佐京由悠〈文系の意地〉

日本史科予備校講師。 詳しくは固定記事をご覧いただければと思います。

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マガジン

  • 考えたこと

    生きていて、考えたことを述べています。日記のようなものも書くかもしれません。

  • 日本史講義延長戦

    大学受験日本史より一歩踏み込んだ内容をお話します。 記事が増えてきたら時代ごとに分けようと思います。

  • さきょの本棚

    私の本棚のなかならセレクトして、みなさんに紹介します。

  • たまたま近くまで、きたものですから。

    佐京がお仕事などで訪れた際に立ち寄ったスポットの紹介です。エッセイ風です。

  • 社寺巡礼記

    各地の神社・仏閣を日本史科予備校講師の視点で紹介します。

最近の記事

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はじめに~自己紹介と運営方針~

◆執筆者◆ 佐京由悠(さきょう よしはる) 日本史科予備校講師。 専門は日本近現代史、特に近代における〈日本人〉論や昭和期の言論弾圧について。 趣味は歌、熱帯魚と亀とよろしくやること、旅行、散歩、徘徊、飲酒。 ◆note運営方針◆ 私が日本史やこの社会一般に関して考えたこと、授業の内容を深堀りしたもの、映画・読書案内など多様な記事を掲載していく予定です。 ~現在予定しているお品書き~ ・日本史講義延長戦(授業では話しきれない深堀りした内容) ・さきょの本棚(読書案内/

    • 2024年度出講情報

      今回は、2024年度の出講情報についてご案内したい。 *佐京がどのような授業をするかについては、紹介動画とともに最後の「★共通」に示している。 以下、出講先ごとの担当授業を紹介する。 ★代々木ゼミナール(本部校代ゼミタワー) ・詳説日本史講義(水曜4・5限/1530-1900/配信あり)  大学受験日本史の核となる、いわゆる”通史”の講座。  代ゼミのテキストと自作の補助プリントを適宜使用し、原始から現代までのすべての時代を扱う。文化史にも言及。  猛烈なスピードで全

      • 2月の終わりに。

        冒頭に掲げたのは、数年前の今日の、雨だか雪だかよくわからない天気のときに訪れた嵐山である。 ★ 早いもので、2月がもう終わる。 2月といえば我々受験産業の人間からすれば、多くの児童・生徒・学生たちがそれぞれの受験本番を迎える時期である。 だいぶと時間が経ってしまったが、佐京少年も中学受験と大学受験をン~年前のこの時期に受験本番を迎えていた。 中学受験は、相当な苦戦を強いられた。 そりゃ、もう、地獄のような闘いであった。 中学受験は2月1日から本格化するのだが、一

        • 2023年度全担当講座終了!~独りぼっちの受験生に~

          1月27日の直前講習早稲田日本史(横浜)を以て、私の担当する2023年度の全講座が終了した。 正確には、あと数回、単発のお仕事があるのだが、パンフレットに載っている講座という意味ではすべて終了した。 今年度は通常期・講習期間ともに多くの授業を頂戴し、また模試や問題集の執筆、映像授業出演などもお任せいただいて、非常に勉強になった。 特に8月の上旬は撮影・原稿・授業すべてが重なっており、今思えばその時の記憶がほとんどない(笑)。 ★ 急に授業がなくなったわけだが、いわゆ

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          年末・忠臣蔵・冬期講習

          時に元禄十五年十二月十四日江戸の夜風を震わせて、 響くは山鹿流儀の陣太鼓しかも一打ち二打ち三流れ…… ということで今日は2023年12月14日、 旧暦とはいえ、赤穂浪士討ち入りのその日である。 ひと昔前は年末の特番で(多分テレビ東京だったか)6時間を超える忠臣蔵の時代劇を放送していたものだったが、いつのころからかやらなくなってしまった。忠臣蔵はもう「風物詩」ではないのだ。 * 11月末の休講日、せっかくいただいたお休みだからと都内の寄席で開かれた講談会を聴きに行った

          年末・忠臣蔵・冬期講習

          【社寺003】圓教寺

          姫路駅からバスで約30分。 さらにロープウェイを乗り継ぎ、さらに20ほど山道をのぼったところにその寺院はある。 書寫山圓教寺。 天台宗の寺院である。 平安時代、性空により開山され、西国三十三所のなかで最大規模の寺院である。 私がこの寺院を訪ねたのは今年の9月、実に8年ぶりだった。 8年ぶりにここにやってきたのは、圓教寺の三大特別公開を拝観するためである。 三大特別公開とは、①大講堂(釈迦三尊・四天王像)特別参拝内陣拝観、②摩尼伝奥秘仏如意輪観音像御開帳、③チーム

          【本004】大学で学ぶ沖縄の歴史

          今年の春先、沖縄国際大学の秋山道宏先生より、『大学で学ぶ沖縄の歴史』(吉川弘文館、2023)をご恵贈賜った。 本書は書名にある通り、琉球沖縄の通史を「先史・古代から現在の沖縄社会までたどりながら学べるテキスト」(プロローグより)であるが、中身は単なる通史にとどまることなく、執筆者の先生方それぞれの強い問題意識とメッセージ性を有するものである。琉球沖縄のこれまで、そしてこれからを考えるのに不可欠な内容をわかりやすく、かつコンパクトに、それでいて単純化することなく叙述されている

