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その要望を「心→声」に

こんにちは。

調剤薬局で薬剤師をしております 鮫島 うさぎ と申します。

自分の名前をインターネットでエゴサをすることはほぼないのですが

薬局」や「薬剤師」というワードでエゴサ(?)はよくしています。

そうすると、

薬局や薬剤師への不満が出てくる出てくる…

「私はこんなに症状がつらいのに、薬剤師はどうしてあんな対応だったんだ?帰ってからむかついてきた!」

「薬局で〇〇って言われた。薬剤師ってなんであんな空気が読めないの?もうあの薬局は利用しない!」

「もらった薬が〇〇でとても不便!なんで薬剤師は〇〇してくれないんだろう。あーあー、めんどくさい。」

などなど

見れば見るほど、皆さまおっしゃる通りで

薬剤師として対応を改めなければならないなぁと反省をします。


ところで、

その薬剤師への不満を投稿された皆さまは

そのことを薬局で声に出して伝えましたでしょうか?

もしかして、

クレーマーって思われるのがイヤで」や

言ってもしょうがないと思うけど」や

忙しそうで言いにくいから」と

多くの方がその思いを声に出さず飲み込んで

イヤなこと我慢してしまってはいませんか?

不満というものは、

そこにそれぞれの要望があるために生まれてくるものなのでしょう。

ああしてほしかった、こうだったら良かった

そういった具体的な要望というのは

声に出すだけで叶えられるものが多くあります。


インターネットでよく目にする投稿例

例 1. 粉薬の袋の状態:何をやっかいと感じるかの違い

Aさん「粉薬をもらったけど、袋が全部つながっていて、いちいちちぎるのがめんどくさい。薬局で最初からバラバラにしておいて欲しかった。気がきかないな」

Bさん「粉薬をもらったけど、袋が全部バラバラになっていて、1つ出そうとすると余計なものも静電気でくっついてきて落としてしまう。拾うこっちの身にもなって欲しい」

どちらの意見もよくわかりますが

独居と聞いていた患者さんで、手が少し不自由な様子だったため、袋バラバラにしてお渡ししたら、いつのまにかご同居されていたご家族がBさんタイプだった…

というケースもあり、薬局側のみの判断ではどちらともし難いですが、希望を言っていただけるだけで、解決が可能な例です。

(どちらがいいですか?とまず薬局側から聞くべきですが聞かれなかったら言ってあげてください。)

例 2. 薬の包装へのお名前の印字:どういう情報を重視するかの違い

Aさん「子供の薬の袋に名前を印字された。個人情報だから捨てるときに細かく切らないといけない。名前なんて印字しないで欲しい」

Bさん「子供の薬の袋に名前を印字してくれなかった。兄弟がいる我が家にとって飲ませ間違いにつながる大問題。保育園に持っていく分だってわざわざ家で記入する羽目に。少しは考えてくれ」

ご家庭の状況がわかれば対応が可能な例です。

(どちらがいいですか?とまず薬局側から聞くべきですが聞かれなかったら言ってあげてくださいその2。)

例 3. お薬を説明する場所:対象がだれか

Aさん「こっちはインフルで具合が悪いのに、わざわざカウンターまで呼び出さないで席に座ったままで説明にきてほしかった」

Bさん「姉のインフルの薬を受け取りに行っただけなのに、わざわざ席まで来て長々説明された。私じゃないし」

つらさが顔や立ち姿に出にくいかた、元気そうと思われている以外に、もしかしたら、患者さんのご家族と思われているかもしれません。

「しんどいので座っていいですか?」と患者さんに言われNOと答える薬剤師はおりませんので、どうか状況を教えてください。

(薬剤師は仕事をこなすことだけに夢中にならず、まず患者さんの様子をしっかり見るべきですが、わかっていなさそうなら言ってあげてください。)

・・・・・

例はすべて、薬局側の情報収集の不足によって

生まれてしまった不満とも言えます。

声に出さずともその気持ちを汲み取って対応ができる

非言語コミュニケーションの能力を持つことが優秀

とされているのは重々承知していますし

患者さん全員にそのように対応したい気持ちはもちろんあります。

ですが、

薬局では日々、たくさんの患者さんの対応をしています。

十人十色の性格・生活を持つ患者さんたちを

「この人はこのやり方が好きそうな顔をしている」と

見た目で判断することが難しいのです。

薬局を出てからのご家庭での様子は見えません。

処方内容から患者さんがどういった疾患なのか

患者さんの痣やギプス、松葉杖の様子からどこが痛むのか

そういったことは知ることができるのですが、

実は見えていないことばかりです。

「ほんとはつらいのに」の

「ほんとは」とは?

本当のことが他人から見えていない可能性があることに

ご自身で気が付いているのではないでしょうか。

なので、ぜひ、

その要望を声に出して教えてください。

「うわ、クレーマーかよ」

だなんて思いません。

患者さんによる患者さんのための正当な主張であれば

それは「要望」なんです。

患者さんごとの電子カルテの確認事項の欄に

「〇〇の処方ときは〇〇のやり方を希望」と

次に同じ状況が発生したときのための申し送りメモを残し

ご要望に沿った対応を心がけます。

ご要望に沿った対応をさせてほしいのです。

とにかくまずは

その要望を教えてください。


薬剤師が心に留めておくべきこと

それは

「個人の要望を聞かずに一律に対応をしたときよりも

要望を聞いた上でその対応をしなかったときのほうが

患者さんからの評価は悪くなる」

ということでしょう。

前者が0点なら、後者はマイナス10点です。

それでも、

より良い治療を提供するために

より良い患者さんとの関係を築いていくために

患者さんの声を聞かなければならないと思うのです。

覚悟をしてがんばります。

患者さんとして薬局をご利用される皆さまは

どうか

その要望を「心→声」にして教えてください。

・・・・・

私自身の患者さんへの要望を「心→声」にしてみました。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

補足

良識ある皆さまは言わなくてもお分かりかと思いますが

「対応する薬剤師は可愛い子がいい」

「混んでるけど、急いでいるから自分の薬を優先して用意してくれ」

「処方箋はないけど前回と同じ薬を売って欲しい」

「30日分までしか処方できないと医師に言われたけど、こっそりもっと多く薬を出してほしい」

など

ご要望に添うことができないことはもちろんあり

あしからずです。

それでは、薬局でお会いしましょう。


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