能登半島地震

地震直後に土砂に飲み込まれ、ずっと叫んで助けを呼んでた。
誰も助けに来てくれず、力尽きそうになった時に抱えてた赤ちゃんが泣いた。

地震発生から4時間後の事だった。

その赤ちゃんの声を聞きつけた、近所の方が駆けつけてくれ、無事掘り出された。

後輩は産まれて2ヶ月の赤ちゃんを抱っこした状態で、土砂の中から助け出された。

奇跡的な救助。

ちなみに赤ちゃん以外の家族全員が土砂で亡くなった。

ニュースでも山ほど報道してた土砂で家族全員を亡くした警察官は妹の旦那さん。後輩の義理の弟。

後輩のお父さんお母さんはいまだ土砂の中から発見されていない。

後輩が喪主を務め奥さんの葬儀はすでに行われた。
その後現在は休職中。

奥さんが残してくれた子供を育てる責務だけがコレからの生きる意味みたいな人生になった。

言葉が出ない。
直接的な言葉で救うことなんてできない。
まさか人生でこんな身近な仲間に、これほどの不幸が訪れるなど想像もしてなかった。
何ができるかずっと考えてたけど、何もできず何もしてやれない。

曲を作り、歌詞にし、歌にする事で伝える事が出来るだろうか。
ありふれた行動かもしれないがそれ以外に方法を知らないバンドマン。
頼まれてもないのにこんな形で伝えるのは卑怯かもと思いながら曲作りをすすめた。
何度も何度も考えた。
後輩に気持ちを伝えたいのではなく、自分自身の整理のためなのかもしれない。
この感情をどうにかして処理しないと自分自身もどうかしてしまいそうだったのだろうか。
それもわからない。

卑怯でもいい。
何もしないぐらいなら作ろう。

世の中に出すか出さないか、そんなのは先の話。

とにかく吐き出す事で気持ちが楽になり整理はできた。

ごめんな。何もしてやれなくて。その言葉も届くはずもなく。
それでも何度も何度も呟いた。

所詮バンドマンにはコレしか出来ないのかもな。

いつの日か必ず"頑張れ"というありふれた言葉をかけれる日まで後輩には絶対に生きて欲しい。

生きろ!
生きろ!
生きろ!
生きてくれ!

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