Sakura

家事・子育て(3怪獣)・仕事の重力に体全体が下方修正されてきた今日このごろ。人生初の『…

Sakura

家事・子育て(3怪獣)・仕事の重力に体全体が下方修正されてきた今日このごろ。人生初の『推しのいる生活』で滞っていた血が巡り始め気の迷いを生み、昔からの夢だった物語を書く事を始めました。私が書くのは、この世に存在しない世界。誰も不幸にならない世界です。暇つぶしにどうぞ。

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  • 万葉の恋

    もう、自分は完成されたと思っていた主人公。心に秘め続けた気持ちは、ある日を境に零れはじめ、完成されたはずの主人公を変えていきます。愛のカタチは人の数だけ、正解はありません。

最近の記事

君の名は

【通知不可能】 ・・初めて見た。 「ママ、誰?」 皿洗いの間、 次男にスマホを貸していた。 急にかかってきた電話に 10歳の息子は、即座に反応。 “通話”にして持って来た。 どうしようかな・・ とりあえず、 「もしもし」 「あっ、もしもし、私、スカイジャパンの サカイと申します」 野太い男性の声。 「はい」 「この度、カード会社からの委託により、 未納料金の回収で、えー、 お電話差し上げました」 「はい」 「ご本人様確認の為、お名前と、あー、 生年月日を

    • 女友達

      「お疲れちゃん、ちゃん♪」 「疲れてないよ。待ってないから、 30分以上も。」 「・・おかしぃなぁ」 「ねぇ~・・」 「はい、焼き鳥おまちどうさま」 「ありがとう、おじちゃんが焼く 焼き鳥が1番好き」 「嬉しいねぇ。リノちゃんは 嘘つかないからなぁ。 ハルちゃんは、どうする?」 「私、いつものでいい」 「はいよ、あっ、付きだしね。」 「おっ、ポテトサラダだぁ~、 いい日に来たな」 「30分以上遅れてね。」 「・・おかしいなぁ」 「・・で?」 「何が?」

      • はじめまして。Sakuraです。落ちた沼は「BTS」です。

        はじめまして。Sakuraです(2回目) 怪獣3人(中1長男・小5次男・小3長女)と 夫君1人(当たり前)の5人家族で ママと奥さんしてます。 光GENJIもSMAPも 嵐(←片足は突っ込んだ)も 横目で通り過ぎて来た私が 2021年6月 ふと画面に映った彼らに 動きが止まりました。 その中でも、彼が↓ ・・・私を見たんです(MVです) 人生で初めて 落ちました。 片足ずつゆっくりではなく・・ ロンハーの落とし穴並みです。 ビックリしました。 そこから、始まった

        • 万葉の恋 【白夜】

          【2002年】 就職活動、最後の面接が終わった。 見えない鎖でつながれたような 緊張感から解かれ、 ロビーで大きく背伸びをする。 腕を下ろした時だった。 「痛っ」 後ろから来ていた 女性の肩に当たってしまった。 「あっ、すみませんっっ」 慌てて、謝ると 「いえ、大丈夫です」 一定の音で返ってきた言葉に もう1度、会釈してしまった。 ・・怒ってる? 表情1つ変えない女性の服装から 同じ面接を受けに来ていた事がわかった。 その時、ロビーがざわついた。 ?

        君の名は

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        • 万葉の恋
          22本

        記事

          万葉の恋 第21夜

          「帰るか?」 ・・・。 「行くわよ」 彼より先に足を出す。 「どこに?」 背中に聞こえた声に 当たり前のように答えた。 「食後の散歩、さんさく、 ウォーキング」 少しの間の後、 足早に追いついた彼と並んで歩いた。 見えて来た噴水広場。 中央の噴水を囲むようにベンチが 点在している。 ありがたい事に誰もいなかった。 「コーヒー、飲みたい」 「・・わかったよ」 腰掛けたベンチ。私の隣に 座ろうとした三上は、また 腰を上げて、噴水の先にある 自販機に向かっ

          万葉の恋 第21夜

          万葉の恋 第20夜

          3.18 担当の引継ぎ、向こうでの生活の手配、 韓国語と出版に関する知識を叩き込んだ。 頭、パンクしそう。 明日から3連休は 家の片付けの予定にしていた。 「行けるか?」 ? 気づけば、オフィスには 彼と私しか残っていなかった。 「どこに?」 「マスターに挨拶」 「あぁ、・・そうね」 久しぶりに並んで歩いた。 ~・~・~・~ 「えぇぇぇぇぇ」 ・・・・。 そんなに広いとはいえない店内。 マスターの声は、よく響いた。 灯りを落とした雰囲気が台無しだ

          万葉の恋 第20夜

          万葉の恋 第19夜

          2.4 「どういうことだよ」 「何が?」 外回りの後、呼び出された私は いつもの喫茶店で彼と向かい合う。 結局、昨日は 詳しく話せないままだった。 「お待たせいたしました」 目の前に2つ並べられた鉄板。 肉厚のハンバーグにナイフをいれる。 間から立ち上る湯気と染み出す肉汁。 美味しそうなハンバーグは 彼から視線を外す ちゃんとした理由になった。 「韓国って」 「あぁ、前から話はあってたみたいよ。 そこにSakura先生が拠点を移すって 話があって。まぁ、

