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「もはや戦後ではない」

2022年12月16日金曜日。

町田での仕事を終え、帰路についた。いつもより早い時間だ。

金曜日ということもあり、自宅近くのターミナル駅周辺の繁華街は人であふれていた。

さすがに地元に戻るとそうした人混みはなく、

地元のリーズナブルな寿司屋ののれんをくぐると、いつもいるなじみ客が一人水割りを飲んでいるだけだったので、少し寿司を食べて大将とそのなじみ客と談笑してから自室に帰った。

なんでもない週末だった。

この日の夕方、私は移動中の車内であるネットニュースの記事を認めていた。

【速報】新・安保関連3文書閣議決定、「反撃能力」保有で安保政策の歴史的大転換

今後5年間の防衛費歴史的増額を迎え(2019年からの5年間の1.6倍)、

また「国家防衛戦略」では「反撃能力」の保有が明記され、相手の領域において日本が有効な反撃を加えることを可能にするという。

これを発表したのは岸田文雄内閣総理大臣である。

この記事を書くにあたって、まぁ不快ではあるがネット上に公開されている記者会見を見てきた。本当にこんなことを言っていた。見なきゃよかった。

この人物は数日前(13日)、防衛費増額の財源の一部を増税で賄うことについて「国民の責任」とのたもうた人物である。

:「国民の責任」発言についてはその後「修正」がなされ、「われわれの責任」と変更されたようだが、形式上岸田が主語に入っただけで「責任」の主体は変わらないし、そもそも納税させられるのは国民である。そっかぁ、「われわれ」だったかぁ仕方ないなぁもぉー、とはならない。全身全霊で主権者たる国民をバカにしている。:

この「閣議決定」の背景には、国家安全保障局等でのヒアリング、有識者会議、自公の与党ワーキングチームや日本維新の会、国民民主党からの提言・意見があったのだという。

なるほど、岸田首相の「聞く力」の射程が大変わかりやすい”メンツ”である。ほかの野党や国民の声は、どうやら周波数が違うようで彼の耳には届かないようだ。

そもそも、こうした国民の生命・財産にかかわる重大事項が、閣議決定、つまり国会を開かずに、議論もせずに上記身内らによって決定されたのである。つまり、聞きたくないこと話したくないことは、そもそも最初から聞かないし話さないのだ。

ひるがえって、そのしりぬぐいは「国民の責任」でなされる。
増額された防衛費の一定割合は増税で賄われるのだから。

コロナ禍以降、国民には自助を自助をと繰り返し、貧困にあえぐ国民に対してたった10万円の給付金すら1度しか出さない自民党政権が、軍事費の増額にはポーンと43兆円(5年間)を出す。

:ちなみにこの「特別定額給付金」の補正予算の総額は12兆円であった。:

本邦の政権担当者がどこを向いて”政治”をしているか、まざまざと見せつけられた日であった。

何十年もあとの歴史家がこの事象を調べたとき、

何十年もあとの(特定絶滅危惧種の)日本史科予備校講師がこの事象を授業で扱うとき、

歴史に学ばない2022年の日本国民が盲目的に政府を信頼し防衛費の歴史的増額や自衛隊に敵基地攻撃能力をもたせることに黙って賛成したなどと思われないよう、ここにしたためておく。

わたしは言った。

少なくともここにいる一人のこの国の主権者は、政府のこの決定を拒絶していた。




もはや、戦後ではない。


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