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【小説】反私-♀26-#1

平行同軸同型小説

アタシ的問題

 反社って知ってる?どいつもこいつも頭悪くて無知な雰囲気あるから教えてあげるよ。「反社会的勢力」の略。
 ま、あれよ。まんまなんだけど愚鈍なお前らの思考速度に合わせて敢えて説明するなら「社会に対して反逆する勢力」ということでしょ、わかった?理解した?まぁいいや、普通にイメージしてヤクザとかさ、そういう感じだわ。
 ま、ただ、ただね、アタシたちみたいな普通の人がこういう反社の人と出会うって無いじゃん。出会うってもマッチングじゃないのよ、なんつーかバチッと遭遇するってか、そういう感じ。それって稀でしょ。少なくともアタシゃ今まで無いね。なのでそういう存在は無視していいと思うわけ。

 だから、そういうめんどくさそうな人は無視して。

 アタシが気に入らないっつーか、ムカつくっつーか、ストレスっつーか、言ってみりゃ悪。それは「アタシに対して反逆する勢力」、謂わば「反アタシ的勢力」、ちょっとヤサグレ感あってヤな感じだから「反私的勢力」って呼ぶわ。読みは「ハンワタクシテキセイリョク」でよろ。
 「私的」は「シテキ」だと「私的勢力に反逆している」みたいに取られて心外だし微妙に意味違うし。アタシは友だちなんかイラネってスタンスで生きてきた独女だから、そもそも勢力なんかじゃないし、勢力ってなんか烏合の衆みたいでダサくね?だから「アタシに逆らうダサい勢力」って意味で「ハンワタクシテキセイリョク」に決めた、アタシが、今。
 で、これを「反社」みたく略すならやっぱ、「反私」。これ、「ハンワタクシ」って読まれちゃうと、ノリってかリズムがメタクソになってユルユルに聴こえるから、せっかく「反」要するに「アンチ」って、ちょっと過激で流行りっぽいイメージがぶち壊しになってつまんない。だから読みは「ハンシ」に決めた。アタシが、今。
 「『私』の読みを統一しろよ、めんどくせぇな、クソ女」とアタシにいちゃもん付けるお前、お前がまさに「反私」だかんな。アタシをイライラさせる汚物だかんな。おまえ黙ってろよ。黙ってらんないなら死ねよ。

(つづくか?)

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