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羽生結弦RE_PRAY横浜公演楽日感想② 〜「今」の稀有さを知る人の『静寂』〜


リプレイ横浜公演の感想 その②

今回、一番に心惹かれたもの

それは

羽生くんの存在そのものから伝わって来たもの

どんなに激しい演目を演じていても
伝わってくる印象の中核に「静寂」を感じる

鮮やかなマッピング映像や光に彩られ滑る中でも
激しい音楽に乗り連続ジャンプを跳んでいる時も
天井を揺るがすような声援を受けている時でさえ

羽生くんから届いてくるものはとても静かだった


真っ白な雪が
どこまでも広がる平原の中

くっきりと澄んだ青空と
冷たく透き通る空気に包まれて

音のまだ生まれていない世界で
ひとり立っているような

そんな静寂を羽生くんから感じていた

最後のMCを聞いていたら
この印象が腑に落ちた
何かを具体的に話されていたわけではないけど
ただ自分の中で腑に落ちた

今この瞬間、目の前に広がる世界に
確かに存在しているけど
その世界が始まった時に
始まった、終わりの時を
同時に見つめながら今を生きる人の
その生き方が持つ「静寂」なのだと


では、強く印象に残ったプログラムの感想など含め
思ったこと感じたことなどを書いていこうと思う



『あの夏へ』

水だった
羽生くんが水そのものだった
スケーティングを目で追っていると、
羽生くんの姿から雫が跳ねるのを感じる
跳ねた雫が水面に落ちて
波紋が広がっていくのを感じる
人じゃなかった
水だった
水の命を生きていた

後でインタビュー記事で
羽生くんが水を語っていたのを読んでまた驚いた
羽生くんの伝える力の強さに感服した



『いつか終わる夢』

これを見て羽生くんのスケートが本当好きだと思った
氷をひと押ししただけでそこに世界が生まれる
ただそれだけで、涙出て来た

羽生くんのスケートを語る時
「滑る」という言葉ではもう
合わないのじゃないか?と思うくらい、
そのスケーティングから伝わるものが
「スケートを滑る」という言葉で思い出されるものとは別物に見える

水面を揺蕩う様にも空中を舞う様にも見え、
想いという、
目には見えないものが形を得た姿にも見え、、

羽生くんの姿を通して色んなものが見える

羽生くんの姿を通して感覚で感じるものと
羽生くんの姿を目で見て感じる心地よさと
羽生くんから届いて来る印象と

とても多くのものが届いて来る

Tの字に足を挙げてゆっくりと滑る姿
生で見るとこんなにもゆっくりだとは思わなかった

このスピードで脚を水平に上げ
曲げた膝を、ゆっくりと伸ばす
背中や腕はブレることなく柔らかに動く
基礎の基礎を、こんなに美しく魅せられるのが
本当に素晴らしいと思う

スリーターンやバックビハインドクロスやイーグル
自分もスケートで習っているけど
こんなにもフィギュアスケートとは美しいものなのか、と
羽生くんを見ていると思う




『いつか終わる夢 RE』

いつ夢が始まる前の羽根が舞い上がる演出
あの羽根は2回目は映像の中だけだったんだ
羽生くんは同じ動きだけど別のものに見える
スクリーンをほぼ横から見る席だったから
フードを被った羽生くんの動きはとてもよく見えた

慈しみのような空気が漂う羽生くんのスケート

幾つもの命を生きて、
失敗を繰り返して、
今日また生まれるこの命が持つ、誓い
羽生くんのスケートから感じる慈しみ
誓いは夢となってその命を導いていく

そんな印象を持った




『レクイエム』

初めてレクイエムを見たのは2015
その時の印象は、
スタート位置に立った羽生くんから
暗闇より暗い闇を感じた
最後はその見つめる先に朝焼けを見た

この日の羽生くんのレクイエムからは
あの頃よりも少し俯瞰した心を感じた
俯瞰しつつも、更に先へと進んだ未来への想い

2015年の頃の印象では
ある時間から、一歩進むその一歩までだった

この日のレクイエムは今の世界に感じた
過去を遡り、今これからを考えるような
来る未来にも
越えるべきものがあることを知っている様な



『鶏と蛇と豚』

この演目といつ夢は
4階からのロングサイドで見れてよかったー!って思った!
いつ夢はスケーティングとマッピングとの融合がよく見えたこと
鶏蛇は羽生くんのスケートのスピード感とその軌跡、
それと羽生くんの身体の動きの柔らかさが素晴らしくよく見えたこと

