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フェミニズムと国連組織への失望

 「あなたも私たちと同じくフェミニストですか?」という言葉と共に以下のベン図(あるいはオイラー図)がUNWomen日本事務所より2023年7月16日にtweetされた。8日経過した現時点(2023年7月25日)でも、当該tweetは削除も訂正コメントつき修正もなされずUNWomen日本事務所のアカウントに残っている。

UNW図:UNWomen日本事務所の2023年7月16日のtweetでのベン図

 国連機関が公式アカウントでこんなヘンテコなものをロゴ付きで載せて平然としているところに驚愕する。外部に対して啓発する発表物に対する内部審査はないのだろうか。あるいは、公式Twitterアカウントから広報担当者の一存で国連機関のロゴ付きの発表物を出す体制をとっているなら、ベン図(あるいはオイラ―図)を多少なりとも理解していればすぐさまオカシイと分かるようなシロモノを組織の見解として出してしまう程度の人物を、公式Twitterアカウントを管理する広報担当者に据えるべきではないように思われる。

 本稿では、まず、このベン図(あるいはオイラー図)のヘンテコさに対して批判を行う。この図は高々「1つの枠-2つの円-3つの言葉」で構成されている単純な構造しかないにも関わらず、実に多くの問題を抱えている。よくもまぁ、こんな単純なモノにこれだけの問題を詰め込んだものだ、と逆に感心するぐらいだ。それらの問題を詳細に取り上げ、なにがおかしいのかを明らかにする。

 次に、UNWomen日本事務所の組織としてのオカシさを批判したい。当該ツイートはそれなりに炎上しており、コミュニティノートも付けられてしまっている。そうである状況で何も対応をとらないのは、もはやUNWomen日本事務所のTwitter公式アカウントの管理を直接行っている広報担当者の問題ではなく、UNWomen日本事務所の組織の問題である。


ベン図(あるいはオイラー図)への批判


■ベン図における「人々」と「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」の集合の違和感に関して:「人間」と「考え」の違い

 UNWomen日本事務所がTwitterの公式アカウントから出した珍妙なベン図もしくはオイラ―図(以降、UNW図とする)を、パッと見て違和感を抱く人は多い。この違和感に関して後述するエイリアン批判を行う人が目立つが、エイリアン批判よりももっと根本的な存在論的な部分で違和感を感じる人もいる。そこで、UNW図に登場した言葉を以下に挙げ、その存在としての性質の違いによって生じる違和感について考えよう。

 UNW図に登場する言葉は以下である。

・人々
・フェミニスト
・皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え

 上記のように言葉だけを取り出すと、この異様さが理解できるだろう。「人々・フェミニスト」は「人間」である一方で、「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」は「考え」である。UNW図の3つの言葉が指し示す対象は、その存在の在り方が異なっているのだ。

 仮に、そしてこの3つに関して、存在に対する属性として捉えるのではなく、存在そのものとして捉えたならば、あり得ない事態が生じてしまうと分かる。すなわち、二つの円が重なっている部分:

「人々」∧「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」

に関して、「人間かつ考え」という、物質的な存在でもある「人間」でもあり、概念である「考え」でもあるといった、なにを意味しているか不明の対象を示すことになる。つまり、UNW図の円で示された「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」を「考え」自体として捉えると、カテゴリーミステイクを犯していることになる。

 したがって、カテゴリーミステイクを避ける解釈をするためには、「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」は属性である、と考える必要があるとわかる。


■ベン図における「人々」と「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」の集合の違和感に関して:エイリアン批判

 「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」は属性であると解釈しても、やはり違和感は消えない。この違和感からの批判なのだろうが、ちょっと短絡的とも言える批判がしばしばみられる。それが以下のような批判である。

・右の円の人々と関わっていない部分、「皆が平等な権利と機会を持つべきだと考え」をもっている人間以外のナニカ・・・ってどんな存在なんやろ? エイリアンか? 国連に関わる人って超絶エリートって意識あったけど「ンなこたない」とハッキリわかんだね。

・みなが平等な権利と機会を持つべきだと考える人では無いものが想定されてるの面白すぎるwなんだ?地球外生命体か?

