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いいこ、おしまい。

わたしは、いい子だった。

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いいこってなんだ?
書いておいて、よくわからない。言葉は大切だ。別の言葉を探してみる。

わたしの表現したいことが何か、よく考えてみると、
「いいこ」とは、わたしにとって「本当じゃない自分でいること」だ。

何のために?
「認められたい。評価されたい。」
「褒められたい。」
「嫌われたくない。」
(いつも、何かに。誰かに。)
そのためだったのだろう。それは痛々しく、弱くて、寂しい。

昔から、数学では赤点スレスレの時もあったし、音楽と英語以外の勉強は苦手だったけど、学校では大人しく真面目で、掃除もサボったことがない「学校的優等生」だった。
小学校時代「姫ちゃんのリボン」に憧れて入った、演劇クラブでは部長になり、中学校でも吹奏楽部の部長に推薦され(小学校で人前に立つ立場で、嫌な経験をしたので「絶対嫌」と辞退し、木管のリーダーになった。)、高校1年で吹奏楽部の副団長になった。

嫌味な書き方にもとれるが、これは自慢ではない。

「学校的優等生」から脱却できず、本当の自分を解放できなかった結果だ。

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大きな反動が家で現れ、激しめの反抗期が10年(10才から大学入学まで)続き、両親は長い間、本当に私に悩まされた。
わかっていながらコントロールできない自分が憎くて、暴れたあとは自己嫌悪で、夜な夜ないつも部屋で泣いていた。
そしてその頃から、いつも「書いて」いた。

大学生になり、ひとり旅を始めた頃から自分を解放できるようになり、家で暴れることも減っていった。

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だけどやっぱり、どこに就職しても転職しても、今度は「職場的優等生」になった。

職務に責任を感じすぎ、自分が病むまで向き合い、全力疾走を続けているかのように疲弊し、それでも頑張ることをやめられず、数年で崩壊する。
「それなり」でいいかもしれないのに、「良い加減」で向き合えない。(そういう仕事を選んでいたんだけど)

上司や先輩に反発して「良い部下」ではなかったが、それもいつも仕事のために戦ってきた。結果、任される仕事量も背負う責任もどんどん増え、意地でこなし、そしてまた任されてしまう。
どこの職場でも、熱くて頑張り屋の「職場的優等生」になっていた。

仕事を辞めてWEBクリエイターの学生になった去年は、「良い点数」「良い評価」を取らないと気が済まない癖が、まだ生きていた。
大人になって始めた勉強は難しく、授業についていけず、それが嫌で寝る間も惜しんで猛勉強した。自分のやりたい勉強だったっていうのはもちろんあるけれど。
そしてたゆまぬ努力の結果、いつも満点をとる「社会人学生的優等生」となった。

そんなキャラとしてクラスでも定着しつつあった卒業間際、クラスの友人皆が受かったとある面接に、自分だけが落ちた。

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驚いたのは、「すごくショックを受けた」ということだった。
就職の面接でもなく、退学になるような大事な試験でもない。そんなに落ち込まなくていいはずなのに。
そのあとの授業が手に付かないほど、落ち込んだ。

あ、わたし、あんまり落ちたことがなかったんだ。
だからショックなんだ。そう気づいた。

いや、高校も大学も、手の届かない格上の学校を受験してめちゃくちゃ落ちたけど。単純に、試験の点数が足りずに落ちたのだ。
でも、バイトの面接や転職のたびに受けた就職試験、倍率が高かった面接での入試など、それらに落ちたことはなかった。

ショックを受けたのは、「点数以外の理由で落とされたこと・選ばれなかったこと」だとわかった。

それはこんなにも、自分自身の人格を否定された気持ちになるものなのか。
どれだけそういう経験をしてこなかったか、30を過ぎた今、ようやく知った。

クラスメイトにも、自分だけ落ちたことは堂々とバレてしまったし、なんなら気まずくないように自分から広めたし、半ば強制的に、社会人学生的優等生はおしまいとなった。

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そしたらなんと、気持ちの晴れやかなこと。
肩の力が抜けて、だらしない笑い方ができるようになった。
え、なにこれラクチン。いいじゃん、ちょっとダメな、アホな自分。

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もともと、仕事を辞めてキャリアを捨て、社会的に「普通」らしいとされる道を外れ、ここに来たんじゃないか。人生第2ステージの始まりだ。
今までどおり「いいこ」でいて、どうするのよわたし。

認めてもらうのでも、評価を期待するのでも、選んでもらうのでも、嫌われないように生きるのでもなく、このまんまで生きる。
自分で自分を選んで、歩く。

自分を信じるというのは、心地よくて、不安で、嬉しくて、怖くて、正直で、複雑で、シンプルだ。

いいこの自分、さようなら。
長い間辛かったね。がんばってくれてありがとう。
もういいよ、自由になって。
優等生から自分を解放して、これで冒険ができる。
ようやく、スタートライン。

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これは卒業証書。
おめでとう。

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