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ハンガリー反LGBT法案可決と欧州議会の反発の効力

ハンガリーで、反LGBT、18歳未満の同性愛の描写を禁止する改正案が6月15日に可決され、7月8日から施行となる予定です。

欧州議会議長は欧州の理念に反すると批判しています。

LGBTとは、

レズビアン(Lesbian)

ゲイ(Gay)

両性愛(Bisexual)

トランスジェンダー(Transgender)

のそれぞれの4つの用語の頭文字を組み合わせた表現です。

LGBTは「性の多様性」や、「性のアイデンティティ」を認めるもので、かつてマイノリティーであった「性的少数者」を養護してきています。

概念については様々な意見がありますが、2006年7月「モントリオール宣言」以降、国連などの国際機関でも、性にまつわる人権問題を扱う公文書でこの言葉は用いられています。

国際機関でも用いられるようになった理由としては、同性愛、両性愛、トランスジェンダーはそれぞれ深刻な差別や殺害も含む迫害を受けてきたからです。

不当な偏見があり公式に問題視されにくく、実態が把握されることが妨げられてきたようです。

ただ、LGBTの用語は、この表現に包含される、いろいろな性のあり方を一緒くたにしてしまっていること事実あります。

また、このLGBTという語に異性愛が含まれていないのも、これらの性のあり方を浮き立たせている面も否定できません。

「性の多様性」を認められるのが欧州の価値観です。ところが、ハンガリーでは、反LGBT法が先月6月15日に議会で可決されたのでした。

法改正は、右派オルバン・ビクトル首相のもと進められた政策の一環で、同性愛や性別移行に関する性教育や宣伝が事実上禁止されるものです。

オルバン政権では、法改正により小児性愛対策や未成年保護が目的と主張してはいますが、反対派からは、表現の自由や子どもの権利を制限するものと反対し、議会前でで5000人以上が集まり、法改正案に抗議がありました。

この法改正に対し国内だけの反対に収まらず、「性の多様性」を認めるEUでは6月24日に首脳会議を行い、ハンガリーの可決法案の審議を行ったのです。

17カ国が、LGBTなど性的少数者らへの差別と批判し、その反面ハンガリーに同情的な東欧7カ国は批判していません。

EUは価値観を巡り分裂していますが、フォンデアライエン欧州委員長は23日の声明で撤回を求め、法的措置を取る考えを示しています。

オランダのマルク・ルッテ首相は、「欧州の価値観を気に入らなければEUを去るべきだ。」とも言っています。

ところが、ここで欧州議会が、欧州の理念に反するとしてハンガリーに対し法改正のキャンセルをしないからといって、EUからの追い出しは無理なのです。

追い出しには欧州議会において満場一致であることが条件です。現在も足並みはそろっていません。

EU共同体には加入には制約がありましたが、一度加入した国を追い出した歴史はなく、イギリスが立ち去っただけです。

ハンガリーは法改正のキャンセルをすることもないでしょうが、EUとしてはそうなれば、貸付けの拒否などで経済制裁とすることもありえます。

このままEUの西側の批判が目立つだけに終わらないことを願います。

LGBT : lesbiennes, gays, bisexuelles et transgenres


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