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#08 貴醸酒の今後の展望について

今回の問題

貴醸酒の今後の展望について述べよ。(2021年)

自分の回答

200字回答

貴醸酒は、留添の際に汲水の代わりに日本酒を添加して造られる日本酒で、日本酒の付加価値を高めるために1973年に開発された。日本酒度が-40ほどと非常に甘味が強く、またリンゴ酸を主体とした爽やかな酸味があるため、フォアグラのテリーヌや金華ハムの蜜煮など和食以外とも相性が良い。またデザートワインのような食後酒としても適するため、日本だけでなく海外でも幅広く受け入れられる可能性がある。(191字)

回答の要素

貴醸酒とは
留添の仕込みの時に、汲水の代わりに日本酒を添加し発酵させることで造られた日本酒。
日本酒の付加価値を高めるため旧国税庁醸造試験所(現 酒類総合研究所)で1973(昭和48)年に開発された。
平安時代の『延喜式』にある「しおり(塩折)」を再現したものとも言われる。
日本酒度 -40と非常に甘味が強く、リンゴ酸を主体とした爽やかな酸味がある。

今後の展望
フォアグラのテリーヌや金華ハムの蜜煮など和食以外とも相性が良い。
デザートワインのような食後酒としても適する。
海外で幅広く受け入れられる可能性がある。

回答の構成

・留添、酒で仕込む
・1973年付加価値
・日本酒度-40、強い甘味、リンゴ酸の爽やかな酸味
・フォアグラのテリーヌ、金華ハムの蜜煮
・デザートワイン、食後酒
・海外需要が拡大

回答の補足

「国賓を招いた晩餐会の乾杯酒にふさわしい、高級な日本酒を造ろう」というコンセプトのもと開発されたのが貴醸酒。「貴腐ワインに比較されるタイプの高級日本酒」として、佐藤信(さとうしん)博士によって名付けられた。

佐藤博士の論文を読むと、様々な方向性で新タイプの清酒を検討していたことがわかる。ヤマタノオロチを退治した八塩折之酒からの着想もあっただろうが、それ以上にかなりマーケティング戦略的に考案されている。

清酒の変わり種 マトリクス図(佐藤 他 (1976))

最後に掲載されているアンケート結果。乾杯やおもてなしに…という開発者の思惑とは裏腹に、しっかり「自分で楽しみたい」「夫婦で楽しみたい」が上位を占めているのが、良い。人間だもの。

佐藤 他 (1976)

また、1973年は色々発売された年である。高千穂ではそば焼酎が発売され、福岡では減圧蒸留機を用いた最初の商品が発売された。

他の回答

先人たちの回答

貴醸酒は日本酒の付加価値を高めるため国税庁醸造試験所で開発された酒で、留添の汲水の際に水ではなく酒で仕込む製法で、平安時代の延喜式にある「しおり」を再現したものだ。日本酒度−40ほどになるため、デザートワイン的な存在として今後可能性がある。リンゴ酸が多いためサッパリしていて熟成による旨味も強いので、ただ甘いだけでない。貴醸酒でしか合わせられない食べ物も多いはずだ。西洋料理とも合わせられるだろう。

すしログさん
https://sushi-blog.com/sakelog/sake-diploma-essay/

貴醸酒は、留添の仕込みの時に、汲水の水を減らし、その分に相当する量の日本酒を添加し発酵させることで造られる日本酒である。付加価値の高い日本酒を開発する目的で造られた。日本酒度がマイナス40ほどと非常に甘味が強く、リンゴ酸を主体とした爽やかな酸味があることが特徴である。フォアグラのテリーヌなど洋食との相性が良い。普段日本酒を飲まない層にも受け入れられる可能性があり、今後発展していくと思われる。

えすにっくさん
https://ethnicsake.blog.fc2.com/blog-entry-165.html

参考文献

J.S.A SAKE DIPLOMA 教本(Third Edition)p. 103
SAKETIMES, 水の代わりに清酒で仕込んだ濃厚で甘いお酒「貴醸酒」【専門用語を知って日本酒をもっと楽しく!】, 2021年11月4日, 閲覧2023年9月27日
伊藤 彰敏, 清酒を原料とする清酒「貴醸酒」, あいち産業科学技術総合センターニュース, 2016, 7月号, p. 4
佐藤 信, 大場 俊輝, 高橋 康次郎, 蓼沼 誠, 清酒でつくる清酒いわゆる貴醸酒を開発するまで, 日本釀造協會雜誌, 1976, 71 巻, 8 号, p. 593-599
日本釀造協會雜誌編集部, 清酒の多様化とは<座談会; 出席者 大塚 謙一, 小武山 温之, 佐藤 信, 武藤 浩, 吉沢 淑>, 日本釀造協會雜誌, 1974, 69 巻, 12 号, p. 791-796

※ 引用時に出典URLを明記したものは省きました。
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