佐伯 朔子

日記と小説。エッセイ風を目指した日記。もしあの時こうなったら…と現実世界で思ったことを…

佐伯 朔子

日記と小説。エッセイ風を目指した日記。もしあの時こうなったら…と現実世界で思ったことを小説にしてみたり。こんなことあったらいいな、という妄想を小説にしてみたり。思ったことを書き連ねていきます。人や物、事柄、いろんなことを1つ1つ大切にしていきたいと思っております。

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  • 日常+α小説

    日々の暮らしの中で、思いついたことを小説にしてストレス発散しています。もしあの時こうなったら、こんな風になったら面白いのにな、あの時傷ついたたな、むかついたから仕返ししてやりたい!そんな気持ちを小説にしてみました。

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ウエディングペイ

婚約指輪で、昼食と飲み物代を支払った。 政府のポイント制度。新型のウイルス。IT化。様々な時代の流れにより、硬貨や紙幣を使うことがぐんと減り、キャッシュレス決済と呼ばれる支払い方法が広まった。クレジットカードはもちろん、スマートフォン、キーホルダー、腕時計、更には、腕時計のバンドでも支払いができるようになった。物の価値で物を手に入れていた時代から、ずいぶんな進化だ。 最近流行に乗り始めているのが、婚約指輪を使ったキャッシュレス決済だ。近年、プロボーズを経ても婚約指輪を買わ

    • 悲しい恋愛をしないための見分け方

      これだけいれば、繁忙期だって繁忙期じゃなかったはずなのに。 部署の繁忙期を超えた打ち上げ、のはずが、参加人数は部署の所属人数を完全に上回わっていた。大勢のほうが飲み会は楽しいと、飲みニケーション世代ドンピシャの課長は、他課だろうが他部だろうが参加希望者をどんどん受け入れた。若い女の子が一緒に飲みに来てくれるのがひどく嬉しいのだろう。 いつからうちの部署はこんなに人が居たんだろう。君たちは今までいったいどこに隠れていたんだ? そんな文句も、ため息でかき消すと、遠くから笑い

      • 平凡を抜け出し、リスクへ

        彼は、君とは一緒にはいられない、と言った。別れようといった一般的なものではなく、自分も被害者のような別れの言葉だった。 どうしていつもこうなのだろう。ときめきを覚え、少女という年齢はとうに過ぎているのに、はじまった恋愛にはしゃぐ。そして、片思いが成就しかけるころには、相手の問題が必ず出てくるのだ。 既婚者。売れないバンドマン。失敗しかけている企業の社長。バイト経験もない公務員浪人。親からの仕送りで生活するぼんぼん。 必ず振られてしまう。あんなに尽くして支えていたはずなの

        • なんとなく。感覚で。生きていく

          人生の岐路の重大な決断でさえ、なんとなく感覚で決める。きっと、人生ってそんなもので良いと思う。 「加藤さん、加藤真帆さん〜」 病院の待合室に、案内のアナウンスが流れた。先程の検査結果を待つ間、同じ待合室に居る人の顔を見てみた。笑顔の人、この世の終わりのような顔をしている人、緊張している人。私はあの人達からどう見えているんだろうと興味が湧いた。 「加藤さん?加藤真帆さん〜」 「あ、はい」 先程から呼ばれていたのは私だった。先程検査をしてもらったときの顔を覚えてもらってい

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        ウエディングペイ

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        記事

          深夜に母の長寿を願う

          夜中に目が覚めた。いつの間にかスマートフォンを握りしめたまま、寝てしまっていたらしい。月経中はいつもこうだ。異様に眠気が襲い、就業中も、誰かと話しているときでさえ強い眠気が襲う。内臓が傷ついて出血させるのにエネルギーを使っているからなのか、それとも、貧血だからなのか。 歯磨きをしないままだったことに気づき、洗面台へ向かう。ついでにトイレでナプキンも換えておく。就寝用の、オムツ一歩手前のようなナプキンは限界だった。このまま朝を迎えていたら大変なことになっていたかもしれない。途

          深夜に母の長寿を願う

          短編小説 おしりの血

          僕は、ゆいちゃんが死んでしまうんじゃないかと、心配で心配でたまらなかった。 放課後、教室にランドセルを置いてグラウンドで遊んでいた。そろそろ帰ろうと思って教室にランドセルを取りに行ったとき、ゆいちゃんとあいちゃんが教室にいた。あいちゃんが慌てていて、何だろうと思っていた。その時、ゆいちゃんのスカートの後ろに、血がついているのを見てしまった。 大変だ、ゆいちゃんのおしりから血が出ている! 僕はびっくりして、立ち止まった。血を止めてあげたかったけど、びっくりし過ぎて、大丈夫

          短編小説 おしりの血

          短編小説:新しい人生様式

          今や県境は国境となった。 新型のウイルスが流行し数年が経過した。この数年で、新しいライフスタイルどころか、文化そのものが変わってしまった。国も習慣も季節のイベントも、親戚一同の形さえも。 切りが良いところで仕事の手をとめると、娘が何やら楽しそうにはしゃいでいる声が聞こえた。仕事部屋を出てリビングへ向かうと、どうやら、次の修学旅行が楽しみのようで、何日の何時から何をするかを、ご丁寧に説明しているようだ。妻は夕食の準備で忙しく、半分聞き流しつつも相槌を打っていた。 「大きな