正面の映像からだと分からなかった可動域の広さ
動きの鋭さ、キレの良さ

この演目、マッピング・ライティング演出無しの通常のアイスショー用にリプロダクトされたものも見てみたいなぁ




『阿修羅ちゃん』

鶏蛇感想にそのまま続けて読んでほしいのだけど、
何故鶏蛇をマッピング・ライティング演出無しのリプロダクトプロとして見たいと思う様になったか?
それはこのRE_PRAYの阿修羅ちゃんを見て、
横浜スターズの阿修羅ちゃんと全然違う!!と衝撃を受けたからなのです

私は横浜スターズが初見の生阿修羅ちゃんでね、

スターズとRE_PRAYの阿修羅ちゃんは
全く別物?!と思えるくらい違って見えたんだよ

RE_PRAYは完全にダンス特化されてた
単独公演だから多分ペース配分の考慮と、
全体のプログラムでのカラー強化のためと想像

スターズはひとつのプログラムとして魅せる仕上がりになっていた

だから、鶏蛇単体を演じるプログラムを見てみたいと思った次第
どんな風に変わるんだろう?と

マッピングや強いライトアップがされていない中で、
じっくりくっきりはっきり
あの鶏蛇羽生くんを見たい、、!



『暗闇に沈んだ「私」がラストに踊る踊り』

羽生くんの祈りの舞←勝手にそう呼ぶ
心地よい、ずっと見ていたい
沢山の羽根は命たち?
一つを選ぶのはこの私で生きると決めたのだろうか



現地は羽生結弦の存在そのものから発せられる印象が
とても色濃く広がっていた

終わりを感じながら今を生きる心
終わりがあるから今がこんなにも愛おしい
切なさ、愛おしさ、静けさ、慈しみ、、

私の心には語られるストーリーよりも
生の羽生結弦が放つものの印象の方が
絶大に心に流れ込んで来ていた

ストーリーは画面横からの視点のせいもあるのか
既に知っているためなのか
ライビュで見た時よりもあまり心に入ってこない
だけどそれは
その場にいる羽生くんから届くものを
もっと味わいたくて、
余韻を味わいたくて、
語られるストーリーに頭をすぐに切り替えるのを
あえて辞めていたことも理由かも?と思う




RE_PRAY、
これは演劇でもなく
今まで見てきたことのあるアイスショーでもないんだと実感した

既存の形式に当てはめて考えるものじゃないんだ、
アイスストーリーは新しいジャンルなんだと思った

羽生結弦というジャンルの表現なんだと思った
羽生結弦にしか後にも先にも出来ないと思った



★マッピングについて

欲を言えば、
マッピングを最小限にした状態の
羽生結弦のスケートの割合を
もう少しだけ増やして欲しいな、と思った

時としてマッピングは
広がるイメージを固定化してしまう場合があるから

例えば「あの夏へ」の水の波紋の様なイメージは
羽生結弦のスケートだけ注視して見ている時のほうが
水の感触と広がりを、私は感じられた

「春よ、来い」も、
吹雪の様なマッピングが施されているシーンを例にとれば
あのシーンは羽生結弦のスケートだけで
温度変化や、凍える様な心の印象などを
今まで見て来た春来いの演技から私は感じ取っていた

そのどれもが毎回少しずつ印象が違い、
時には身体の感じる寒さ、
時には心が凍える寂しさ、、のように
変化の系統は同じ方向であっても
同じ印象は一度も無く一期一会だった

それが羽生結弦のスケートの素晴らしいところだと私は感じている
羽生結弦のスケートの醍醐味だと思っているから

羽生結弦が持つイメージを観客に届けるエネルギーや力を
マッピングによって具体的なひとつのイメージに
あんまり固定しすぎないで欲しいな〜と思った

マッピングを使うなら
羽生結弦の届ける力を最大限に生かして欲しい

見るたびに届いてくる世界が変わるからこそ
羽生結弦のスケートは一期一会で、
何度でも現地で見たい!と思わせる力を持っている

単独公演ではマッピングを施して舞台を作ることが前提ならば、
試合の時の様な
何もライティングのないスケートが見れる機会を
別のショーなどで作って欲しいな〜とも思った

