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【vol.15〈後編〉】猫グッズ販売「元祖ねこ商まるやま商店」店長としての丸山晶代さん 「猫の絵本を来年出版、売り上げの一割を猫のために」

「猫の幸せのために何かしたい!」 ちくわぶ料理研究家として活躍する一方で、保護猫活動・猫グッズを販売する「元祖ねこ商まるやま商店」の店長としての顔も持つ丸山晶代さん。〈後編〉では、ちくわぶ料理研究家として出演を果たした超人気番組「マツコの知らない世界」出演のエピソードと、猫のための活動についてお話をうかがいました。「ちくわぶ」と「猫」の幸せを何より願い、諦めずに夢を実現し続ける丸山さんの素顔に迫ります。


──前編で「マツコの知らない世界」は2年越しの願いがかなっての出演だったとうかがいました。

「ちくわぶ料理研究家」になる宣言をしてからすぐ、「ちくわぶという地味な食材を扱ってくれるテレビ番組はなんだろう…」と考えて、真っ先に思いついたのが「タモリ倶楽部」でした。ただ、「タモさんは九州出身だからきっとちくわぶ嫌いだろうな」と思いながら…。それでもやはり番組の性格上「タモリ倶楽部」がピッタリと思い、出演を願っていました。

 そんなころ、ちくわぶメーカー川口屋さんから「『タモリ倶楽部』の取材が決まった」と連絡があったんです。「これはもしかしたら私のレシピを紹介できるチャンス!」と、川口屋さんを通じて番組に打診。でも専属のフードコーディネーターさんもいらっしゃるということで、私が番組に関わることはできず。そして、「タモリ倶楽部」で一度ちくわぶが登場してしまったということは、2度目のチャンスはもうめぐってこないだろうな…と。さすがに同じネタはもう取り上げないでしょうから。

 その次に目標として掲げたのが、ニッチな世界を掘り下げることで人気の「マツコの知らない世界」への出演だったんです。「ちくわぶナイト」開催時に「お客様のなかに『マツコの知らない世界』の関係者のお知り合いいませんかー?」と聞いてみたり、知人のツテをたどってみましたが、なかなか見つからず…。でも「絶対にいつか出られる!」とずっと信じ続けていました。

 そんななか奇跡的に(! ?)突如番組より打診が! スタッフさんにありったけのちくわぶ愛をぶつけましたが、結果出演にはつながらず。それでも出演を諦めずに2年が経過したころ、なんと番組から再打診があったんです。ちょうど『ちくわぶの世界』の制作中で、書籍制作との同時進行で大変な時期ではありましたが、話はスムーズに進み、ようやく2年越しの番組出演の夢を叶えることができました。
 準備や収録のプレッシャーで大変なこともありましたが、ゴールデン枠の高視聴率番組の効果で、ちくわぶの認知度向上につながる結果が出せたと思います。


──ちくわぶ料理研究家として飛躍的に活躍される一方、並行して保護猫活動、猫グッズの制作・販売も行われていらっしゃいますね。

 猫関連の活動はもう20年くらいになります。最初のころは普通に猫グッズ販売店をやっていました。それが2011年の東日本大震災で現地の皆さんが被災し、猫や犬、さまざまな動物たちが逃げ出してしまって、大変な状況であることを知りました。

「何か自分にできることはないか」と考えるなかで、当時自宅で5匹の保護猫を育てていたことから現地に出向くのは難しく、私にできるのはお金を寄付することなのではないか、と。お店には猫好きが集まるので、同じような考えの皆さんからお買い物と一緒に500円からの寄付にご協力を募りました。同時に「元祖ねこ商まるやま商店」オリジナル商品から売上の1割を寄付することにしました。

「お買い物してくれたらそれがそのまま寄付に繋がります」。この活動は現在も続けています。


──現在ご自宅には3匹の飼い猫と、7匹の保護猫を預かっていらっしゃるとのこと、お世話が大変ではないですか。

 いえいえ、ちっとも大変じゃないですよ! 猫はとても賢い生き物なので、誰が教えなくても自分できちんとトイレできるんです。基本散歩も必要なく、本当にトイレとご飯のお世話だけしていれば、10匹でも全然大変ではないんですよ。保護猫活動は、「みなとねこ」さんというボランティアさんを介して、里親が見つかるまでの預かりボランティアをしています。また個人的にも近所の猫を保護して、里親を見つける活動もしています。

 私が一番最初に保護した子は生後10日でかなり衰弱していました。2時間おき授乳が必要だったんですが、当時は外で仕事をしていたので、昼休みに自宅にとんぼ返りしてミルクあげながら自分はパンをかじって、また会社に戻るという日々でした(笑)

 その甲斐あってとても元気になったその子は、完全に私のことを親だと思い込んで、お風呂にもトイレにもついてくる。まあかわいいんですよね、それでもう完全に猫に人生を捧げることになってしまいましたね。その子は19歳で亡くなるまで飼っていました。


──来年、『ちくわぶの世界』を出版したころからさんで、猫の書籍の出版を予定しているのですね。

 はい、ぴいこちゃんという猫が主人公の絵本です。ぴいこちゃんは、「まるやま商店」のお客さまのお友達が、たまたま通りがかった工事現場で瓦礫に崩されて大怪我しているところを発見された子猫です。頭が潰れてしまっていて生き延びるのは難しい状況でしたが、看取る覚悟で保護して病院に連れていき、1時間半の大手術を乗り越えました。今も後遺症で、てんかんやいろいろな発作があり、目が見えず、耳も聞こえなくて、匂いもわからない。さまざまなハンデにより医療費が大変なので、ぴいこちゃんのグッズをつくってその売り上げの一部を寄付しています。

「こねこのぴいこちゃん—銀の線路とキラキラ金平糖—」(仮題)は、2022年2月22日猫の日の出版をめざしています。売上の1割はぴいこちゃんの医療費などへ応援カンパ、もう1割はさくらねこ(地域猫)の避妊去勢手術代に寄付します。

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来春出版予定のぴいこちゃん絵本『銀の線路とキラキラ金平糖』
奇跡的に一命を取り留め、今ある幸せを全身に感じて生きているぴいこちゃんの物語


【PROFILE】
丸山晶代 (まるやま あきよ)
 1969年東京都足立区生まれ。日本で唯一のちくわぶ料理研究家であり、猫グッズ通販・保護猫活動を行う「元祖ねこ商まるやま商店」店長。2001年頃から猫雑貨のネットショップをスタートし、のちに北区王子に実店舗を構える。その後、荒川区に引っ越し、猫モチーフのメニューを提供する「ねこまる茶房」を営んでいた。2011年よりちくわぶ料理研究家として活動が活発化し、2019年「マツコの知らない世界」出演、書籍「ちくわぶの世界」出版。北区赤羽を「ちくわぶの聖地」として、毎月第2日曜日にソーシャルコミュニティめぐりや(北区赤羽2–4−14)で「赤羽わぶまつり」を開催。500を超えるオリジナルちくわぶ料理レシピはSNSでもたびたび話題に。現在、猫グッズはネット販売「元祖ねこ商まるやま商店」で行う。オリジナルグッズ売り上げの1割を猫の幸せのために寄付する活動も行っている。

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