思春期の水曜日 其一〇

「ねぇねぇ!なんで学級委員が付き合っている事を知っているの?」
 野次馬根性丸出しで、あたしは男子生徒を問いただした。
「どういう事なんだよ?」
「教えて教えて!」
 あたし以外にも、男女問わず着席した男子を囲み、人だかりを形成していた。
 ただ、あたしは野次馬根性の他に、一つ確かめたい事があって尋ねていた。
 一ヶ月余り前に、駅前通りで一人佇む学級委員の女子を目撃していたからだ。
「あれ?待ち合わせ?」
 あたしが尋ねるとやや気まずそうに、
「あー、えっと、そうそう」
 そう答えた。その時はあたしと待ち合わせしていた友人がすぐに来たため、それ以上会話はできなかった。
 あの時は彼氏との待ち合わせだったのかもしれない。その答え合わせが、今できる!その思いにわくわくしていた。
 ――――が、しかし。
 教室の扉が開いて、プリントを持った学級委員二人と教師が入ってきた。
「いや〜、ごめんね。書類探しを学級委員に手伝ってもらっちゃったら、こんな時間に。はい、皆席に着いて」
 その時教師に向けられた非難の視線は、余程酷いものだったようである。
「えーっと、どうしたの、かな?」
 教師はたじろぐばかりだった。しかしチャイムが鳴ってからしばらく経っている。皆、不満を顔に出しながらも着席した。

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