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母のお気に入りの湯飲みで飲んだ甲州ワインが忘れられない。

いつも湯飲みでビールや焼酎を飲んでいる、

酒好き&和食器好きの母。


私がワイナリーにいってお土産で買ってきた、

マルス山梨ワイナリー

「彩紅藤 甲州 2015年」を一緒に飲むことになりました。


母より先にテイスティングし、ワイングラスで飲んでいた私。


酸味も少なく、優しい味わいの中にほんのりと甘みがあって、

とても気に入りました。


「ちょっと、この湯飲みでいいから味見させて」と、

ビールを飲んですでにほろ酔いの母。


そんな湯飲みでは味がわからない、ちゃんとワイングラスで飲まないと、

と絶賛ソムリエ試験勉強中の私は思いましたが、

しぶしぶ湯飲みにワインをサーブ。



「うん!美味しい。ちょっと甘くておいしい。」と母。



私もおもむろに湯飲みに入ったワインを飲んでみました。






すると、、


すっごくおいしい。





まろやかで、やさしくて、おいしい。

それまでワイングラスで飲んでいた同じワインなのに、

味が全然違う。





なんだろう、この違いは。




湯飲みの飲み口の絶妙な分厚さと、唇にあたる陶磁器の優しさが

ワインのやさしい味わいを、さらに柔らかくしてくれている、

と感じました。





そのあとは、ワイングラスはほったらかして、

ひとつの湯呑みで母と奪い合うように飲みました。






しばらくしてから、

山梨県の人たちは一升瓶のワインを湯呑みで飲む、

と聞いたのを思い出し、あの時なぜあんなに美味しく感じたのか、

わかったような気がしました。



ソムリエ試験の勉強で、その土地の料理にはその土地のワインを合わせる、

と学びました。



それは酒器にも言えることなんだな、と

身をもって実感。



日本の湯飲みと日本ワイン。




絶妙なまろやかさ。

梨をかじった時のようなほのかな甘みと、みずみずしさ。

わざとらしさもなく、飲み疲れもしない、


とにかく優しい。



酒好きで、おしゃべり好きの母の屈託のない笑顔のように素直で

やさしい味わいでした。






このワインを思い出す時、母の笑顔も思い出します。


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