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レプリカユニフォームとサステナビリティについて《前編》

Jリーグファンにとって、今年も財布の中身が寂しくなる季節がやってきました。

来月のJリーグ開幕を控え、各クラブの今季のユニフォームが続々と発表されています。

レプリカユニフォームといえば応援グッズの定番。
チームとの一体感を高めるため、好きな選手を応援するためなど様々な動機がありますが、総じて言うとあらゆるグッズの中で人気NO1というのはスタジアムに行けば感じられるでしょう。

私が持っているレプリカユニフォーム2着。どちらも思い入れの深い選手です。
※両方17番なのは偶然

ただ、このレプリカユニフォームというものを「産業」「商品」として考えると、これは果たして持続可能なものなのだろうか?という疑問が出てきました。
大量生産・大量消費という現代社会のシステムの中にこのユニフォーム産業も取り込まれているのではないか、持続させるにはどうすればいいんだろう?と思って今回筆を執ってみたので、読んでいただけると幸いです。

それは持続可能なのか?

①どうやって作られているのか


まず、ユニフォームの素材に注目してみましょう。

私が持っているセレッソ大阪のレプリカユニフォーム(2020年モデル)の材質は「ポリエステル100%」と書かれています。

ポリエステルといえば石油を原料とする合成繊維で、ユニフォーム以外にも多くの衣類に使われています。

石油は有限資源で、人工的な生成も可能ではあるようですが物凄いコストがかかるので現実的ではありません。
また、世界の特定地域に偏在しているため、入手可能性は国際情勢に左右されます。

地球規模で必要とされる資源であるだけに、その消費をどうやって減らすか、どうやって持続可能にするか?
これは人間社会全体の問題です。

②サポーターの財布に優しくない 


持続可能かどうか、という問いは地球規模であるだけでなく、いち消費者にとっての問題でもあります。

Jリーグの場合、レプリカユニフォームの値段は概ね15000〜25000円
選手が着用するものと同モデルである「オーセンティックユニフォーム」になると、その値段は3万円を下らないほどです。
年間で考えると、格安キャリアのスマホを1台追加で契約するぐらいの出費ですね。

サポーターにとっては、ユニフォームは応援グッズとして一番ポピュラーですし、好きな選手を応援するためにユニフォームを着たいという気持ちもあります。

また、熱心な人の場合だと、愛するクラブにお金を落として貢献する、という動機もあると思います。
自分も好きな選手を応援したいですし、どちらかというと熱心なサポーターの側にいるのでセレッソに対してはお金を落としたいと思っています。

なのでユニフォームは買いたいんですが、やっぱり1着2万円だとお財布が辛すぎる。
学生時代は自由に使えるお金が少なくかなりハードルの高い買い物でしたし、就職して給料のある身になった今でも値段を見ると正直尻込みします。

問題の原因


ここまで、ユニフォームという製品が現状抱えている問題について触れてきました。

ここまで読まれて、こう思った方もおられるのではないでしょうか。

こんなに問題があるなら毎年売らなければいいし、素材も変えればいいんじゃない?

しかし、簡単に変えられるものではありません。サッカークラブは商売であり、サッカーはスポーツであるという根本的なところを頭の中に留めておく必要があります。

クラブがユニフォームを売りまくりたい事情

Jクラブの運営会社は一営利企業なので、当然ながら利益をできるだけ増やし、コストをできるだけ減らし…という一般企業と同じ原理が働きます。

特に決算前の時期は最後の大詰めということで売上最大化・コストカットの動きがより激しくなるのが常々で、これもまたJクラブも同様。
Jクラブは1月末決算のところが多いので、その直前が大詰めという場合が一般的です。

で、シーズン開幕に向けてユニフォームが売り出されるのも同じ時期。サポーターの皆さんは開幕戦には新しいユニフォームを着て応援したいので、購入は開幕を控えたその時期に集中します。  

この売上が決算直前に一気に入ってくるということで、とても貴重な資金源になるというわけですね(同じことが、これまた開幕前に売り出されるシーズンチケットにも言えます)。

なのでクラブはユニフォームを売れるだけ売りたい。
販売数を少しでも増やすために、クラブは基本的に毎年ユニフォームのデザインを変えることで買い替えを促しています。
あるいは目玉選手の背番号を変更して購買意欲を煽る…という話も聞いたりします(こちら実際のところは定かでないですが)。

ポリエステル素材を使っている事情  

そもそもユニフォームというのは選手が着用するもので、レプリカユニフォームはサポーター向けにも類似のものを販売するという形態です。

ユニフォームの本来の用途を考えると、選手たちは運動して汗をかきます。そのため、吸水性・速乾性に優れたポリエステルは最も適した素材と言えるでしょう。

それを「石油資源の節約」とか言って素材を変えてしまうと、本来あるべき機能を損なうことになります。
本来はスポーツウェアである以上、それは本末転倒だという認識は必要ですね。

じゃあどうする?

とはいえ、サッカー界もこの現状をただ手をこまねいて見ているだけではありません。

サステナビリティやSDGsが叫ばれる世の中において、彼らも社会の一員として、これらの問題の解決に向けて努力しています。

ここまで長くなってきたので、続きは《後編》に任せようと思います。
《後編》では、サッカークラブの取り組み事例の中で印象に残ったものを取り上げようと思います。

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