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【新米パパママにおすすめ】公認心理師が教える/幼児健診の歩き方/1歳半健診編/#9人への関心

こんにちは!
幼児健診の歩き方ナビゲーターの
のびしろ丸です。
今回は、対人コミュニケーション力に深くかかわる「人への関心」について、健診でよく相談を受ける人見知りに絡めて話していきます。

健診で問われるのは


私が所属する政令市の健診の問診票では

Q.周囲の人や子どもたちに関心を持ちますか

という質問項目があります。
(回答は、はい、いいえから選択)

1歳半健診においては、対人面の発達を問う質問が、この「人への関心」です。
人に対する興味関心が、家族以外の人に向けて広がってきているかが問われます。

大人への関心


個人差はありますが、
8か月頃から始まる人見知りは、
1歳を過ぎる頃には大概は落ち着いてきます。
それには次のような理由があります。

身近な大人(父母)との密なコミュニケーションによって愛着の形成が進むと、それによって父母が子どもにとって安心基地として機能するようになります。
父母が近くにいるという環境の中で、はじめて会った人へ興味を引かれた時におっかなびっくりアプローチして、想定外のリアクションが返ってくると慌てて父母の所に戻り、抱きついたり背中に隠れるといった光景を見たことはないでしょうか。
安心安全を保証する父母の存在がベースになって、子どもの興味関心が外に向かって広がりをみせていくのです。

お子さんの性格傾向によって、関心の示し方は異なります。
前述のような自発的な行動で示す場合もあります。また、外出先で見かけたよその人に対して関心をもってしげしげと眺める、立ち止まって姿を目で追うなどの態度からうかがえる場合もあります。
そのような様子が見られるようであれば、人への関心が育っていると言えるでしょう。

子どもへの関心


自分と同じ世代の子どもへの関心も、1歳半ごろには認められるようになります。大人に対するのと同じように、興味深くじっと見つめるなどの姿が見られるようになっていきます。

この時期は、関わり方はまだわからないので、公園などの遊び場で遊んでいるところへ知らない子どもが入ってくると、逃げ出してしまうことがあります。逆に、遊びに来た時に、すでに遊んでいる子どもがその場にいると、尻込みして中に入っていけないこともあります。
いずれにしても、多くの場合は、経験を積むことで徐々に解消されていきます。
この年齢では、うまく関われないことをそれほど心配しなくてもよいでしょう。

2歳過ぎになってきても、子どもだけでは上手に遊べません。
しかし、他の子の遊びの様子はよく見ていて、同じものを使いたがったり、近くで同じような遊びをしたがったりします。これを平行遊びと言います。平行遊びは、一人遊びからやりとり遊びに移行する過渡期に見られる遊びです。

互いにやり取りすることはまだ難しい年齢ですが、大人が仲介することによって一緒に同じ遊びを楽しむことができるようになっていきます。
このような遊びの変化から、他児への関心の芽をうかがうことができます。

近過ぎる距離感


健診等で、「人見知り」についてご相談は、「慣れにくさ」を主訴に挙げられる方がほとんどですが、ごくたまに、「馴れ馴れしさ」をご心配されて来られる方がいます。

「買い物先で会った知らない人にしきりにアピールしてついていく」
「遊び場で初めて会ったママ(パパ)の膝にためらいなく座る」

関心を示していても、人との間の距離が適切ではなければ、それも対人コミュニケーションにおける弱さを示すものと見なされることがあります。
極端な慣れにくさと極端な馴れ馴れしさ(=近過ぎる距離感)は、発達における同一線上にある課題である場合があります。

生活への支障が目安


健診会場のような馴染みのない場所では、普段のお子さんとは様子が違うと思います。
そうした新規場面で不慣れな様子(号泣するなど)が見られても、その姿が珍しく、他の場所でも滅多に見られないようであれば、経験を積むことで変わっていける可能性があるとみなされます。

普段から、初めての(初めてでなくても)場所や人に対して極端に嫌がる、怖がるということが一定期間続いて、家庭生活や園生活に支障が出ている状況であれば、専門職に相談して経過を見守るのもよいでしょう。

コロナ禍にあって、経験不足の可能性もあります。
発達の専門職がお子さんの状態像を見立てる場合は、家庭の生活状況や園生活の状況も聞き取ったうえで、目の前のお子さんをみて総合的に判断します。

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