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【現代詩】「output」#8

前回

あのオレンジのカーテンは今も弱く傾きながら傾いたままあのレールに引っかかっているのだかろうじてわずかばかりの夕焼けがわずかばかりの時間の中でオレンジ色の光をそこに放つとあのオレンジのカーテンとあのオレンジの夕焼けはその場で融合するかに見えてだが更に深くなってしまった影の黒さが力を打ち消そうとするかのような無常のそして真空の穴を空間に穿ちせっかくの温かいその場所を凍夜に変えてしまう甘さにかけてどんなにか辛いこの今もそして陽は沈みまた深く黒くなるにつれ更に更に辛くなる無常の夜もそれはすべて私の望んだ私の時で毎日に霧がかかり区別のない善悪と闘うあの人とともに生きていこうと決めたしかしその時になるとそれまで私たちを振り返ることさえなかった死人の目がその瞳の奥を潤ませあたかも私に恋しているかのような悪辣な誘惑であの黒い影に引き込みいかなる力であろうとも抗い切れるわけもない強大邪悪なその存在を叩き込むように刻み込むように恐怖と何も起こることのない空白の棲家としてやがて泣きときに狂い更に死を待つ痙攣の時を経て蘇りながら腐る別離のときにあの恋は実るのだあなたは美しいよその頬に触れてみればきっと私の罪は重なっていきあなたの鼓動を強くして筋肉が破壊されるまで求めて世界を刺すまではだれにも知られずきっとここにあるあの傾いたオレンジのカーテンをドレスのように巻き付けて楽しげに子どものように踊ってみせるだろう驚嘆も溢れるだろうあなたに巻き付いたオレンジの虚空がやがて影に支配され熱を失い肩と頭を垂れながら興奮の後の脱力をそこいらじゅうに蔓延らせて山を越えた村の奥の奥の奥の藁の中で眠る老婆を撃ち木の葉を吸って痛みに耐える紳士の顔面を剥がし吹き出す真紅が深紅に落ちやがてカーテンにオレンジのシミとしてのこり大きく拡がってまたここにあのレールに引っかかって夕焼けと交わり夜と交わり闇と交わってどこにも行けぬまま輝けば良い私だけに向けて

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