UNWomen日本事務所の公式アカウントの炎上tweetにつけられたtweet

 上と同様のツイートは多数あるのだが、

「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」∧「人々ではない」

という部分にに関して、

「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考えのエイリアン」の集合

と解釈して、「そんな存在が居るものか!」とUNWomen日本事務所を嘲笑している(この批判の類型に関しては"エイリアン批判"と呼ぼう)。この嘲笑に対しては、まぁ、純粋数学の視点から

「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」∧「人々ではない」

の集合が元を持たない空集合φであったとしても、ベン図の表現としては問題がない、というテクニカルな反論は有り得る。位相や集合の分野で使うベン図に関して、通常、ベン図の枠内の部分は別に集合の元の存在を示している訳ではないので、「エイリアン批判は不当である」とは言えなくもない。

 とはいえ、「エイリアン批判vs数学上のベン図の表現からの反論」はあまり意味のあるものにはならない。それというのも、エイリアン批判も数学上の表現からの反論も、全体集合として意思のある存在の集合を想定しているからである。つまり、どちらも以下のように考えているのだ。

 したがって、この観点からの遣り取りは不毛なものとなる。それというのも、「人々の補集合の部分は空集合であり、なおかつ、そんなところは国連女性機関だって思考対象にしてないんだから、最初から全体集合を『人々』にしとけよ!」というエイリアン批判と、「ベン図における領域に関して、そこが空集合になったらダメだとでも思っているのか?」という数学上の表現における反論という、まぁ下らない話になる。


■全体集合を「人間以外の事物も含めた集合」と考える

 全体集合を「意思のある存在の集合」ではなく、「人間以外の事物も含めた集合」として考えると、エイリアン批判(と数学上の表現からの反論)には然したる意味が無いことが分かる。つまり、

「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」∧「人々ではない」

に関して、特に問題なく「そういったものが存在しているだろう」と分かるからだ。


 さて、そのことを考えるにあたって、図における「フェミニスト」という部分が、私のnote記事の解説の読者に引っかかりを与えるであろうから、以下のようにUNW図に改変を加える。まぁ、以下の図に関しても、ポリコレ棒を振り回すなどリベラルの暴走がみられる昨今、「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え=リベラリズム」の図式に違和感を覚える人も多いだろうが、一先ずは簡便化のために用いるこの図式を受け入れて解説を聞いて欲しい。

改変図(1):UNW図の「フェミニスト」を「リベラリスト」に変えたベン図

  さて、属性がリベラリズムの集合とは一体何かを考えよう。

 それは、リベラリズムを体現する事物である。つまり、人間でなくとも、リベラリズムについて書かれた本やポスターあるいはリベラリズムに基づく法律や制度などでもいいのである。したがって、改変した上の図は、「人間か、それ以外の事物か」「リベラリズムを体現している事物か、それ以外の事物か」の2軸をつかって以下の四象限に分けて考えることが出来る。

第1象限:(人間)∧(リベラリズムを体現)
    上の図の「リベラリスト」の部分にあたる
第2象限:(人間)∧(リベラリズムを体現していない)
    上の図の「リベラリストを除く人々」の部分にあたる
第3象限:(人間以外の事物)∧(リベラリズムを体現していない)
    上の図の水色の部分にあたる
第4象限:(人間以外の事物)∧(リベラリズムを体現)
    上の図の「リベラリストを除くリベラリズム」の部分にあたる

 以上のように考えれば、炎上している以下の箇所:

「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」∧「人々ではない」

の集合に関して、そこまで大騒ぎしなくてもよいと分かる。


■フェミニストとリベラリストはイコールではない

 とはいえ、「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」は人以外の事物に関してもいえる属性として捉えたとしても、UNW図の珍妙さは消えないところがこのUNW図の問題点である。今度のトピックについては、解消しようのないUNW図の問題点である。

 このUNW図の珍妙さに関して、別の具体的な事物を用いてUNW図と同様の構造を作り出してその珍妙さを解説しよう。では、「人々・フェミニスト・皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」に関して、以下のように対応させる。

