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遺伝子との付き合い方を考える本

本記事は、私の中で心に残ったポイントをまとめたものです。ご紹介する本の正確な内容や要約については、本書や要約サービス等をご参照ください。

「ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考」高橋祥子 (著)

本書を読んだ理由

以下の山口周氏の本の中で、対談者のお一人として著者が登壇し、生命科学視点でビジネスや人生について書かれた本書が紹介されていました。

新型コロナウィルス感染症の流行によって、人類は否が応でも感染症と向き合わざるを得ない存在だと自覚しました。

人類の原理原則を説く生命科学の視点で人生を考えると、どのような見え方がするのか、興味をもったため、本書を読みました。

心に残ったポイント

・すべての生物は遺伝子を運ぶための生存機械だが、人間には遺伝子に反逆する力がある(リチャード・ドーキンス氏)。
・悩みや葛藤は、個体や集団の生存可能性を高めるという生命原則から捉えるとシンプルに理解できる。その理解を前提に、主観的意志を生かして行動できるようになる。
・思考停止はエネルギーを高める行為なので、生物として安易に責めることはできない。
・死は「連続性の喪失」であり「非連続性の創出」。生命が生きる環境が変化するから、「非連続性の創出」(=死)が必要。
・感情を持つことが、生命としての生存戦略上有利だと考えられている。遺伝子に搭載された機能が正常に働いていると客観視するのがおすすめ。
・個体として生き残ることが先で、それが担保されると次に種が繁栄するために行動するようになる。
・他人と違うことは生命の歴史からして当たり前であり、命をかけて多様性を作り出してきた生命の最大の特徴であり、資産。
・「時間など存在しない。だが、時間は存在する(時間は物質的に目に見えないが、存在するのは確か)」(ハイデガー)
・変化や運動が成り立つときに時間が存在すると表現できる。自分だけの変化では存在できず、環境等複数の変化があることで初めて存在し、認識することができる。
・ネットをだらだら見ている暇つぶし時間は、同じ1時間という時間であっても、自分の行動変化量が少ない。充実している時間は、自分の行動変化が多いため、あっという間に感じる。
・時間の認識で大切なことは、「比較対象」と「主観」に着目すること。比較対象=自分自身の生命変化とするのがおすすめ(他者ではなく)。
・人生の充実度は、自分の生命変化の間(生まれてから死ぬまで)にどのような行動変化を起こしたのかに左右される。
・変化する世界の中で、自分の変わらない主観的な軸を見つけることが重要。軸が見つかれば、予測不可能なことが起こっても生きていくことができる。
・目指すものに対して覚悟(予測不能な未来に大して、絶対に後悔しないと最初に決めておく)を決めている人は、葛藤しない。正解を求めるより、自分で選択した道を正解にすると決め切ってしまう。
・主観的な意志を持つには、カオスな環境に身を置くべき。
・「過去が現在の自分に影響を与えるように、未来も現在に影響を与える」(ニーチェ)
・有限なエネルギーをどこに割くべきか優先して考える。
・命を燃やす:喪失と引き換えに、何かを生み出している状態を指す。
・脳の学習機能によって、過去の経験に影響を受けがち。偏見なく未来を認識することが難しくなる。現実的な思考枠に目を向ける傾向が強い。
・偏見を持っていると、思考枠が固定されていることに気づけない。年齢を重ねるにつれて時間が蓄積するため、学習による過去の影響から偏見を持って世界を見がちになる。

今後に生かすこと

生命科学の切り口で人生やビジネスについて書かれた本を読んだことがなかったため、新鮮で、納得感をもって読むことができました。

遺伝子で決められているからそれに従うしかないというような運命論的な発想ではなく、人類は主観的意志を持って遺伝子に抗うことができるという発想のもとに書かれているため、前向きな気持ちになることができます。

自分の中にある不安、怒り、孤独感等の感情との付き合い方に悩む人は少なくありません。
私たちが抱く感情は生命が生きるために意味があるものであり、それを否定せずに肯定的にとらえることができると、生きるのが楽になりそうです。

例えば、不安感を持ちやすい方(私もその一人)は、概して周囲の人から「考えすぎじゃない?」なんて言葉をかけられることがあるかもしれません。
しかし、自分の防衛本能が正常に機能しているので、不安感を持っている自分を否定せずに受け止める。
そして、その不安が、具体的なものか、漠然としてものかを分析して捉え、具体的なものであれば対応し、漠然としたものであれば一旦棚に上げてしまうといったやり方で上手く付き合えると、生きるのが楽になるように思いました。

本書で「命を燃やす」という言葉が出てくるのですが、限りある自分の命の燃やす方向性を考えることができるのが、人類の能力だとしたら、その能力を最大限発揮して、命を燃やす方向を見つけて突き進めば、悔いなく命を燃やしきることができるのではないか…その仮説に説得力がありました。

自己啓発書やビジネス書はそれなりに読んだことがあるけど、新しい視点で人生やビジネスについて書かれた本を読みたい方におすすめの一冊です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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