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スクリプト7.08

母のために書いたスクリプト


自分の指先から、何かが作り出されるのを、
何度も見てきたんです。

それが完成するのが、指先から、耳から、空気から、匂いから、
感じることができます。

目の前に来るのが、ずっと前から分かっていたようなそんな感覚。

私の周りには、空気も花も、空も鳥も、すべてがあって、
そのすべてと繋がって居るような、
そんな感覚を、わたしは覚えている。

まぶたの内に広がる、青々とした草原。
霧の中から現れる、一頭の馬。

たくさんの馬がいたけれども、
その一頭と目が合った。
繋がった。そんな感じがした。

人でもない、神でもないその生き物のことを、
私はとても身近に感じたんです。

そっと鼻先に、触れたのか、触れなかったのか…

目を覚ますと、
遥か上の方に、水面が見えました。

ゴーっゴーッという音が聞こえて、
水の中にいるのを感じることができます。

不思議と冷たくはなくて、
かといって、
温かくもないような、
そんな不思議な感覚を、

私は以前にも感じたことがある。

そこにはすべてがあって、すべてとつながっていて、
すべてがない。

そんなことを聞いたのは、いつのことだっただろう。

そして上を見ると、

一羽の大水青がいました。
ひらひらと舞っている様子を見ていると、
羽ばたく音が聞こえるような、そんなことを考えていたんです。

ふわふわと周りを飛ぶ、美しい生き物に、魅せられているのか、
自分を見ているのか…

遠くへ飛んでいくその生き物を見て、
さみしいような、安心したような、
ある感覚を、私は感じていました。

そして、明るい方へと、私は歩き出しました。
足元の感覚を確かめながら。

空が青いのか、青すぎて眩しいのか、
光が溢れているそんな所にたどり着きました。

そして、
私は遠くを眺めます。

眼下には町が広がり、耳にはある音が聞こえています。
風邪が自分の身体を吹き抜けていく。

私はなにかを叫びたい、
そんな気分になった。
そして思い切って、叫んでみたのです。

その声は、あの人に届いたのか、届かなかったのか

ニコッとあの人が振り返るのが見えたような、
そんな気がした。

そんなあの感覚を抱きしめながら、
私は眠りにつくのでした。



ひとつ、頭にさわやかな風が吹いてきます
ふたつ、身体がだんだんと軽くなっていきます
みっつ、大きく息を吸って、すっきりと目覚めます

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