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夕焼け

「人生、楽しまなくっちゃ。夕方が一日でいちばんいい時間なんだ。脚を伸ばして、のんびりするのさ。夕方がいちばんいい。わしはそう思う。みんなにも尋ねてごらんよ。夕方が一日でいちばんいい時間だって言うよ」
『日の名残り』カズオ・イシグロ

「夕焼け」は夏の季語。そのことからも夏を象徴する景色のひとつとわかりますが、春にみる夕焼けは、どこか伸びやかな雰囲気があり、色にも春ならではの朧げが混じり、夏にはない柔らかさがあるような気がします。

昨日の夕方、電車の車窓のむこうに夕焼けをみつけました。一日中の曇天から、ようやく目覚めた暁のような空、晩春の花色にみるような深いオレンジ色に、しばし惹きつけられました。

思いがけず出会った、授かりもののような遠空を眺めているうち、なんだか祝福されてるように思えたのは、他ならぬこちらに望みがあったからですが、それを見透かされた気恥ずかしさよりも、夕焼けだけが知っているという安堵、胸にしまっていた喜びが、静かにしずかにあふれて、今日の終わりはいい終わり、そんな気持ちになりました。

日が暮れる前のひとときが、1日で最も素晴らしい時間。って、本当ね。The Remains of the Day、今日もいちりんあなたにどうぞ。

プリムラジュリアン 花言葉「青春の恋」

夕焼け色のジュリアン

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