・人々:乗り物
・フェミニスト:車
・皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え:赤色

改変図(2):別の概念に関するUNW図と同様の構造を持ったベン図

 上記のように、同様の構造をもった図をみれば、いかにUNW図がオカシイか理解できるだろう。

 世界には、「乗り物」は存在しているし、乗り物の一種として「車」も存在している。また、「赤色のもの」も世界には数多く存在している。そして、赤色のものに関しては、赤い乗り物もあれば、乗り物ではない赤いもの(例えば、赤いバラ・夕焼け空・赤いリンゴ・東京タワー等)もある。また、赤い乗り物に関しては、真っ赤なスポーツカー、赤い消防艇、赤い飛行機(例えばフジドリームエアラインの旅客機)などがある。

 ここで、このベン図の珍妙さに気づいただろうか。

「乗り物」∧「赤色」={真っ赤なスポーツカー,消防艇,赤い飛行機,・・・}
          =「車」

である。しかし、真っ赤なスポーツカーが車であるのはその通りであるが、消防艇や赤い飛行機を「車」と見做すことはできない。というよりも、「車とは赤い乗り物」である、という概念規定が変なのである。車ではない赤い乗り物は数多く存在している上に、車に関してさえ、赤くない車は数多く存在している

 では、元のUNW図に戻ろう。

UNWomen日本事務所の2023年7月16日のtweetでのベン図

 UNW図における問題は、「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」と「フェミニスト」の関係が間違っているのである。

 「フェミニスト」と「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」とは必然的に結びついているのではなく、「フェミニスト」が「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」を持っていたとしても、それは単に偶有しているだけなのである。この関係性から、改変図(2)において

車ではない赤い乗り物は数多く存在している上に、車に関してさえ、赤くない車は数多く存在している。

と指摘した問題と同様の問題が指摘できるのである。すなわち、

フェミニストではない「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考えを持つ人」が存在している上に、フェミニストに関してさえ「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考えを持っていない人」は存在している。

という問題が指摘できるのだ。

 このことに関して、もう少し詳細に考えてみよう。

 まず、「フェミニストをフェミニストたらしめる考え」に関してなのだが、UNW図で示してあるものとは異なり、一般的には

フェミニストとはフェミニズム思想を持つ人がフェミニスト

である。この当然と言えば当然の「フェミニスト」と「フェミニストの考え=フェミニズム」との関係にをUNW図を改変した図で示すと以下となる。

改変図(3):「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」を「フェミニズム」に変えた図

 上記の改変図(3)で示される関係はごく当然の関係であり、UNWomenが上記の図を示していたのであれば文句をつける人間など私を含めいなかったであろう。まぁ、「『人々ではないフェミニズム』の集合は何を意味しているのか?」という質問はくるかもしれないが、そのときには、「そこは本やポスター、あるいは法律や制度です」と回答しておけば問題が無い。

 さて、この改変図(3)と先程の改変図(1)を重ね合わせれば分かるように、元のUNW図では、以下の暗黙の想定が置かれている。

フェミニスト=リベラリスト
フェミニズム=リベラリズム(皆が平等な権利と機会を持つべきだとの考え)

UNW図で置かれた暗黙の前提

 しかし、こんな暗黙の前提は当然ながら成り立っていない。

「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」は一般的にはリベラリズムであって、フェミニズムではない

 もし、「リベラリズム=フェミニズム」だというならば、リベラリズムに加えてフェミニズムの概念を我々が持つことは正に「屋上屋を架す」との慣用句通りに無駄な行為だ。もしフェミニズムがそのようなものであれば「フェミニズムとフェミニスト」という概念をまとめてオッカムの剃刀の基準にしたがって我々の社会から削り飛ばしてしまえばよい。

 フェミニズムは、狭義には女性問題に関する思想であるし、広義でもジェンダー問題に関する思想である。すなわち、貧困問題と「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」の関係性を直接扱う思想でもないし、民族や人種問題と「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」の関係性を直接扱う思想でもないし、障害者と健常者の間での「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」の関係性を扱う思想でもない。「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」は様々な角度から、また、様々な立場で保有される思想である。それをフェミニズムだけの専売特許にするとは傲岸にもほどがある。