          短編小説:新しい人生様式

          指輪の重み

          記念日に彼がくれたのは、何の意味もない指輪だった。 「記念日のお祝い」 といって、彼は小箱を渡してきた。 箱のサイズを見て、婚約指輪を渡されたのだと思った。そんなサブライズをするような彼ではないから、驚いた。 学生の頃は、恋人ができたというだけで浮かれて、交際も上手にできないのに、二人が結ばれているという証を欲しがった。 お揃いのストラップ、マグカップ。最上級はペアリング。 指輪はやはり結婚指輪のイメージが大きく、永遠の愛の象徴である指輪をお揃いでつけることは、何より

          指輪の重み

          ベタな展開に甘えて 青春の続きをしよう

          空気のように、当たり前に存在し受け入れる。そんな関係だった。 夏の終りの、少し切なさを含んだ爽やかな風と共に、心地の良い空気が流れている。 窓を開けた部屋は風通りがよく気持ちがいいが、残暑も襲ってきていて、集中が切れてしまう。 「燃え尽き症候群で何もやる気が起きない」 「勉強しなよ」 彼は暑さに負けてしまったらしい。この部屋の主で、この部屋の暑さに慣れているはずなのだが、集中できないようだ。ルーズリーフの紙は白いまま、紙の上に置いた腕の汗だけを吸っていた。 「知って

          ベタな展開に甘えて 青春の続きをしよう

          指輪で決済が現実になったんですね

          以前、婚約指輪でキャッシュレス決済をするという小説を書きました。 なんと、決済ができる指輪が実際に登場しているそうで。 あんまりかわいくはないですが…笑 時代はどんどん進んでいきますねー。

          指輪で決済が現実になったんですね

          夢に終わる、29歳の誕生日

          夢見た29歳の誕生日は、大好物のジェノベーゼを食べて、見たかった映画見て、ショッピングして、ケーキ食べて、一日が終わった。それだけ。 強く期待しすぎて、今すごく惨めだ。 期待してくれていた会社の人にはなんて言えばいいのだろう。 中途入社し、数カ月しか経ってない私に対して、暖かく受け入れてくれ、親身になってくれる。そんな優しい人が大勢いる同僚や上司に、どう報告したら良いのだろう。 友達は?親は?親戚は? 30歳までに、という話は、付き合う前からしていた。僕もそのつもりだから

          夢に終わる、29歳の誕生日

          一般論の顔をする少数意見

          ごくわずかの少数意見を一般論のように言う人の思考はどうなっているのだろう。 今日は仕事も多くなく、残業はしたが早めに帰宅できた。20時以降に指定していた配達荷物の受け取りも、余裕で間に合いそうだ。夕食の材料を購入し、帰宅。程なくしてインターフォンが鳴った。荷物にはまだだいぶ早いはずだったが、インターフォンで応答すると、 「すみません、お荷物です」 まさかの荷物の配達だった。荷物の配達が多くて時間が遅れたり、5分程度早く到着してしまったりする事も稀にあるが、信じられない、

          一般論の顔をする少数意見

          こいつの、こういうところが大嫌いだった

          料理ができるイコール、家事ができる、ではない。 「佐藤さんって結婚してるんですか〜?」 「いや〜実はバツついててね」 「え、そうなの~!?そんなふうにみえない!」 中途入社してきた社員の歓迎会が開かれていた。中途にしては年齢がいっているが、誰か優秀な社員の紹介で入社したことと、整った外見から、警戒する様子は誰も持っていなかった。落ち着いた大人の雰囲気に、デキる男っぽく見え、顔も良し、背も高い。初出社日に紹介された途端、女子社員の目が変わった。独身はまだしも、既婚者までもが

          こいつの、こういうところが大嫌いだった

          浅はか

          嫌な思いをしたら、少しだけ思いやりをなくしてもいいだろうか。 電話で謝罪をしたいらしい。やつの上司と私の上司との間で話し合いが持たれたようだ。 本来なら直接会って土下座をしなきゃいけないところだけど、昨今の流行病もあるから、そこは勘弁してあげて、と、私の上司に冗談混じりに言われた。 電話での謝罪は断った。電話ならメールにしてほしいと伝えた。社内電話で謝られるのも、気持ち悪い気がした。 上司に伝えて一時間もしないうちに、定型謝罪文メールが届いた。流石だ。社内報で同じ会社員の

          自己啓発本好きを避ける

          怖いんですよね、自己啓発本好きな人。自己啓発本ばっかり読んでる人=やばい人、ってイメージしかなくって。 自分改革を叫んでて、いつまでも改革が終わらずにずっと読み続けてる。 そりゃ、ゲームと違って、人間のレベルアップには上限がないですから、どんどん成長したい人は読みつづけるんでしょうけど…。 高校の同級生に久しぶりに会ったら、自己啓発系大好きになっていて、変だな〜と思っていたら、マルチにハマっていました。 前職の上司も自己啓発本大好きな人でした。ハラスメントがすごかった

          自己啓発本好きを避ける

          名前、朔子にしました。

          noteの名前をどうしようかとずっと悩んでいて、 名前ランキングみたり、ペンネームメーカーやってみたりしたのですが、しっくりくるものがなく、 仮名のまま、いくつも記事を書いてしまいました。 朔という字が好きで、つけてみました。萩原朔太郎より。 もし子どもが生まれたら、朔と名つけようかなと思ったりしたのですが、 私の場合、由来が萩原朔太郎の陰鬱で幻想的な詩が結びついてしまうので、やめよう、と思い 自分のペンネームとしました。 今後ともよろしくお願いいたします。

          名前、朔子にしました。