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#14 ヨーロッパ研修記 〜ランビックを巡る旅(Boerenerf Eylenbosch編)〜

 おそらくこのブルワリーの名を聞いたことがある人は、そう多くないはず。Boerenerf Eylenbosch(ボエネルフ・エイレンボッシュ)、ランビック、シードル、ワイン、それらのいずれをもつくる新しいつくり手だ。

 ブルワリーまでは、最寄り駅のBuizingenという駅から20分強歩く。閑静な住宅街といった趣の町だが、しばらく歩くと途端に町の風景が変わり、あたりは一面大きな農場が広がる。Boerenerf Eylenboschはそんな農場の中にぽつんと佇む。

 入ってみると、タップルームと言いつつも、それはほとんど倉庫や作業場といった感じで、いくつかドカンと設置された大テーブルで、人々はランビックやシードル、ワインを楽しむ。
 なお、この日はやたらと人が多く、こんな田舎のマイクロなブルワリーになぜこんな人がいるのだろうかと不思議に思っていたのだが、どうやらこの一帯を回るランビックのイベントが行われていたようだ。

 最初に頂いたのは、オランダのブルワリーであるNEVELとのコラボレーション。ランビックとセゾンをブレンドした一杯だ。
 他にもグーズ、クリーク、シードルと様々いただいたが、Boerenerf Eylenboschのつくるお酒に共通して感じのは、新しいつくり手ということもあってか、ランビックの酸味は比較的抑えられており、とても心地の良い飲みやすさが印象的だった。
 加えて、フルーツランビックの種類の多さ。この日だけでも5、6種類のフルーツランビックが並ぶ。僕はベーシックにクリークを頂いたが、他にも試してみたいと思うラインナップだった。

 ファウンダーのSenne(セナ)さんは元々この土地で代々農家を営む一家で、3年前からお酒づくりを始めたとのこと。事前にInstagramで連絡を取っていたものの、どうやらこの日は予定があるようで、軽い立ち話しかできなかった。ただ、話し始めると長くなるよと笑っていた。

 個人的にはこのマイクロブルワリーに対し、とても強い興味を持っていたので、ブルワリーの案内をさせてもらえないか、無理を承知でお願いしたところ、一緒に働くVincentさんを紹介してくれ、お店が閉まる時間にブルワリーの中を案内してくれた。

 この日まで、大小様々なブルワリーを訪れたが、このBoerenerf Eylenboschはどこよりも小規模でつくられている。

 醸造を開始して、わずか3年。それでも最初の一杯で飲んだヨーロッパ中で人気のあるNEVELとのコラボレーションや、ブリュッセルの有名レストランnightshopやEDEL ROTでも提供される彼らのランビック、サイダー、ワインの品質は非常に高く、これからますます人気が出ると思われる。

nightshopのメニュー
EDEL ROTのメニュー

 帰ることにはすっかり日が暮れ、あたりは真っ暗に。訪れるには決して便利とは言えない場所にあるが、またぜひ来たいと思えるブルワリーだった。

salo Owner & Director
青山 弘幸
instagram :https://www.instagram.com/salo_kamakura
facebook : https://www.facebook.com/aoyamahiroyuki
引き続きお酒に関わる出会いやご縁を探しています。また応援のメッセージもとても嬉しいです。もしご興味を持っていただけたらお気軽にご連絡いただけますと幸いです。

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