          万葉の恋 第19夜

          万葉の恋 第18夜

          【2016.1.8】 「・・韓国ですか」 新年早々 呼び出された会議室には 編集長と2人しかいなかった。 「行けるか?」 ・・・行けるか? 「・・出張ではなく?」 「違う」 違うのか・・。 となると、 結構大事な話なんだけど すごく簡単に聞かれてる気がする。 「行けるか?」 ほら。 ・・・韓国 まぁ、隣っちゃ隣・・。 隣・・ あの日から 彼との間にできた少しの隙間。 私の右肩に頭を乗せる事も 手を重ねる事もなくなった。 名前を呼ぶ事も。 それ

          万葉の恋 第18夜

          万葉の恋 第17夜

          2016.2.3 「先輩、」 今日も豪快な寝ぐせだな・・ 「何?」 「三上さんとケンカしたんですか?」 「なんで?」 「いや、なんとなく」 「してないわよ」 「・・・。」 「何?」 「ん~、僕、こういうの あんまり外した事ないんだけどな」 「・・・何を?」 「三上さんが、先輩の前で笑ってない。」 そんなことはない。 笑って話してる。 今までどおりだ。 仕事も、してる 何事もなかったかのように ・・時間を巻き戻したくて 「で・・・先輩も三上さんの前

          万葉の恋 第17夜

          万葉の恋 第16夜

          12.14 ・・・・ ・・・・・どこだ、ここ? ・・家の天井じゃない 視線だけ巡らせてみる。 見覚えがなかったけど なんとなく彼の香りがした。 三上・・ 昨日、彼の声を聞いた。 じゃあ、ここ・・ 考えながらも、 また、重くなってきた瞼・・ 「おーい」 ・・・。 「た・ち・ば・な・さん」 開いた目に映ったのは やっぱり・・三上だった。 !!っっ 勢いよく身体を起こした瞬間、 こめかみから、真横に 突き刺さったような痛みに 声が出せなかった。 脳内

          万葉の恋 第16夜

          万葉の恋 第15夜

          12.13 「珍しいわね、レンちゃんが そんな風になるなんて」 カウンターに伏した私の頭の上から マスターの優しい声が降る。 「・・私も人間だったってこと」 「そっ、安心したわ・・はい これは、サービスよ」 ? 顔を上げた私の前に置かれたグラス。 「・・・・水道水」 「まっ、失礼ね。ちゃんとお洒落なお水よ」 ・・お洒落な水って何? ・・まぁ、どっちにしても 「あと1杯で終わるから。」 そのグラスをマスターの方に 押し返す。 ・・・・? 押し返したは

          万葉の恋 第15夜

          万葉の恋 第14夜

          「・・・」 「・・・できたじゃん。」 乱れる呼吸の中、並んで天井を見上げる。 ・・・・。 私より彼の方が呆然としていた。 そりゃ、そうだ。 「・・レン」 「ん?」 「お前、本当は男、」 「バカじゃないの・・シャワーあびてくる」 体を起こした私の背中に声がかかる。 「なぁ、今日、泊っていっていいか」 「・・ソファで寝てね」 頭から伝うお湯が、頬を流れる。 泣けばよかった。 あの日の彼のように、泣くだけ泣いて 求めなければよかった。 “やっぱり、俺に

          万葉の恋 第14夜

          万葉の恋 第13夜

          「ぱぱぁ」 両腕を広げて声の方に 女の子が走って行く。 ・・・。 「だめだろ、離れちゃ」 怒ったような言葉とは裏腹に 走り寄った女の子を抱きとめ 大きく息を吐いて とても愛おしそうに抱きしめなおした。 まだ息が戻らないのか 肩がわずかに動いている。 ずっと、 探し回っていたのだろう。 ・・・・。 「ママのとこ帰ろう」 「うんっっ」 抱き上げられた身体がフワっと浮いて、 女の子は楽しそうに笑った。 「すみません、娘が・・」 目の前の男性は ようやく、私の

          万葉の恋 第13夜

          万葉の恋 第12夜

          2015.12.12 街並みは、様々な イルミネーションに彩られていた。 冷たい空気を包み込むように 輝く温かい光達。 それを見ながらベンチに座って、 コーヒーを飲む。 吐く息が白い。 “独り身にクリスマスはつらい” とかよく聞くけど、私は、好きだった。 特に、この時期。 いつにも増して、 人々の笑顔が優しく穏やかに見える。 子供達の笑顔は これから来るイベントへの カウントダウンで輝いて見えた。 そっと左手の手袋を外す。 「早く、売らなきゃな」 左指に光

          万葉の恋 第12夜

          万葉の恋 第11夜

          「寒っっ、隠れるなら、中にしてよ」 思わず、胸の前で両腕を組んだ。 いつから、ここにいたのか知らないけど 屋上にいた彼を一発で見つけられた事に ホッとした。 お互い、コートは病室に置いている。 彼も寒いはずなのに、 私の言葉に振り向かず、両腕を 手すりにかけたまま、立ちつくしていた。 先生からの話が あんなに長く続くはずがない。 1度、ドアの外から音がした。 どこまで聞いてたんだろう。 「情けないよな・・」 こっちを見ない。 「今思えば、周りから “結婚”

          万葉の恋 第11夜

          万葉の恋 第10夜

          無理をしていたんだろう。 病室に戻ってきた彼女は すぐに目を閉じた。 彼女が眠ったのを確認した三上は 担当医の話を聞いてくると言って 病室を出て行った。 傍にあった丸椅子に座り 眠る彼女を見る。 4人部屋には彼女しかいない。 入院したのは、1カ月前だと言っていた。 ずっと、1人だったのかな・・。 青白くうつる顔。 さっきまでの彼女とは、 全く違って見えた。 ~・~・~・~・~・~・~ 気になっていた本を スマホで読みながら、右上に表示 されている時間に軽くタ

          万葉の恋 第10夜