          【本004】大学で学ぶ沖縄の歴史

          【たまチカ003】東京駅第二乗降場

          中央停車場こと東京駅は1914年に開業した、言わずと知れた日本の大鉄道ターミナル駅である。 1日あたりの列車発着本数は3000本とも言われており、また当駅からは30以上の都道府県へ乗り換え無しでアクセスできる。 そんな東京駅のなかでも、5,6番線ホームは、5番線に山手線外回り(品川・渋谷方面)、6番線に京浜東北線南行(蒲田・関内方面)の列車がひっきりなしに行き来する、“忙しい“ホームである。 実はこの5,6番線ホーム、1914年の東京駅開業と同時に設置された「第二乗降

          【たまチカ003】東京駅第二乗降場

          八月十五日に書いた文章

          ここにも、載せておこうと思う。 なお、note掲載にあたり内容を変えない範囲で若干の推敲をおこなった。 ★ 本日8月15日は終戦でも敗戦でもなく、天皇の肉声(録音)がラジオで流れた日である。 ポツダム宣言を受諾した旨を日本国民(当時は臣民)に伝達された日であるからこの日が終戦/敗戦という主張の趣旨そのものは理解できるが、いや、だからこそ、それ以上に8月15日という暦のもつ政治性を重視したい。 ポツダム宣言の受諾は8月14日であり、降伏文書の調印は9月2日であって、私

          八月十五日に書いた文章

          栄西の交友関係

          鎌倉新仏教の開祖のひとりに栄西(えいさい、ようさい/1141-1215)がいる。 備中国の出身で、比叡山にのぼり密教と天台宗を学んで山林で修行した。 二度にわたる入宋ののち、日本に臨済禅を伝え、北条政子や源頼家などの帰依を受けたことが知られている。 さて、この栄西、広い交友関係が知られている。 まずは重源である。栄西は先に述べた通り二度入宋しているが、そのうち一度はこの重源とともに帰国している。その縁で栄西は重源のあとをついで東大寺大勧進職に就任している。 *「勧進」

          「先生の授業受けて面白かったんで、大学で日本史やりたくなりました」

          なんて、言っていただけることが私にもたまにある。 しかし、ここで注意が必要なのは、大学受験日本史が「面白かった」としても、直ちに「史学科に向いている」というわけではないことである。 (それを了解した上で史学科に進んだ卒業生もたくさんいる) そもそも、大学受験日本史というのは、大学で受ける高度な教育・講義についてこられる能力があるかを図る一つの要素(=受験科目)でしかないのであって、ガクモンとしての歴史学とはまた違ったおもむきがある。 *無論、その教授内容は「歴史学」とい

          「先生の授業受けて面白かったんで、大学で日本史やりたくなりました」

          【たまチカ002】旧奈良監獄

          東大寺南大門から大仏殿、戒壇堂、転害門とをすべて通りすぎて、坂道を上り切ったところの閑静な住宅地に、突如赤レンガづくりの堅牢な建築物があらわれる。 旧奈良監獄である。 旧奈良監獄とは、長崎・千葉・金沢・鹿児島と並ぶ「明治五大監獄」の一つであり、1901年に建築がいち早く開始され、かつほぼ完全な形を残している唯一の監獄である。 1908年に竣工して以来、1922年に奈良刑務所、1946年には奈良少年刑務所と改称され、2017年3月31日に廃庁された施設で、廃庁と同時に重要

          【たまチカ002】旧奈良監獄

          【社寺002】観心寺

          今回の旅はここ、南海電鉄難波駅からはじまる。 ここから南海電鉄高野線、特急「こうや」に乗って26分、河内長野駅につく。 そこからさらにバスを乗り継いで10分弱だろうか、本日の目的地に到着である。 高野山真言宗遺跡本山、檜尾山観心寺である。 開創は701年の役小角にまでさかのぼるものの、「観心寺」との名称を得たのは808年に空海が北斗七星を勧請してからであるそうである。 *勧請とは、本来仏教用語で、仏がこの世にとどまって衆生を救済してくれることを請願することであるが、

          【本003】布団の中から蜂起せよ

          ずっと前からこの本を紹介しようと思っていた。 高島鈴『布団の中から蜂起せよ:アナーカ・フェミニズムのための断章』 この本と出会ったのは、昨年、11月頃だったとおもうが、 アナキズム文献センターでアナキズムカレンダーを発注しようとした際に記事で紹介されていたのを見たときである。 その後、自身のInstagramでは、数ヶ月前、これに先がけて記事を投稿したが、いずれnoteに、(私の)noteのトーンで、「ちゃんと」した記事を書きたいと思っていた。 で、 結論から申し

          【本003】布団の中から蜂起せよ

          【感謝】note公開から1周年

          この日から1年が経った。 公開を2月23日に選んだのは、どこかのだれかが生まれた日だから― では決してなく、単に私は午年生まれだからというだけである。午年の守り本尊である勢至菩薩の縁日が毎月23日なので、せっかくなら、ということである。 ここまで、21本の記事を公開してきた。 現在公開中のカテゴリーとしては、『日本史講義延長戦』、『考えたこと』、『さきょの本棚』、『社寺巡礼記』などがあるが、本noteの二本柱ははじめの2つだ。 『日本史講義延長戦』は、その名の通り限

          【感謝】note公開から1周年

          コトバが劣化している

          最近いきはじめたクリーニング屋が家の近所にある。 商店街のなかにある小さな店舗で、そこはもともと写真館であった。 聞けば、高齢と交通事故の後遺症で身体がうまく動かなくなり、子ども相手の撮影も多かったことから体力の限界を感じ、大手クリーニング店の加盟店として数年前に転身したのだそうだ。 ご夫婦でお店を営んでいる。 先日、私が普段使いのスーツとワイシャツを大量に預けたときも、 「こういうシャツはどういうときに着るんだい?」なんて目を丸くしながら聞いてくる、子ども好きな、人のい

          コトバが劣化している