咲穂/SAKUHO

Artist (アーティスト)/ 制作や芸術活動の傍に、日々触れ合う言葉の数々を記しま…

咲穂/SAKUHO

Artist (アーティスト)/ 制作や芸術活動の傍に、日々触れ合う言葉の数々を記します。日記や記録も時々。 小さなことばの幾きれかが、おしまい、あなたの透き通ったほんとうの食べものになることをどんなに願うかわかりません。 HP/ http://sabiwashi.jp/

最近の記事

PROJECTのお知らせ / [ TAGBOAT × 百段階段 ] Exhibition 2020

9月中旬より、約一ヶ月間、目黒雅叙園さんと、TAGBOATギャラリーのクロスExhibitionを開催することとなり、百段階段の一角でインスタレーション作品を展示をさせていただきます! 雅叙園サイト http://urx.space/uRwT 雅叙園さんとは、毎年「和のあかり展」でお世話になっておりましたが、今年はコロナの影響で百段階段は残念ながら中止となってしまいました。。(下記画像は2019年和のあかり展での様子) [ クラウドファンディングの実施 ] その展示を

    • 誰かのことば より

      生まれつき目の見えない人に空の青さをどうやって伝えたらいいんだろう。 そんな簡単なこともできない。だから おれ もっと頑張るよ。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------- テレビで聞いたのかもしれないし、誰かに聞いたのかもしれない。噂ではある芸人さんが言った言葉だとも言われている。 けれど、誰が言ったは大した

      • 君たちはどう生きるか より

        世間には、他人の目に立派に見えるように、 見えるようにと振る舞っている人がずいぶんある。 君にそんな人になってもらいたくないと思う。 /吉野源三郎 -------------------------------------------------------------------------------------------------------- 昨日の夜のことである。この言葉を思い浮かべたのは、ある企業の社長や重役である人間が、自分のプライドや過信による誇示によ

        • 14歳からの哲学 より

          [メディアと書物]から 考えてごらん。電話もテレビもなかった百年前も、何もなくて自然とともにあった五千年前も、そしてネットだグローバルだの現代世界も、人が生まれて、生きて、そして死ぬという事実については、全く同じなんだ。何ひとつ変わっていないんだ。生まれて死ぬ限り、必ず人は問うはずだ、「何のために生きるのだろう」。数千年前から人類は、人生のとって最も大事なこの問いについて、考えてきた。 考え抜いてきたんだ。賢い人々が考え抜いてきたその知識は、新聞にもネットにも書いてない。さ

        PROJECTのお知らせ / [ TAGBOAT × 百段階段 ] Exhibition 2020

          おとなになるってどんなこと? より

          正しく行動すれば、 胸のつかえはなくなる、 そう感じました。 だからこそ、自分の感覚がとても大事なのです。 感覚はものごとの裏にあるなにかを見せてくれるものです。 また、自分の感覚をほんとうに信じることができたら、きっと他の人にとがめられたり異様に思われないようにな「普通のふり」 をある程度は他者への思いやりによってできるようになると思います。 それでもいざというときゆずれない線が出てきたら、きちんと言えるようになります。 一方、普通にふるまっていたからといって、なにかから

          おとなになるってどんなこと? より

          白 より

          目を覚まして庭を見ると雪であった。雪は寝床にいるときから気配で分かる。何かがしんしんと世界に積もっていく密やかな堆積感を、体のどこかで感じている。 窓を開けると別世界が燦然と現れる。なんという光景をこの世は持っているのだろう。 水蒸気が空気中のちりを核にして雪の結晶となる。そしてそれは目覚ましく白い。そういうものがおびただしく降り注いで世界を覆い尽くしている。 近年、建築や都市、人や言葉は、どこか半透明になってきた。 言わば半物質的な存在感とでも言おうか。建物はガラスや新素材

          ひとかげ より

          人間のフォルム、完成された美しさ。どんな性別でも年齢でも人間は美しい。神の技のすごさを知るのに充分な美しさだった。その気持ちがあるかぎり、仕事をがんばろうと思う。これまでに知り合った子たちの顔が浮かんできて、涙が出そうになる。できることをしよう、切実な感情があふれてくる。世界は美しく、人間は完璧なのだから、そう思うのだ。 問題はない。人は好きな暗さの中で好きなように生きていいんだ。 私はこわくて口もきけず、こわばったままでいた。父が駆けつけて、私を抱きしめた。私の魂がうつ

          ひとかげ より

          柿の種 より

          僕はこのごろ、ガラス板を、鋼鉄の球で衝撃して、割れ目をこしらえて、 その割れ方を調べている。はなはだばかげたことのようであるが、やってみるとなかなかおもしろいものである。 ごく軽くたたいて、肉眼でやっと見えるくらいの疵をつけて、それを顕微鏡でのぞいて見ると、球の当たった点のまわりに、円形の割れ目が、ガラスの表面にできて、そこから内部へ末拡がりに、円錐形のひびが入っているが、その破れに、無数の線条が現れ、実にきれいなものである。 おもしろいことには、その円錐形のひびわれを、毎日

          柿の種 より

          野生の風 より

          驚いたことに、枝を煮出したたっぷりの液にひたすと、糸は茶でも緑でもなしに、ほんのりと匂い立つせつないばかりの桜色に染まった。 そのとき、飛鳥は知ったのだった。咲ききった八重桜の花の中に、すでに夏へと向かう緑のほとばしりがひそんでいたと同じように、冬の枝の中には、春にひらくはずの花のいのちが宿されていたのだ。 自然の密かな約束ごとを無理強いして覗き見てしまった後ろめたさがあった。咲けぬまま切りとられた桜の枝から、花の精の無念がにじみ出て、糸を紅く染めたのだと思った。 ----

          野生の風 より

          死ぬ瞬間 より

          もし、患者が、慣れ親しんだ最愛の家で最期を迎えられるならば、患者のために特別なことをあれこれ考える必要はない。家族は彼のことをよく知っているから、鎮静剤の代わりに好きなワインを一杯与えるだろう。 自家製スープの香りが食欲をそそり、二匙、三匙は喉を通るかもしれない。このほうが点滴よりずっとうれしいのではないだろうか。 患者は、病気が重くなると、しばしば意見を言う権利のない人間のように扱われる。入院するかどうか、入院するなら、いつ、どの病院にするか、それを決めるのは当人でな

          死ぬ瞬間 より

          注文の多い料理店より

          序 わたしたちは、氷砂糖をほしいくらいもたないでも、きれいにすきとおった風をたべ、桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。 またわたくしは、はたけや森の中で、ひどい ぼろぼろの きもの が、いちばんすばらしい びろうど や 羅紗 や、宝石いりの きもの に、かわっているのをたびたび見ました。 わたくしは、そういうきれいなたべもの や きもの をすきです。 これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、虹や月あかりからもらってきたのです。 ほんとうに、

          注文の多い料理店より