もしかして、
こう言う風に感じる人もいるかも、と考えてくれての
プロロのSEIMEIや破滅への使者なのかな



私の鑑賞の仕方はとても感覚的だ

色の切り替わりのリズムや形からも
とても多くの印象が流れ込んでくる

丸いのか、角があるのか
じんわりと明るく光らせるのか
激しく点滅させるのか

数字や漢字をみると
色やイメージが流れ込んでくる

だからマッピングのような沢山の情報があると
感覚のアンテナがキャパオーバーになりやすい

羽生くんのスケートは
私にとって
それ単体だけで、既にものすごい情報量がある

だから、ライティングもマッピングもない、
真っ白い普通のリンクで滑る羽生くんのスケートが
私には一番羽生結弦のスケートをじっくりと感じられる

羽生くんの息遣いやエッジが氷を削る音だったり、
羽生くんの動きひとつひとつから
届いて来る、
見えて来る、
様々な印象を感じるのがとても好きなのです

このマッピングについての感想は、
そんな私の特徴からの感想なので
マッピングはダメ〜って話では全く無いです

好みの話として読んでもらえると嬉しいです

華やかなマッピングがあった方が
より羽生くんが表現したいと思っている世界が
分かりやすくなる、分かりやすかったと
思う人が大半なのではないかと思います

私もマッピングありの演目、いつ夢とか、
素晴らしいと感じているし、
不満があるとかじゃ無いんです
ほんっと欲を言えば、っていう話でした
それと羽生くんのスケートの凄さを語りたかった

あと目が悪いので
強い光の刺激に弱いという理由もある汗

単独公演、
映像で見せる世界もとても素晴らしいので
映像作品オンリーでのスケート作品があっても面白いのじゃないかと思ったな〜
視聴者参加型の映像オンリー作品とか
それこそストーリーを
このリプレイみたいに見る人が選択出来る
インタラクティブ映像作品にするとか、、
うわ観たいなそれ!





★最後のMC

もう2度と無いかもしれないこと
これが最後になるかもしれないこと

今、私が感じているものを
そのまま語ってくれたのかと思うくらい、
言葉がすっと心に入って来た

今回、まさにそんな感覚で
私はRE_PRAYを観に行っていたから

ここ数年の世の中の変化の中で
「まさかこんなことが実際に起こるなんて」
そんなことが本当に沢山あって

でも多くを語れない
語っても伝わらない
そんなことも沢山あって

羽生くんの話すことが少し抽象的なのは
もしかして
似た様なものを感じたり
体験されてるのかなとか

思いながら聴いていた
全く違うかも知れないけど

羽生くんの語りかけてくれてたことは
大袈裟でもなんでもなくて
本当にそうだな、と感じる

抽象的であったり、物語を介してでないと
今は語りたいことも語れないような流れに
世の中がなりつつあると私は感じていてね

羽生くんのアイスストーリーや
こうしてMCで語ってくれる話の内容に
そうした今の流れが
多少なりとも影響を与えている様に感じて

それでも、
表現することをやめずに
続けてくれる羽生くんに
心からありがとうと伝えたいと思った

そして、
それを支えてくれる多くの人々に
羽生くんが感謝の気持ちを寄せる様に
私もありがとうを沢山伝えたいと思った

何もかも当たり前じゃなく
あって当然なものは何もなく
全ては奇跡の上に成り立ってる

光も闇も自分の心の中にあって
どれを選ぶかは自分に委ねられてる

今のこの時に、
こうした物語を見せてくれる羽生くんに
色んなことを考えるきっかけをくれる羽生くんに
ありがとうって伝えたいなと思った

考えること
意識を向けること
それがとても大事だと思うから



そういやまた
僕なんかって言ってたなぁ羽生くん
もう言わないと思ってたから驚いた

でもプロローグの頃に感じてた怯えてる様な印象は無く、
この日のトークの声は落ち着いた声だった

何故羽生くんは僕なんか、とか
自分のことひとつも好きなとこない、とか
思うんだろう?