 また、「リベラリズム=フェミニズム」あるいは「リベラリスト=フェミニスト」などとは到底言えない証拠などいくらでもある。

 世界的な視点から証拠を上げよう。フェミニストにはラディカル・フェミニストと呼ばれる人々がおり、その中には、『男性根絶協会マニフェスト』(SCUM Manifesto)なんてものを書いたヴァレリー・ソラナスがいる。ラディカル・フェミニズムに属するソラナスの思想は当然ながら「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」にはそぐわない。あるいは、 "Radical Feminism"や"The Institution of Sexual Intercourse"などの著作がある、ソラナスの思想を重視したティー-グレイス・アトキンソンなどもいる。

 また、日本国内の視点からみよう。日ごろ日本のメディアで取り上げられる非アカデミアのフェミニストにも議論の大前提に男性悪玉論(男性の悪魔化)をもってくるフェミニストも多数存在する。例えば、草津町長冤罪事件でフラワーデモを主導した人物や、冤罪を事実として全世界に喧伝した人物などいくらでも挙げることができる。「フェミニスト=ミサンドリスト」ではないが、フェミニストの中に含まれるミサンドリスト、すなわちミサンドリーの言説を垂れ流すフェミニストが存在しているにもかかわらず、全フェミニストが「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」だと見做しているならば、事実誤認も甚だしい。

 結局のところ、本来は以下のような図の関係性であったのだ。

UNWomen日本事務所のtweetにおけるベン図を改変したもの:改変図(4)

 すなわち、リベラリストの中にはフェミニストではない人間も存在し、また、フェミニストの中には「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」など持っていないセクシスト(性差別主義者)のフェミニストも存在している。そして「フェミニストは一人一派」などと嘯き、それらのセクシストを蹴り出しもせずにフェミニストとして緩やかに容認している。

 そういった、当たり前の現実を無視して、

「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」を持つ人間ならばフェミニストのはず、フェミニストは「皆が平等な権利と機会を持つべきだという考え」を持っている素晴らしい人達

といったフェミニストを美化し、リベラリストを勝手にフェミニストにラベリングする行為が炎上を招いたのである。


UNWomen(国連女性機関)への批判

 UNWomenの公式アカウントから当該ベン図がtweetされた後に炎上が放置されている事のヘンテコさは、仮定の話としてUNESCOが公式アカウントで「1+1は200だ。10倍である」とだけtweetして炎上してなおそれがそのまま放置されているような状況である。

 因みに、「1+1は200だ。10倍である」の迷言の元祖は以下である。

「1+1は2じゃないぞ。オレたちは1+1で200だ。10倍だぞ10倍」

1999年3月5日の「HYPER BATTLE '99」後楽園ホール大会にて行われた、天山広吉・小島聡・ヒロ斎藤vs越中詩郎・佐々木健介・永田裕志戦後の、プロレスラー小島聡の言葉

 ただし仮定の話のように、UNESCOが公式アカウントで「1+1は200だ。10倍である」と実際にtweetしたとしても、元祖のプロレスラーの迷言が想起されるのでUNESCOの信用性は(大きくは)傷つかず、奇妙な修辞表現のマイクパフォーマンスとして受け止められるだろう。また、元祖の言葉を知らない人に対しては、UNESCOが説明せずとも他者が元祖の言葉を示してくれるだろう。

 しかし、UNWomen日本事務所の当該ベン図のtweetでは事情が異なる。すなわち、UNWomen日本事務所自身が元祖なのである。したがって、当該tweetの「訳の分からない無茶苦茶な内容」に関して、ベン図というものをよく理解せずに用いたため訳の分からない無茶苦茶な内容のtweetをしてしましたと謝罪するか、当該tweetのベン図らしきものは本来のベン図が意味する内容とは異なる何らかの内容を表すための奇妙な修辞表現であるとの事情説明をして、その内容に関する補足説明をするべきである。

 UNWomen(国連女性機関)が、例えば地球平面協会(=文字通り、地球が球体ではなくピザのような平面をしているとの考え方を、21世紀になっても信じてその説を普及させようとしている団体)のようなデタラメを吹聴する団体であるとの共通理解が社会において存在しているならば、UNWomenがどんなトンデモ説を垂れ流そうが実質的な被害が無いが、国連組織の一つとして認められ、日本政府によっても以下で示す団体と扱われている以上、当該tweetのような明白な誤りが存在する見解を垂れ流してそのままにしても問題が無いと考えるような認識を持った組織の影響力はマイナスにしかならない

