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イギリス海外就職⑦ レイオフされた同僚たちが語ること

アラフォー手前でイギリス大学院に進学し、そのまま現地就職したさけとばです。

前回は、会社の人員削減方針により、私の所属する部門の4チームのうち2チームが消滅することになった話を書きました。

今回はその続き。レイオフされることになってしまった同僚たちとの最後のコミュニケーションで感じた事について紹介していきたいと思います。


部門内にレイオフの告知がされた翌日、残念ながらその対象となってしまった同僚の何人かとコミュニケーションをとることが出来ました。

幸い私たちの組織では、ドラマで見るような「レイオフを告げられたらPCは即没収→段ボールに荷物を詰めて即退場」のようなお別れの形ではなく、数日はアクセスや簡単な引継ぎが許されたため、人によっては最後のお別れコールやチャットをしてくれました。(勿論全員ではなく、告知があった以降は全く音信不通になるメンバーもいたので、個人の裁量によるようです)

組織を去る彼ら、彼女らと接する中で印象深かった事3点を今日は紹介します。

1.最後までプロフェッショナルで前向き


日系企業@日本での就労が長かったため、レイオフに遭遇するのは初めての経験です。「誰が対象になった」という話を上司から聞いたものの、その同僚にどう声をかけるべきか/かけないべきか分からず悶々としていました。

そんな中、レイオフの対象となった同僚の方からQuick Callできる?とチャットが届きました。もちろんNoとは言えず、すぐにコールをつなぎます。

同僚「やあ、さけとば! もう聞いたかもしれないけど、うちのチーム消滅することになっちゃったよ」
意外にもさっぱりした表情です。むしろ私の方がひどい顔をしていたように思います。

同僚「そんなに悲しそうな顔をしないで、これは組織としての意思決定だから仕方ないよ。」
(おお、そんな大人な発言をするのね。。どこまで君はスマートなのだ。。)と思いつつ、私がすまなそうにしても仕方ないと思い直し、感謝を伝えることにしました。

さけとば「この結果をとても残念に思っているよ。。まだ私は受け止められていないけど、あなたと仕事をして色々なことを学ばせてもらったよ。◎◎プロジェクトとか、本当に助けてもらったよね。。」

同僚「僕も君と仕事が出来て楽しかったよ。君は自分で思っているより、ちゃんと出来ている事ばかりだよ。だから自信を持って。応援してるよ」

(なんと、この期に及んで、自分の事より、私の事を労わってくれるのか。。なんと大人な。。)

同僚「最後まで一緒にやり遂げたかったけど、成功を祈っている!Linkedinのつながり申請しておいたから、これからも宜しくだぜ!」

そんなポジティブな感じでコールは終わりました。
こんなに清々しく旅立っていくのか。。どんな励ましの言葉をかければ良いのかな、、といった私の悩みは完全に杞憂に終わりました。

他のメンバーも大体は同じ形で、プライベートな簡単なチャットをして、お互いお礼を言って、Linkedinで繋がっていなかったらつながる、という流れでした。
これが常識なのか否かはまだ私の経験では判断できませんが、想定以上にさっぱりとした、そして前向きなお別れとなりました。

自分がレイオフを突然告げられたらこんな対応できるのかな?と思うと、まだまだ自分には経験値が足りないなと思うと共に、この同僚たちの成熟した対応に、改めて尊敬の気持ちを抱くことになりました。

2.LinkedinのステータスをOpen To Work に即変更し支援を求める

さて、次に驚いたことは、次のアクションの早さです。
上記のやりとりがあったので、Linkedinを開いてみると、同僚の多くは既に自分のプロフィールにある求職意向のステータスを「Open To Work (求職中)」に変更しており「私は◎◎のポジションを探しています。もし心当たりがあったら紹介してもらえると幸いです。皆さんのご支援に感謝します」という投稿を掲載していました。

そこには既に何十もの「いいね」がついており、メッセージには励ましの言葉や、個別に連絡するわ、といった温かい支援のコメントが複数寄せられていました。

おお、Linkedinってこうやって使うのか。。というとてもよい見本を見せてもらえました。

私だったら、数日はレイオフの事実に凹みそうだし、求職中というバナーを掲げるのは、つまり自分がレイオフされてしまったことをオープンにする事で、なんとなく恥ずかしいとか、知り合いに知られたくないという気持ちを抱いてしまいそうだな。。と最初は思いました。

でも、彼らの堂々とした態度を見ていて気が付いたのは、今回のレイオフって、よく考えてみると、個人の過失ではないし、あくまで組織の方針や事業の動向に由来するものだから、決して自分を責めたり、恥じたりする必要はないのかなという結論に至りました。

3.そんなに悲しい出来事ではない

レイオフされるという事実には、もちろん最初は戸惑う事になると思います。けれど、上手くいっていない事業や、組織体制をみだりに生存させようとしていたら、組織の非効率は消えないし、やがて船ごと沈むような結果にもなるでしょう。また、個人の知識やスキルがそのような環境下で錆びついていってしまうと、その後の自分のキャリアの展望も決して明るくはありません。

そう考えると、むやみやたらに存続させるより、一度リセットして再構築するというスタイルは、組織の観点は勿論、そこで働く個人の観点からも、決してデメリットではないということを、認識することができました。

解雇が難しい日本では、まずは配置転換を検討して雇用を維持することを最優先しますが、組織に残るためにやりたくもない仕事を継続することは本末転倒でもあります。欧米型の方がいい!という気はありませんが、いざというときに、しなやかに変化に対応できる、自分がキャリアのオーナーシップを持っている状態は常に作っておきたいなと考えさせる出来事となりました。

ここまでお付き合い頂きありがとうございました!
この記事に書いたことは、数年後に読むと当たり前やん!と思う内容かもなーと思ったのですが、今時点で自分が感じることを記録に残していきたいなと思います。



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