaths of World Central Kitchen staff in Gaza strike(イスラエル軍、ガザ攻撃でのWCKスタッフの死亡に関する調査を開始) - the Washington Post
※埋め込み不可によりリンクで代用。
ワシントンポストの『イスラエル軍、ガザ攻撃でのWCK(ワールド・セントラル・キッチン)スタッフの死亡に関する調査を開始』という見出しの記事(以下、〈WP記事〉と表記)。
WP記事から以下に抜粋しているように、WCKへのインタビュー内容が冒頭にある。
そして、イスラエル軍の声明が続く。
ガザ(パレスチナ政府?)側のイスラエルを非難する声も報じている。
さらに最後には、今回の攻撃でオーストラリア人スタッフも死亡したため、オーストラリア政府報道官の発言も取り上げている(省略)。
このWP記事は4月1日付(アメリカ時間)であり、WCKスタッフ死亡が判明した直後と思われる。
各方面からの情報がバランス良く取り上げられている。
2.アルジャジーラ(カタール)
アルジャジーラは『イスラエルの攻撃でWCK(ワールド・セントラル・キッチン)の従業員7人死亡』という見出しの記事(以下、〈AJ記事〉と表記)。
AJ記事では以下のように、ガザの状況や“生々しさを伝える”報道という印象を受ける。
AJ記事内では、この攻撃で死亡したスタッフの遺体から回収したのであろう血のついたパスポートや遺体の写真が掲載されている。
WCK側がイスラエルを非難する声も報じている。
AJ記事は死亡したWCKスタッフとパレスチナ人運転手の遺体の行方をもって締め括っている。
3.エルサレムポスト(イスラエル)
エルサレムポストの『ユダヤ人団体*1、援助関係者を殺害した攻撃に苦悩、責任の所在が分かれる』という見出しの記事(以下、〈JP記事〉と表記)。
筆者は“責任の所在が分かれる”の部分に注目した。
*1 アメリカのユダヤ人団体
以下はJP記事の冒頭文である。
まずは見出しから冒頭文までに、“ユダヤ人団体によって意見が異なる”という点を伝えている。
そして、このJP記事は以下のように、強くハマスを批判している団体の言葉で締め括られている。
このJP記事では、ハマスに対する批判の声ばかりではなく、以下のように様々な意見があることを報じている点には注意したい。
まとめ
今回取り上げた3つの記事は、報じられたタイミングが若干異なるため、単純には比較できない。
しかし、報じている各国の立場が投影されているようにも見える。
アメリカは停戦とイスラエルとの関係の狭間で揺れ、アラブ諸国の一つであるカタールは停戦の仲介を行うなかで同じアラブの同胞が命を奪われている。
イスラエルにしてみれば、ハマスに対する報復であり自国の安全を確保するために戦っている。
各国の立場を考えることにより、ガザ情勢の行方や落とし所が見えてくるのかもしれない。
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Bluesky:@sakatatakuro.bsky.social
©️さかた拓郎