 因みに、日本政府によるUNWomen(国連女性機関)の説明は以下である。

UN Women(国連女性機関)
UN Womenとは
 2010年7⽉の国連総会決議において、既存のジェンダー関連4機関であるジェンダー問題事務総⻑特別顧問室(OSAGI)、⼥性の地位向上部(DAW)、国連婦⼈開発基⾦(UNIFEM)、国際婦⼈調査訓練研修所(INSTRAW)を統合し、「ジェンダー平等と⼥性のエンパワーメントのための国連機関(UN Women)」として新たな機関を発足させることが決定されました。国連改⾰の課題の⼀環としてUN Womenの設⽴は実現され、より⼤きな効果をもたらすために4機関の財源及び権限が統合されました。

 UN Womenは、世界、地域、国レベルでのジェンダー平等と⼥性のエンパワーメントに向けた活動をリード、⽀援、統合する役割を果たしています。

UN Womenの優先的活動領域
1)⼥性のリーダーシップと参画の拡⼤
2)⼥性の経済的エンパワーメント及び機会の増進
3)女性に対する暴力の撤廃
4)平和・安全保障のあらゆる局面での女性の関与
5)ユースとジェンダー平等
6)国家の開発計画と予算へのジェンダー平等の反映

UN Women 日本事務所とは
 UN Women 日本事務所とは、UN Womenが世界各地で展開している4つのリエゾンオフィスのうちの1つで、アジア地域で唯一のリエゾンオフィスです。リエゾンオフィスとは、UN Womenが主要な地域機関や国連加盟国と、ジェンダー平等や女性のエンパワーメントのための政策対話や政策提言、資源動員の貢献などにおいて体系的に連携ができるよう設置したものです。
UN Women 日本事務所の役割
1)日本とUN Womenの連携強化
2)UN Womenの活動に関する広報・アウトリーチ
3)⽇本の取組みに関するUN Womenの情報、知⾒を活かした啓発活動

内閣府男女共同参画局によるUNWomen(国連女性機関)の説明

 つまり、「ジェンダー平等や女性のエンパワーメントのための政策対話や政策提言」を行って、日本に住む人々へ有難くも「⽇本の取組みに関するUNWomenの情報、知⾒を活かした啓発活動」とやらを行うとしている。

 あんなヘンテコなベン図をオカシイとも感じない組織の情報や知見?

 そんなものが政策提言に役立つとも、そんな組織にマトモな啓発ができるとも信じることができない。

 もちろん、途上国などでみられる非常に明白な女性への人権の侵害に関してUNWomenが機能しないとは思わない。フェミニズムの観点ではなくヒューマニズムの観点で「その人達の人権が無視されている」と十分に判断できる事態があるときに、UNWomenがその事態を告発し、改善に向けて働きかけることは熟し得るだろう。

 しかし、先進国ではジェンダー差別に関して明白とは言いかねる状況になってきている。先進国では、男女の権利を定める法制度のような明確な部分に関して男女同権は進み、先進国におけるジェンダー差別解消は、分かり易いジェンダー差別からより分かり難いジェンダー差別の解消にむけて進んでいる段階にある。そのような段階にあって、当該tweetのベン図に表れるような雑な思考を組織の見解として公表するような組織に、問題解決能力があると言えるだろうか。私は非常に疑わしく感じる。

 また別の観点からは、UNWomenの問題ではなく、そもそもフェミニスト界隈やフェミニズム信奉者にはマトモな政策提言などできるような能力など無いのではないかとも考えられる。

 それというのも、UNWomen(国連女性機関)は苟も国連機関の一つなのだから、少なくとも日本においては、いい加減なバイトがTwitter公式アカウントの公式アカウントを担当するわけではない。おそらくは一般職(Gスタッフ)とは思うが(註1)、Twitter公式アカウントの担当者がGスタッフでも一般正社員程度の待遇を受けている(もちろん、担当スタッフが実際にどのグレードの職員なのかまでは私には分からない)。つまり、担当スタッフはそれなりの待遇をされている人間なのだ。

