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登頂記録1。一緒に粟ヶ岳を登ろうよ。

粟ヶ岳、初登頂。

近所にある(といっても車で20分くらい?)、粟ヶ岳。
標高532メートルの小高い登山ができるお山。

昨年の10月3日の日曜日。
ふと、「粟ヶ岳を登りに行こう!」と思い立ったのが始まり。
麓の駐車場に車を停めて、そこにあるお茶屋さんでお水を買うと、そこのお母さんが色々と親切に教えてくれた。なんだか見所がたくさんあるらしい。

とりあえず登ってみよう。

スタートしてすぐ、急な坂道に圧倒される。
目の前には性別も年齢も様々な方々が歩かれており、小さなお子様の元気な声が歩を進ませてくれた。
下ってくる方々が「こんにちは~」とあいさつしてくれるので、はあはあ言いながらも「こんにちは~」と返すと不思議と歩ける自分がいた。

しばらく歩き続けるも、何度も立ちはだかる急斜面にしんどいしんどい、と思っていると。

「チ~ン、チ~ン」

意識が音に向かうと、身体がふと軽くなる。
熊除けの鈴の音だった。
前を歩くご夫婦がリュックサックに取り付けて歩いていた。

「鈴の音が心地よいですね。頑張れます、ありがとうございます」
お礼を伝え先を行く。
背後から尚聞こえる鈴の音にしばらくの間励まされていた。

ふと立ち止まり、上を見上げると、頂上が近くに感じた。
もうそんなに歩いたのか…と下を見下ろすと、車を停めた駐車場が遥か彼方に見えた。
私の後ろにもまだたくさんの方が頂上を目指し登っている。
先ほどすれ違った方が随分と下を軽やかに下っている。

ふぅ…と深呼吸をして再び歩き始めた。
10月といえど暑い。
汗がびっしり。

アスファルトを歩き続けていくと、道は山道に入っていった。

道は細くなり、土地に小石や枯れ葉が乗っている。木の根もたくさん張っている。木材で階段を作ってくれているが、高さがある。
歩き続けて足に疲労感がある時にここは少し踏ん張りがきかないかもしれない…。滑らないように、上がらない足を一歩ずつ上げて、歩を進める。

降りてくる方とのすれ違いは、どちらかが道を譲る形になってきた。

登ることに必死の形相な私をみて、
「こんにちは!」
と道を譲ってくださる方々に感謝しつつ、なんとか歩を進める。

お茶屋さんのお母さんが教えてくれた、観光ポインントを思い出しながら、

あぁ!これか!

気がつくと意識が切り替わり、さっきまでのしんどいがどこかに消えた。


景色が変わり、より山の中になって大きな岩が出てきて。

なんじゃこりゃ…!(お茶屋さんのお母さんが教えてくれた観光ポイントの1つ)

近寄ってみるとその迫力とパワーに圧倒される。

この上なのか、頂上は。


と、更に先を行くと。

「阿波々神社」の看板が出てきて、境内に入っていた。

参拝をすませ、境内をぐるりと周ると、標高の看板を見つける。

日差しがきれいだ。


道なりに進むと、先には山カフェがあった。

インパクト強のその外観に、人がたくさんいた。

みんな登ったのか…と思ったけれど、どうやら頂上まで車で来ている方も多かった。

テラスから眺めた先は、空の高さを感じた。

遠くの海も見えるし、その先の伊豆半島も見える。

富士山も見える。

見た事のない濃さの青い空に息をのんだ。

グルっと見渡すと山から海へ、地平線が水平線となり広がっている。

駐車場があるであろう、山の麓から果てしない空の上の上までをじっくりと何度も見上げていた。

今まで地球が丸いって、右から左へ(左から右へ?)見える景色に感じることは何度もあった。

でも。

雲一つない快晴の青空を、自分の足元より低いところから自分よりも遥か遥か上のどこが一番上なのかわからない、空の頂上を見上げて、初めて、縦の空間に丸みを感じた。

あぁ、地球は丸いんだなぁ。

空を見ていて思ったのはこの時が初めてだった。

圧倒的な青の美しさに、私はしばらく言葉が出なく、写真を何枚も撮った。

スマホなんだから、この美しさがそのまま残ることはないのに。
でもなんとか持ち帰りたくて、スマホを縦にしたり横にしたりしながら、何枚も撮っていた。

山カフェはランチ時で大変賑わっていた。
レジに並ぶお客さんも多く、ほとんどの席が埋まっていた。

注文をし、席を探すと運よく空いていたので座ったら、とっても景色のよい席でラッキーだった。

「お隣いいですか?」

素敵なカメラをお持ちのお母さんたちがいらしたのでおしゃべりしながらランチが出来上がるのを待っていた。


久しぶりにこういう風景に触れた。

コロナが広まり、人々が関わり合うことを控え続けていて、ようやく少し落ち着きを見せたタイミング。

みんな気持ちは同じなんだと思った。


帰りは車道を歩いてみることにした。
お茶屋さんのお母さんが「茶」の文字木が見られると教えてくれたからだ。

小さな頃から、小高い山に浮かぶ「茶」の文字が不思議だった。

いつも同じようにそこに居る。

その木を間近に見られるのか…。
そう思うと嬉しくて。

実際に見て驚いた。

「茶」の木は松の木でできていた。
てっきりお茶の木なのだと思い込んでいた。
「茶」なのだから。
(あと、この粟ヶ岳がある地域はお茶の名産地でもある)

だから何年も変わらず、存在し続けているんだと知れて、なんだなんだ~(にへへへへ~)
よくわからない笑みがこぼれた。


「登る人は登ってるよね」

というお話しは何度も聞いていて、でもあまり興味がなく。

わが家は火剣山というお山の麓にあり、小学生のころは毎年何度も登っていた。お山の中腹にはキャンプ場があり、夏には毎年キャンプを行っていた。キャンプファイヤーをしたり、沢に降りて水で遊んだり、お山の頂上まで登り、展望台からの景色を眺めてからズボンのポケットに忍ばせていた100円を出して子育て飴という水飴を食べるのが恒例行事で、夏休みの楽しみだった。

火剣山を登ることは年間行事を楽しむ感じで、どこか義務でもあった私には他の山に行ってまで登りたいとは思えず、ずっと聞き流していた。
なんなら、火剣山ですら、中学生になってから登る機会はなかった。

社会人になり、元旦に初日の出を何回か見に行ったことはある。
でもそれも、いつの年か、元旦に雪が舞い、これは危険だからやめておこう。とやめて以来登っていない。


海よりは山の方が落ち着いて。
でも山にはどこか躊躇いがあって。

みんなが登っている『粟ヶ岳』に、少なからず興味があったんだと思う。


昨年、ふとしたきっかけで登ったら、そこには今まで見た事のない景色が広がっていて。
どっか遠くの「パワースポット」とか、「絶景100選」とか、時間もお金もかけなくてもこんなに近くに、最高の景色が見られて、気分が高揚し、リセットされ、前を向ける、そんな場所があるなんて、なんて最高なんだろう。


私は粟ヶ岳を下りながら思った。

だからみんな粟ヶ岳に登るんだ。

何度も何度も。

同じ山を登り続けるには理由がある。

魅力があるんだなぁ。

それはどんなに言葉で伝えられても伝わらない。
実際に自分で体験しないとわからない。

だからみんな「行こうよ!」と誘うんだなぁ。


だから私も誘う!

「私と一緒に粟ヶ岳を登ろうよ♪」


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