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土木工学はイメージが悪すぎるが実は思い切り工学を楽しめる分野

以前に書いた記事にざっくり説明はしてありますが、

今日はもう少し具体的に書いてみます。
まず日本では土木というと、すぐに「土建屋」「ドカタ」「税金を無駄にしている」「3K」「馬鹿でもできる」などのイメージを持たれます。メディアや無知な人間から聞くのでしょう。社会を支えている人々に対する敬意が無いのは本当に残念です。

土木工学という名前を「社会基盤工学」にした学校もありますね。米国の場合は「市民工学」、Civil Engineeringですが、インフラ系、構造系、環境系、マネジメント系、港湾系、鉱山系、製造系など、学校によって分かれていたりするようです。そう。とにかく学校でちょろっと習う事なんかでは収まり切れない壮大な工学なんです。ほぼ文明の源ですからね。

内容は構造計算しているイメージかもしれませんが、それは設計の最後の方の1分野です。刻々と流動的に変化する自然と人間社会を扱うわけですから、まずここが膨大な分析になります。そして地盤工学や環境工学を見ればわかりますが、これをAI化するのはなかなか難しいでしょう。もちろん利用はしますでしょうが。地面より下の「土木」は地面より上の「建築」よりもAIに取って代わられにくい分野と言っていいと思います。

ほら最近、月の調査が競争化していますでしょう?ほんのちょっとの情報を得るだけでも物凄い大変なのがわかりますよね。土木はそれを地球でやっているというだけです。過去の情報を元に調査を重ねて、ある程度の予測はできても、実際に建設するとなるとまた別のレベルの話になってくるんです。未知との闘い。日本の場合は宇宙事業もゼネコンがだいぶ関わっていますよね。「低偏差値」なはずの土木が宇宙。それから今の環境問題、エネルギー問題、防衛の解決の鍵となる学問です。日本は偏差値至上主義すぎて、本来頭脳がもっと流れていいところに行かない問題がありますね。

例のトゥースフェアリーのいる歯医者さんに、仕事が何か聞かれたんですよ。

なので建設エンジニアだというと、どんな事するのか聞かれたので、

歯医者さんと同じですよ。土という歯茎の改良をして、インフラという神経や血管を邪魔しないようにしながら、支持層にドリルで穴開けてケーソン建てる。そしてその上に構造物を建てる。建築というクラウンの時もあればブリッジの場合もある。メンテも大事で時々補修工事もする。

と言ったら、いやあなたの方が数学使ってると思うって笑っていました。人体を扱うのは全然違う難しさがあるのでしょうがね。

土木の難しさは社会的な要素、環境条件、物流、経済、法律の制約、スケジュール、環境保護、労働者保護などなど、複雑極まりない条件下で壮大なスケールの仕事をするところです。関わる企業や労働者の数も大きく、専門のマネジメントが必要です。米国の場合は規模が半端なく土木と防衛が近いところにあるので更に複雑です。

仕事の内容も多岐に渡ります。私は何をやってるかな。
トンネル、橋、ダム、堤防、土質改良、鉱山、高層ビルの基礎、地下鉄、土壌の固定と遮断、などですかね。常に複数の事業に同時に関わっている状態です。私はオフィスで施工計画と現場の両方を支えるポジションにいますが、現場を見に行くこともあります。現場監督や建設機械のプロと常に相談をしながらの仕事です。現場監督は技術的な事だけでは無く、ビジネスマネジメントのスキル、人間性も素晴らしい方が多いです。土木は扱う経済規模も大きいですからね。彼らにはMBAあげていいです。

それからですね。日本もそうなってきていると思いますが、外国人が多く関わります。私は英語とイタリア語をやっていますが、いずれスペイン語も追加しようと思っています。中東系の方も多くいます。アジア系はまだ少な目かな。楽しいですよ。外国人同士、面白い話がポンポン出てきます。お互いを尊重していれば文化や言語は何の問題もありません。

外国人と言うと「現場労働者」を想像された方も多いんじゃないでしょうか? いやいやいや。それこそ現場監督に多いんです。基本大卒です。ビザ通らないといけませんからね。米国の場合は場所によりますが、現場労働者がユニオン化しており、むしろ若いうちからトレーニングを受けている米国人が多いです。そして建設業はみんな結構稼ぎます。日本の倍くらいじゃないですかね。

土木は工学を広く勉強できる上に、需要も高く社会貢献度も高く、どの仕事にも応用できる柔軟性があるので、もっと人気あっていいはずなんですけれどね。日本もちょうど労働環境が変わってきているらしいですが、賃金と生活の質が改善し、建設のイメージが良くなる事を強く願います。

そこの「インターナショナルな仕事がしたい」「環境問題に取り組みたい」とか言っている君!

土木に来い!

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