読書感想 成功する子失敗する子 ポール・タフ

先日読んだ「学力の経済学 中室牧子」の中で引用されていた本。2013年に刊行され、その後現在に至るまでの教育理論の大きな流れを作った本といえると思います。

「科学的根拠=エビデンスに基づいた教育」「子供の成功にとって大事なのは知能ではなく性格の強み=非認知能力である」

この2点が本書の骨子。

以前、(アメリカの)教育理論では、知能テストや学力テストで図ることのできる「認知能力」が子供の将来を決定する、という考え方が主流だった。でも今では我々でもなんとなく「テストでは図ることのできない性格的な能力、やる気だったり、やり抜く力だったり、コミュニケーション能力だったり、が重要な要素なのだ」と思っていたりする。その転換点となった書籍であるようです。

「エビデンスに基づく」とはいえ内容的には「データで示されている」ようなものではなく、どちらかというと、いくつかのテーマ、フェーズに分けられた、教育者や子供(特に貧困層)とのかかわりの中で、ある意味「短編的」「物語的」にその内容が語られる、という形式をとっており、例えば「やり抜く力がどれほど大切か」といったテーマが何度となく繰り返し語られるので、なかなかに読み進めづらいところもある。物語、といってもそれほど劇的なものではないため。
でも、それでも読み進めていくと「筆者の考え、主張」が自然と納得感をもって体にしみこんでくるように感じます。

「20回通読した」というような読書感想も見かけるしそれだけの価値がある本だと思うんだけど、僕にはとてもそれは無理そう。良いと思った本はなるべく再読するようにしているんだけど、この本は何なら2回目も難しそう。ちょっと退屈してしまい読めなそうです。しかしそれに反して、読んでよかった本だった、と強く感じます。

5歳の子供を持つ親として、「根本のところでどう考えるべきなのか」ということを考えさせられ、また日頃の思いを強化、後押し、してくれる内容でした。

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