チバユウスケ「世界の終わり」 に思うこと

「世界の終わり」に

フジロックに行った時に、偶然、チバユウスケをみかけました。まだ、歌える程、お元気のようでした。一緒に行ったこどもは、滅多に嫉妬心を出さないのですが、あからさまに、チバユウスケに嫉妬していたな、と、覚えています。こどものお目当ては、甲下ヒロトやケンドリックラマー、マキシマムホルモンズ、ハナレグミ……アンダーソン・パーク、ボブ・ディラン……だったようですが、思いがけず見聞きした、死と隣合わせなゴリゴリとしたロックなチバユウスケの脆さと怖さみたいなものに、10代半ばだったこどもには、おおいな刺激だったのだろうと、思う。

「世界の終わり」は、とても、GSのシンプルな曲だな、と、思います。そして、世界の終わりの中で、


♪パンを焼いて待ち焦がれている

という、情景が美しいなぁと思う。

世界の終わりに見たい風景には、ここで待っているから、と、パンを焼いて待っている人がいるってことですね。

(いないかもしれない、いてほしい、ということを含む)

フレーズが繰り返し、残ってしまうのは、ラベルがボレロで挑んだように、くらえ!!というぐらい同じフレーズを繰り返す。言いたいことを言ってしまう、しかし、なんかね、照れくさい。しかし、骨っぽいロックで、歌ってもいいんだな、と、聴いていて思う。わたしは歌わないけれど。


音楽が美しいと思えるのは、誰かの心の風景が、音楽から感じられる時に、ああ、それって、わたしも見たことある、あるいは、見てみたい、その風景の中にいたいな、と、思える時です。

チバユウスケのことは、随分と前に、ミュージックステーションに出演されていて、知りました。ある出演者が楽屋から出てこなかったため、もう一曲、演奏したバンドが、ミッシェル・ガン・エレファントで、そのフロントマンであること。怖すぎて、絶対、話しかけたくないオーラ全開でしたが、なんでか、カセットテープをご本人から買ったことがある。懐かしい渋谷の思い出です。

そんなことは、さておき、

チバユウスケが、ロマン派であることをきっとみんな知っている。

♪パンを焼きながら待ち焦がれている

世界の終わりが待っている中で、チバさん、最期にどんな風景を見たんだろうな。待ち焦がれている人がいる風景が見られたことを願います。

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