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Sakuya's diaries of Reading

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物書きとして色々な種類の本を読むのですが、感銘を受けた本やストーリーメイキングで惚れ惚れする本。勉強になる本や、執筆にあたっての知識が膨大な本など、一部をご紹介します。
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記事一覧

『誰でも30分で絵が描けるようになる本』マーク・キスラー

私は美術が大嫌い!突然ですが、私は「美術」が嫌いです。 正確には「美術の授業」が嫌いで、特に「絵画・デッサン・写生会」、要は絵を描くことが本当に嫌いで苦手です。 姉は子どもの頃、結構早い頃からお絵かきを始めて、上手だったようで、周りから褒められて伸びていきました。 多分、母のお腹に合った絵を描く遺伝子というか、美的センスや感覚を全部姉が持って行ってしまったのだと思います。(※私が拾われっ子ではなかった場合での話ですが…。親からあんたは橋の下から拾ってきたと言われたこと

『変身』東野圭吾

手に取ったきっかけ東野圭吾の本は、『白夜行』を読んだのが一冊目でした。 別途『白夜行』については、またこちらのマガジンで感想記事を投稿する予定なので、触れませんが、「主人公の発言を無しに、周囲の語りだけでこれだけの厚みの本を書ける人がいるんだ」と驚嘆しました。 それ以降、その時点で出ていたほとんどの著者の本は読破したと思います。ところが、何というか…。もちろん人気作家になろうと、称号を得ようと、当選しようと、「書き続けなければ淘汰される」のが物書きという世界なのは理解し

『母さんごめん、もう無理だ』朝日新聞社会部

本書を手に取ったきっかけ本書は、私にしては珍しく「ルポルタージュ」の部類に属する本だと思います。いつも小説の紹介が9割ですが・・・。 帯にもあるとおり ひとたび、事件が起きると、それが特に「殺人」の場合、SNSでも「同じ環境でも殺人を犯さない人間もいる。やはり、犯す人間と犯さない人間には明確な違いがある」といった論旨の投稿やコメントを見ますが、私はそう思えないのです。 依存症などもそうですし、発達障害の子を持つ親が周りからは援助が受けられず、自分自身も目一杯で、おまけ

『新宿ナイチンゲール』小原周子

本書の紹介第12回小説現代長編新人賞 奨励賞受賞作品です。 実際は、受賞作に加筆・修正をしたものを出版したのがこちらの本になります。 著者は「小原周子(おはら・しゅうこ)」さん。 2017年に発刊された著書のあとがきに書かれている内容では、現役の看護師さんだそうです。 名字の小原は、風と共に去りぬのスカーレット・オハラから、周子の「周」は、敬愛する山本周五郎から取ったそうです。 本書を手に取ったきっかけ内容に入る前に、著者とこちらを読むことに至ったきっかけを書きた

『精神科医が教える 親を憎むのをやめる方法』増田裕介著

YouTubeでも患者さんからご家族、そして健常者まで大人気の現役医師! さて、なかなかに奇抜なタイトルですね(笑) こちらは、早稲田メンタルクリニック院長であり、現役の精神科医である増田裕介先生が書かれた本です。 増田先生は大変ユニークで熱心な方です。 先生は多くの患者を治療してきて、その根本的な原因の多くが「認知のゆがみ」であると考えました。つまり、多くの経験を通じて「誤った考え方」や「間違った学習」をしてしまったとー。 そのためには「知る」という事が大切だと

「起こり得る未来」こそ恐ろしいものは無い

前書き~SFの知識と理論を踏まえた、バイオハザードを彷彿とさせる恐怖~ とある方が仰っていました。SFとファンタジーの違いは、現状そのような発明がなされていなかったとしても、緻密に理論を組み上げ、現状の科学と最先端の研究や、想像を組み合わせたものがSF。魔法のように理論や因果の説明が無い、あるいは説明しようがないものがファンタジーだと。 その意味で本書は、SFと断言できる範疇すら超えて、どこからが著者の想像の範囲で、どこからが本当に現代科学で起こりうる未来なのかー。その境目

良いんですか?私にそんな強気なこと言って(生意気w)

前書き~私が絵を描くことが大嫌いな理由~私は絵を描けないんです。 「そんなこと言って、それなりなんでしょぉ?」って思う人もいるでしょう。 えぇ。何度も言われてきましたとも(笑) でも、本当に描けないんです。とはいっても、この場合の「絵」というのが、何を指すのかにもよりますよね。 子どもがクレヨンを握って、ぐちゃぐちゃと線を引く。他の色を握ってぐちゃぐちゃとまた適当に描く。 幼児なら「上手だねぇ。何を描いたの?」で許されるでしょう。 でも!私は大人です!それも中年…。

この本を読んでいる途中から手離したくなる「恐怖」

前書き~十二国記のイメージで手軽に手に取ったら危険~一言で言うと「怖すぎる」というのが感想ですね…。 ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル 今もちびりそうだし、早くこの本を手放したいという気分です。 小野不由美を初めて知ったのは、姉の紹介でした。 姉は小学生の頃から、少し難しい作品でも読んでいた「本の虫」でした。自分でも文章を書き始めたのも小学生だったかな?絵を描くのも好きで、自分で挿絵を描き、文章も書いていたのを今でも覚えています。 いつからか、文章を

「自分の心の枷がどこに繋がれているのか」を自分で知ることができる本

前書き~同じ苦しみを抱えるあなたに”今”を自由に生きていくためのヒントを~私がこの本を手に取ったのは、つい数年前。ふらっと立ち寄ったBOOK OFFでした。 十数年立ち寄ったことのなかったBOOK OFFに最近、よく立ち寄るようになりました。 電子書籍を選択する人が増えた影響か、少しでも要らないものを処分してお金にしたい人が増えたのか、はたまた高齢社会で遺品整理の一環か…。 以前は「古くてぼろい本がいっぱい」というイメージだったBOOK OFFですが、最近では、かなり良い

大学で教育学・心理学・考古学を学んだ私がその知識の鮮明さに驚いた本『症例A』

前書きこの本を手に取ったのは、大学の終わりごろだったと思います。私は教育学専攻でしたが、卒業後の進路として臨床心理士も視野にいれていたため、心理学はほとんどすべての講義を受けていました。 また、ゼミは考古学。その両方の内容が混ざり合い、編み込まれて、本当に現実にこの医師が、この患者が、この心理士が存在しそうな感覚になりました。 小説を手に取ったはずなのに、まるで心理学と考古学の文献資料を読んでレポートに備えている時のような、不思議な感覚に包まれたものです。 あれから

女性の心、母娘の間に起こる呪いにも似た相互反応を、抉り出す天才の真骨頂

まえがき~湊かなえとは~『告白』でよく知られている湊かなえさん。 今回初めて生い立ちを調べたら、とてもユニークな経歴をお持ちなんですね。 広島県の柑橘農家で生まれる。空想好きで小中学校時代は赤川次郎や江戸川乱歩を読みふける。武庫川女子大学家政学部被服学科を卒業後、アパレル業界へ。青年海外協力隊でトンガへ赴任後、高校の家庭科非常勤講師を務める。結婚後、2004年から川柳などを投稿しつつも、「形に残るものに挑戦したい」と創作活動を始める。 2007年に『聖職者』で小説推理新