自分の未熟さに気付いたら
周りがとても輝いてることに気づいて
自分ちっせえなぁ、、って思った、
みたいな感じなのかな

表層意識では自分を嫌ってたとしても
今こうして生きているのだから
どこか少しは好きなところがあるから
生きているんじゃないかな?と思うのだが

と、書いてから、また別の思いも浮かぶ

好きじゃないからこそ生きてもいられる、
ということもあるかも?と、、

自分のこと好きじゃ無いから、
大切じゃ無いから、
どうでもいいから、惰性に身をまかす

、、でもそれなら、
自分の夢を叶えるために頑張ったりしない気がする


羽生くんは言葉選びが微妙に
本心とズレてる所があるんじゃないだろうか、、?
いや私の語彙力不足、理解力不足か、、?

もっと、もっと、と自分に何かを求めれば、
それをまだ持っていない自分は認められないだろう
イコールそんな自分は好きじゃない、のかもしれない

理想が高ければ高いほど
自分にはそれが出来るはずだと思えれば思えるほど
今の自分のこと好きじゃないって言葉になるのかも?
自分を好きじゃ無いんじゃなくて、
不甲斐ない、って感覚に近いのかも、と

でも聴く側の人には
そういう意味ではなかなか伝わらないかも知れない

シンプルに、
自分の存在を好きか否かの考えとして
聴き取る人が多いんじゃないかな

この会場にいる人たちはほぼみんな、
羽生結弦という人が大好きだ
だから、
羽生くんが苦しんでいたり悲しんでいたりしたら
羽生くんに心寄せて
同じ様に辛くなるんじゃないかな

こんなに大好きで応援してて
こんなに君の存在を心から喜んでいるけど
当の本人は自分のこと好きじゃないんだ、と聴いたら
単純に、ちょっと悲しくなっちゃうんじゃないかな

自分も自分が残念に思えたりダメなやつに思えること多々あった
あまりに辛いから忘れて生きてた
でも時折思い出してしまい、
隠れてしまいたくなるくらい恥ずかしく居た堪れなくなる
なぜあんなことしたんだ、あんなこと言ったんだ、なぜ気づかなかったんだ、わからなかったんだ、とか

結局、仕方がないと思うしかなくて
もう時は戻せないから
今からをできる限り頑張るしかない
ダメダメ人間よなぁわたしって、と気づきながらも
好きとか嫌いとかはなくて
ただそうなんだ、と
出来ないやつで困ったやつなんだよ、って
ただ思うだけ、知るだけ
そうか、じゃあどうしようか、って
対策を考えるだけ

羽生くんは本当は
自分をとても好きなんじゃないかな
羽生くんが1番羽生結弦に期待してるんだと思う

だから、今がちっぽけに感じたり
好きじゃなかったりするんじゃないかな
その比べている先にいる羽生結弦に、
必ずなれると疑うことなく信じてるから

、、って想像してみた

でもまた時間経ったら違う想像も出て来そう

羽生くん、いつか
何故その表現を使うのか語ってくれんかな
きっと想像してたのとは全然違う方向から
語られてるような気もするぞ?



今、見据える先にいる羽生結弦は
羽生くんと同じ道の上にいるだろう

歳を経て、いつか
先を行く羽生結弦と道を分つ時が来たら

その時、羽生くんは何を見るだろう語るだろう
そしてどんなスケートを見せてくれるだろうか

私はその、移り行く全ての時の
羽生くんを見ていたいと思った





ふーーっ、語った

でもまだ感じたことの半分も語れとらん
当てはまる言葉が見つけられなくて、、

これ書くのもどえらい時間かかってた汗

あーでもないこーでもないと考えてるうちに
新しい羽生くん情報はどんどん来るし
もうすぐノッテ始まるし
なんか時間の流れめちゃくちゃ加速しとらんか?



とりあえず文章だけアップ
なかなか絵を描けん、、汗
後から追加するかも〜〜


長文、読んでくれてありがとう(^ ^)

では、おやすみなさい☆彡


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