 そして、不足の無い待遇から組織への不従順な姿勢というものは醸成されにくいので、一般的には自らが属する組織に不利になるような行動はとらず、それなりの誠意と責任のある行動を取ろうとするだろう。

 そんな人間が配置されているにもかかわらず、公式アカウントからのヘンテコな広報が組織内部で問題視されないのは、フェミニスト界隈やフェミニズム信奉者には問題を問題視できなくする致命的な認識枠組みの歪みがある傍証とも考えられるのだ。

・ベン図も書けないレベルの人間でもフェミニズムに帰依すれば国税どころか国連に食い込めるという希望に溢れるツイート。

国連ってベン図もまともに描けないレベルなの? フェミニズムの前に義務教育を学び直したら?

・フェミニストになればベン図も理解できないド低能のカスでも国連でクソツイかますだけの楽な職に就けるってコト…!?

上記の問題に関して指摘したtweet




まとめ

 本稿では、UNWomen(国連女性機関)がTwitterの公式アカウントから公表したベン図(あるいはオイラー図)を批判し、また、そのような明白な誤りのあるベン図を公表し、かつ指摘が殺到しても問題のtweetの撤回も訂正もせずそのまま公表したままのUNWomenを批判し、その組織としての能力と姿勢に関して疑問を提示した。


註1 国際機関職員の待遇は、一般的な日本の会社員などよりも待遇がよい。それが組織としては新参のUNWomenであってもである。そのことは、外務省国際機関人事センターの以下のページから確認できる。

 国際機関職員の勤務条件は、各機関ごとに職員規定・規則で定められていますが、OECD及びIMF等の国際金融関係機関を除き、多くの国連関係機関が給与水準等について定めている国連共通制度(United Nations Common System)※(注1) に加入しています。このため、国連及びその下部機関と各専門機関の基本的な勤務条件はほぼ同様になっています。

外務省 国際機関人事センター

 とはいえ、国連職員は上級職・管理職・専門職・一般職・フィールドスタッフ等さまざまなランクとステップがあるため、なかなかに複雑である。また上記の外務省国際機関人事センターの俸給表は、上級職・管理職・専門職の俸給表で一般職(Gスタッフ)やフィールドスタッフ等は含まない。そこで以下の亀山氏のブログから国連職員の一般職の待遇を確認してほしい。それというのも、後述するが一般職の待遇が本文における議論と関係するからである。また、彼のブログから分かることよりも厳密な待遇が知りたい人は、以下の国連のサイトの「UN Salaries-Japan」からExcelデータをみて確認して欲しい。

 また上記の亀山氏のブログから国連機関の一般職の仕事の内容を引用しておく。

一般職とは
一般職はその国の現地で働くスタッフで、基本的にはその国の人が多く働きます。私はバンコクのESCAPにいますが、ここでは一般職の多くはタイ人スタッフです。一般職と言っても、国際連合ですので他の国の人も一般職として働くことも可能です。私たちはGスタッフと呼んでいます。General ServiceのGをとってGスタッフです。Gスタッフは管理・秘書・書記サポート・ビルのメンテナンス・セキュリティ、Pスタッフが立ち上げたプロジェクトのサポートや、オペレーション作業、ユーザーのサポート等その配属される部署や課によってその仕事内容が異なります。仕事内容によっては海外出張もあります。仕事の種類としては8つのカテゴリーに分かれます。

・管理オペレーションサポート
・経済社会開発
・政治・平和・安全
・情報通信技術
・リーガル
・広報
・会議管理
・セキュリティ

国連職員の給料;一般職編
亀山翔太  2016/8/27 (更新2018/9/12) Shota's Blog

 ちなみに、平均年収.jpというサイトでも国連職員の一般職の待遇が載っているのだが、サイトの雰囲気から怪しさを感じてサイトの信用度を調べたが、あまり信用でき無さそうと言える。このサイトに関しては亀山氏も注意喚起する記事を書いていたので私からも注意喚起をしておく。





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