見出し画像

震災から自助と貯蓄を考える多事争論

能登半島地震から早くも1月が経過しようとしています。この間、各地域で相互の助け合いが行われたり、外部から様々な団体の支援が差し伸べられたりしてきました。

自分も1日だけではありますが 復旧作業の手伝いに参加しました。すこし主観になりますが、震災を契機として日本人の国民性を基に、自助共助、公助と貯蓄のことについて所感を書きなぐりたいと思います。


(1)本論

折しも今年1月からは新NISAが始まり、資産形成を勧める動きが活発になっています。震災や自助共助公助と全く脈絡がなく感じますが、日本人が投資ではなく貯蓄を好む国民性はどこからくるか考えたときに一つの仮説を考えました。

「日本人は災害に備えるために確実に貯えることが出来る貯蓄を選ぶ。」

Microsoft AIより

Microsoft AIに一つの質問を投げかけて見ました。なぜ、日本人は貯蓄が好きなのか。答えの一つとして「災害に備えるため」という回答が返ってきました。

自助努力という言葉は日本で危機に遭遇した場合、個人で解決をするという意味にとらえられがちです。被災時も初動は自助と言われています。多少の時間差を置いて、実績のある団体が共助として炊き出しなどの支援に動いたり、行政や自衛隊が公助として災害復旧や食料等の搬入を始めていますが、非常時のために備えておく自助は欠かせない状態です。

災害の発生は時を選びません。被災時に日頃の貯えを崩してことに当たるほか、仮設住居に入居した場合は一定期間の後、公営住宅に入居するか自力で家屋を再建することになります。非常に多くの費用が必要となりますが、その際に財源が値動きの激しい資産では心もとなくなります。

https://nikkei225fut.jp/historical/nikkei?period=all

上記のチャートは日経平均40年チャートです。ここ最近、日経平均がバブル後最高値を更新する等、明るい話題が多いですが、長い目で見て乱高下しているのが分かるかと思います。貯えることは重要なことですが、運用した挙句、いざ急な資金が必要となったときに溶けてなくなっていた(価格が下落していた)では悔やんでも悔やみきれません。

最近、後藤達也さんの著作で「転換の時代を生き抜く投資の教科書」が発刊されました。48ページにあるコラムの中には「日本人は安定性を好む傾向が強いとされてきました。」と記述があります。

ここ毎年何らかの地震災害、洪水水害が発生しています。いつ何時資金が”急に”必要になるのか分からないのが災害の多い日本です。生きるだけでリスクが多い、いつ多額の出費が必要になるか分からない国に暮らしていくうえでは自分の資産を守るために値動きの激しいものに手を出すより、元本割れしない現金預貯金に拘る考えは災害の発生という面からも見て取れるのかもしれません。(本論終わり)

(2)余論

話は変わりますが、自助共助というのは物事にコストがかかるのを防ぐ知恵ではないかと思うことがあります。駅前の花壇、業者に任せて整備をさせたらそれ相応の委託費がかかります。市民のボランティアでやれば人件費は発生しません。なんでもかんでも公で行うべきとなったら費用が発生し、だれが負担するのだという議論になります。税金が高くなるくらいなら、自分で花苗をとって植栽した方がよいと思うことも有り、実際、地域コミュニティではコアメンバーとして作業や指揮に当たっています。

ここ最近、自助共助でなく公助を日ごろからも主にするべしという考え方が目立つようになりつつあります。具体的には保育園を作れ学童を作れ育休産休を充実しろ、保育料医療費給食代を無料にしろなどです。挙句に介護は国と他人に丸投げという有様です。

しかし考えてみてください。乳幼児を保育園に預けて、小学生を学童に入れて 育休産休を収得して、介護を国に丸投げすればとてつもない費用が必要です。それは税金や社会保険料となって、現役世代に跳ね返ってくるのです。

義務教育もインフラも何もかもお金がかかります。昔は高卒も当たり前だった時代から今や大学全入と言われる異常な大学進学率。本来、年代的に労働を提供し納税をしているべき世代が、助成を求めるのですから、支える側の人口が減少し、現役となる社会人の負担が増えるのは自明の理と言えます。
学校に行きたくても我慢し、歳若くして働きに出るなど自助共助を基本とした生き方をしてきた高齢世代にとっては相いれない考え方でしょう。

ひと時代前に比べて生活に様々な支援制度が新設され、モノの質も上がりました。一方で給料が上がらないなか物事に様々な負担や税が設定され、ただ生きるだけで精一杯にもなりました。結果、消費が冷え込み失われた30年と言われたりします。若いうちからお金のことについて心配をしなければならなくなり、こんな時代は投資をして資産形成に努めなければいけない時代だと嘆く様も見られます。

新NISAを契機に若い世代も投資に傾いていた結果、金が外国に流出するということも起こり始めているようです。投資で儲けようとするが あまり円安を招き生活に苦しくなっているようでは本末転倒です。

貯蓄に拘り自助共助を中心としてきた世代に対し、今後それでは生きていけないと敵視しがちですが、これらの世代は自助共助で他人に頼らずに守り抜き、生きるためのコストを安く仕上げてきた世代ともいえます。

時代が変わり貯蓄から投資へ。自助共助から公助へ。考え方の世代交代が進みつつありますが、今までの流れを否定するものではならないと考えます。

この記事が参加している募集

今月の振り返り

お金について考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?