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水に触れる時

水のある場所に来てみました
少し森の中に入ったところです
近くで滝の音が聞こえて
足元をさらさらと
綺麗な水が流れて行きます
こういうのを清流と
言うのでしょうか
それは
何の混じり気のない
透き通った純水でした

ここら辺りまで来ますと
街中とは空気が違います
木漏れ日の中を
小鳥達が飛び交って
囀りの音を聴かせてくれます

木の香りと水の匂いが
深呼吸をするたび
身体の奥深くまで
吸い込まれて
清々しい気分になるのです

歩くたびにカサカサと
小さな草の葉音が
耳の朶にこだまして
まるで私の心音と
呼応しているみたいに思えます

周囲の木々の梢や
時折射し込む木漏れ日が
辺りを優しく包み込み
水の流れが絶えまなく
自然の音を奏でているのです

人はおそらくそれを
癒しとか
ヒーリングとか
そんな言葉で
言い表すのでしょうけど
私はそれを敢えて
共感と呼びたいのです

少し開けた空間に出ますと
まだらに広がる湿原が続きます
ところどころの窪地に
透明な液体が湧き出でて
それを泉と呼ぶのか
沢と呼ぶのか
私には判りません

けれども
その水の透明度の
高さには驚きます
底に見える小石や藻屑など
はっきりと見て取れるのです
水中と空気の境目が見当たらず
そっと水面に
木の葉を浮かべてみますと
思った所と違う高さで
宙に漂うのでした

てのひらでさらさらとした水を
掬ってみますと
さーっと心地良い音がして
爽やかな風に包まれます
私のてのひらの小さな汚れなど
知らぬ間に流れに乗って
いつしか消え去りました

心のしこりさえ消えてなくなる
そんな気持ちにさせてくれる
大切な場所なのです

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