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【映画】おバカ映画のすすめ/邦画編


 脳を使いたくない時、なんとなくスカッとしたい気分のときに見たい映画の候補をあらかじめ出しておくと便がいい。

 私もそういう時に観る映画が洋邦各1本ずつある。
 全く違う映画のタイプに思えてしかし、鑑賞後の感覚は非常に似通った感じのある映画である。
 名画名作という言葉の対局にあるような映画で、そんなにしょっちゅう観るわけでもなくせいぜい数年に1度程度なのだが、それでも何度も繰り返し観ている。
 感想としては。
「なんか意味もなくスッキリする」
 それだけなのである。


洋画編

逆境ナイン(2005年)

監督:羽住英一郎
脚本:福田雄一
主演:玉山鉄二、堀北真希

 原作は有名な漫画みたいだが、私はあまり漫画を読まない方なので未読。 
 この映画でしか知らない。

ざっくりストーリー

「全力学園野球部にに襲いかかる数々のナンセンスな逆境を主としてキャプテンの不屈闘志が孤軍奮闘、これまたナンセンスな方法でで乗り越え、部の存続を賭けて校長と約束した甲子園出場を目指す」

 今回もこの3行でだいたい言い尽くせているという自負がある。

ただひたすらに熱苦しい

 とにかく熱苦しい人間がひしめき合っているような作品で、当時人気の高かった玉鉄+堀北という看板を前に出しつつ、ポイントポイントでちょいちょい顔を出す藤岡弘、が強烈な存在感を放っている。
 この映画を観ていると、藤岡弘、ってキャラが確立されすぎている感は否めないものの、上手な俳優さんなのだなと気づく。

 なんか時々こういうB級感の漂うコメディとかに顔を出すのよね、この人。
 筒井康隆原作の「日本以外全部沈没」という映画にも出ていて、この映画も下手すると国際問題に発展しそうなほどのナンセンスなコメディなのだけど、ぶっちゃけ「G.A.T.」=GaijinAttackTeam=外人アタックチームというやばい感じのキーワードと藤岡弘、の顔しか記憶に残っていない。

 本作「逆境ナイン」においては玉鉄、堀北に加えて野球未経験の野球部監督役で出演のココリコ田中、そしてやはり藤岡弘、このあたりの奇妙な演技と顔が心に残っている。

 ストーリーはどうでもいいのだ。

 暑苦しい顔がこの映画の見どころだ。

スタッフ

 監督は羽住英一郎で、年代的には海猿と同時期にこの作品を撮っていることになるわけで振り幅がすげぇなぁと感心しつつ、エンターテインメントに徹した作品を撮るとアクションでもコメディでもやはり巧いと思うし、そもそも本作はナンセンスが売りなので、いろいろあるツッコミどころを敢えてデフォルメした、今で言う炎上商法に近いような(笑)演出も光っている。
 改めて資料を確認したら脚本が福田雄一だった。まだ今ほどはっちゃけた感じではないけど、独特の間はさすがである。

 うまいこと予告とかが見つからないんで、岡村孝子の名曲が流れるエンディングでも。

くだらないこと

 冷めた目でくだらないと吐き捨ててしまえばそれまでだが、常軌を逸した逆境に対して常軌を逸した情熱で立ち向かう熱苦しい人間たちを描くこの映画のこのくだらなさを、そのキャラクターと同様に常軌を逸した情熱で作り上げたスタッフもまた熱苦しい人間たちで、人生だとか生活だとかの役には全く立たないことだからこそ、そこに情熱を傾ける姿をとことん追求されると逆に、生活上のつまづきにいちいち意気消沈していることがむしろくだらなく感じてわざとらしくおおげさに笑って熱苦しく吹き飛ばしてしまおうと決意し、吹き飛ばして前を向く。

 だからスッキリするんじゃないだろうか。
 逆境に、困難に、みっともなくしかし懸命に立ち向かう姿ってのは、感動そのものなのだ。

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