見出し画像

女友達

「お疲れちゃん、ちゃん♪」

「疲れてないよ。待ってないから、
30分以上も。」

「・・おかしぃなぁ」

「ねぇ~・・」



「はい、焼き鳥おまちどうさま」
「ありがとう、おじちゃんが焼く
焼き鳥が1番好き」

「嬉しいねぇ。リノちゃんは
嘘つかないからなぁ。
ハルちゃんは、どうする?」

「私、いつものでいい」

「はいよ、あっ、付きだしね。」
「おっ、ポテトサラダだぁ~、
いい日に来たな」

「30分以上遅れてね。」


「・・おかしいなぁ」


「・・で?」

「何が?」

「ポテトサラダの日に
ハルカさんは、なんのお話でしたか?」

「あぁ~・・いや、…実は今日さ、
目覚まし時計に“可愛いね”って
言われたんだよね」


「へぇ~・・。」


「へぇ~・・だけ?」

「目覚まし時計でしょ。
そんなの持ってたんだ」


「いや、次期社長の事」

「・・そのセンスがわからん」

「そんな事、どうだっていいのよ、
とりあえず、今日、急に、
言われたのよ。“可愛い”って」




「・・“大事な話”は?」

「ん?これ」

「・・ん~、“大事な話がある”と
呼び出されて、“そんな話”を
聞いてあげる私って、
すごく、可愛いと思わない?」


「思う。心の底からそう思う。
だから話を聞いて」

「・・何?」

「これ、入り口だと思う?」

「出た・・・あのさぁ
そもそも、」
「はい、ハルちゃん、」

「あ、ありがと~、じゃあ、
とりあえず、乾杯~」

「・・かんぱい」




「・・あ゛~・・落ち着く」

「その飲みっぷり、
すごい“乙女”だね」

「“元”北川景子だからね」

「“元”ならいいよ」


「で、入り口」

「だから、好きなの?
その社長の事」

「次期ね」

「次期社長の事」

「まさか」


「じゃあ、なんで
“入り口”にすんのよ」

「いや、だって、急に
“可愛い”だよ。言う?
普通、言わないでしょ?
いくら北川景子でも」

「“元”でしょ」

「とにかく、今までの事
考えたら、私に男がからむと
いい事なかったじゃん。だから、
これ、また入り口に
立ったんじゃない?」

「考えすぎでしょ」

「不孝のトンネルの」

「聞いてる?」

「聞いてる。ちゃんと聞いてるし
私の話、聞いてくれてる
リノは可愛いって、ちゃんと
思ってるよ」

「・・どーも」

「先手打ってお祓い行こう」

「私は、なんの問題もないけど」

「でも、この間、お祓いの帰りに
寄ったラーメン屋さん
おいしかったじゃん」

「・・まぁね」

「・・なんの話?」


「ラーメンの話」


「・・違う、目覚まし時計の話よ、
違う、社長の話よ」

「よく覚えてたね」

「ふふ、ご存じ?私、こうみえて、
1番、仕事できるからね」

「夜中にこたつ片付けようとして、
手首、打撲するけどね。」

「そういうスイッチは、
夜中に入るでしょ」

「入んないよ」

「・・何の話?」

「こたつの話」


「違う、社長の話。
・・なんで舌打ちすんのよ」


「・・別に」


「リノ・・」

「何?」

「やっぱり、私ってかわいい?」

「そうだねって答えるまで、
その質問が続くなら・・
ムダな時間を使わなくていいように。
“そうだね”」

「ちょいちょい、一言多いよね」

「一言で済ませてあげてるからね」

「むぅ・・あ~あ、
告られたらどうしよう」
「告られてから考えよう。」


「いや、その前に無理だから。
トンネル入っちゃうし」
「告られてから考えよう」

「だから、無理だって」
「告られてから考えよう」


「え?何?壊れたの?」

「あなたがね」

「・・壊れてないよ」

「なにより。まぁ、告られたとして
何かあれば、その時に言えば?」

「・・誰に?」

「私に」

「…いつでもいいの?」

「ゴハン、通勤、仕事、退勤、
風呂、トイレ、韓ドラ鑑賞
SEX中じゃなければ」


「・・空いてんの?」

「運がよければ」


「・・・・」

「嘘だよ、空けるから」


「リノ~っっ・・SEX中でも?」

「相手が下手だったらね」

「うわ~・・やだ~・・最低~」

「ほぅ~、最低と」

「……嘘だよ」

「…知ってるよ」

「好きだよ」

「知ってるよ」

「サランヘ」

「・・急に?」

「親友の為なら
韓国語も覚えますよ」

「他にも覚えたの?」

「1日1個ずつ覚える。
本日初日」

「・・・」

「とりあえず乾杯」

「何に?」

「永遠の友情に」



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?